表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チョロイン☆デビュー!  作者:
海辺の町
35/83

第三十四話「『ちょっと待って』は魔法の言葉」

なんかシリアスっぽくなってますが、多分そっち系の展開にはなりません。

「……ふぁあぁっ、おはようクリスちゃん」

「――ん、アリア起きたのー? おはよ〜っ」


いつかの朝を思い起こさせるような日差し。 ただ一つ違うのは、ここのカーテンの遮光性がヤバいということ。

……あと、ちょっとくらいは朝に耐性もついてきたかな。


「にしても……クリスって、いっつも朝早いよな」

寝覚めが爽快なのも、けっこう久しぶりな気がする。 ベッドから降りながら、私はクリスに話しかけた。

「うん。 昔は生活りずむとか……けっこー、ガミガミ言われてたんだ〜」

「へえ……それ、実家とかの話なのか?」

クリスちゃんの実家……。 フォーサイス家の――私にとっては未知なる世界の話である。

ふと思ったんだけど、私ってそういう話振られたら対応できないよな。 一人だけ話さずに相槌打ってるってのも良いけど、いつか困るときが来るかも……。


「そうだよ〜。 みんな、ボクじゃなくってフォーサイスの名前ばっかり見てたから」

「うん」

「ボクも、あんまりボクらしく生きてけなかったの。 ……だから逃げ出した」

クリスちゃんのクリクリした瞳が、少し輝きを無くした。 その視線は白い床に落とされて、何もない場所をただ見つめている――。


「……あっ、変な話しちゃってごめん! ただ――」

「――ただ?」

聞き返す私。 ……心のどこかでは、何かをちょっと期待していた。


「……アリアなら、怒ったりせずに聞いてくれると思ったんだ〜」

悲しげな中で、ちょっぴり笑みを浮かべてつぶやくクリスちゃん。 かわいい。


もうその可愛さといったら、クリス『ちゃん』というかクリス『たん』とでも呼んだほうが良いんじゃないかってくらい。

でも『たん』とか『きゅん』とか現実世界で言い出したら、人生が終わってしまう気がしたので止めた。 ほんとに私の人生、一回死んで終わってるもんね。


――でも、なんか心配だ。 つらい事やら苦しい事やら、意外と人に言えずに抱え込んでるタイプなのかも……。

過去の経験から言わせてもらうと、そういう系の子は爆発したらとっても面倒くさい。


だが、クリスちゃんはとてつもなく良い子だから、

面倒くさいというよりも、危ないことになる可能性のほうが高い……。

ううん……ほんと、どうにかしてやりたいんだけど。


――ちなみに、ライズはとんでもない寝相で、寝癖もとんでもない感じで眠っていた。 ジェイドはまあ、没個性らしく普通に寝てた。



「さあっ、今日から仕事よ! ジェイドくん、ライズちゃんも起きてっ!」


「うぅうぅぅううぅう……」 宿子ちゃんに起こされて、この世のものとは思えないようなうめき声をあげるライズ。 やっぱりあなた、けっこうネタ要素濃いよ。


で、こっちのイケメンカッコワライ男は……。

「うぅうぅぅううぅう――あとちょっと、ちょっとだけ……ッ」

何故か無駄に格好付けた口調で、『うぅうぅぅううぅう』とか唸る。

そして宿子ちゃんの足首を掴むと、何やら未練たらたらの言葉を吐いて、再び間抜けに眠り始めた。

ちょっと待って、って……。 それ、絶対起きてこないパターンの言葉でしょうに。


でも、やっぱりジェイドあるところにチョロインあり。 ちょっと頬を赤らめた宿子ちゃんは――。


「……もう、しょうがないねぇ――。 じゃあクリスちゃんとアリア様!」

「はいっ!」 「あ、私だけ様付けなの?」 どうしてだろう。


そんなこんなで、今日の労働ライフは始まったのであった。


……てめえジェイド、人魚追っ掛けたり眠ったりと良いご身分だな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ