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チョロイン☆デビュー!  作者:
海辺の町
34/83

第三十三話「花火・後編」

(ここは……)


見渡す限り、青い空が広がる高原。

そこに私――アリア・ユリシフタ(命名・私)は、一人で立ち尽くしていた。


……あれ? これ、ほんとに私か?


というより……。 よくよく見れば、今より五、六歳くらい幼い感じなのである。

年齢で言えば、クリスちゃんと同じくらい。

その青髪を風になびかせながら、幼くあどけなく可愛らしく……な表情で、

私っぽい幼女が立っている。


凛々しく開かれた瞳は果て無い青空を見つめ、そんな雄大さとは裏腹に、どこか寂し気な陰りさえも心に秘めて……。

なんか格好良く、陰も陽も全てを抱え、そして受け止めながら幼女は立つ。


――さっきから幼女、幼女って言ってるけれども、一応これは私本人だと思う。

じゃあ、どうしてこんなに他人みたいな描写しちゃってるのか。


なんか、身体が思った通りに動かないからである。

しかも……何て表現したら良いのだろうか、前世の自分を見てるような感覚が付きまとってるし。 私、そもそも花火大会にいたはずだし。


あれ? 一体いつ、私は花火を鑑賞することさえ忘れて、クソ間抜けに寝落ちなんてした?

それとも何だ?

ここが天国で、この幼女追体験は……なんかそういうアトラクションなのか?

私が死んだというのか? もう一回死んでるのに??


あ、今幼女が両のこぶしを握り締めた。 多分なんかを決意したんだと思う……けど、思考の内容までは良くわかんないや。


「……――、――」

っと、ここで後ろから、メイド服の女の人が登場だァー!

「――了解しました、直ぐに向かいますわ」 んで、私らしき幼女は、

ロリという称号に似つかわしくない、凛々しく――でもやっぱり、ちょいとばかりあどけなさが残る感じで――あとついでに、やっぱり今の私と似たような声で――、

ガチガチのお嬢様口調で固めた返答をした。

そして彼女ら二人は、高原を去っていき――……。


いつの間にか、舞台は夜の高原に変わってて。

夜空を明るく彩る花が咲き、それから少し遅れてドカンと大きな音が鳴り響いた。



「――ア、アリア! ぼーっとしないの、ほら」

「いてっ……」

デコにデコピンがピーンと決まってけっこう痛い。

――って、今度は身体が普通に動く。 しかも声だって、ちょっと成長したような……。


「もう、何をボケてるのよ? そろそろ始まるわよ――花火」

「え……ライズ?」

ってことは、つまり――。


「戻ってき」ドッカーン!

――……そうそう、この微妙に浮かばれない感じ。

まさしく、前世の私がバッチリすべてを持っていた負の要素だ! このハイスペック(魔力うんたらのアレルギー以外は)な身体でも唯一断ち切れなかった、数少ない要素だ!


「……何言ったんだ?」 「……なんでもない」

一瞬、こいつになら話しても信じてもらえるかなー……なんて思ったりもしたけれど。

そしたらキャラが薄いことで有名……なのか? ――なジェイドくんが、ますます没個性になってしまう。

みんなキャラが濃い、この異世界で生きていくのに、それはちょっと可哀想である。



ドッカーン!

「――ほうら、花火がはじまった」

まあ、ということで……。 今回のことは、私の胸の内だけにしまっておこう。

この記念すべき花火一発目に、私はそう誓った。


――ん?

「……なあ、これが一発目なんだよな?」

「えー? うん、そうだけど……」

……じゃあ、さっき私の言葉を遮った爆発音は何だったのだろうか。


「――っふ、事件のニオイがプンプンしてきやがったぜ……」

誰にも聞かれないように、私はそうつぶやいた。 某バーローみたいな声を、ものすごく意識しながら……。

関係ない話、『事実は小説よりも奇なり』って言葉、現実のほうより小説内で良く使われるよね。 そういう無駄なメタ発言けっこうあるよね。



目を瞑ったら、花火って普通にうるさい。

そんなどうでも良いことに今更気が付いた、異世界での夏祭りだった――。



たくさんストックがあると、早めに投稿したくなって・・・

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