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チョロイン☆デビュー!  作者:
海辺の町
28/83

第二十七話「人魚の追跡者と自称語り手の少女」

――あの後姿。 あの下半身――。

間違い無く、奴は。


「……人魚、か」

「――ん? どしたの、ジェイドー?」

「いいや、何も無いさ……」


――人魚。

以前……と言っても、今から何年か前に居た、俺の生まれ育った地――地球では、

空想上の生き物として考えられていた、不思議なものだ。

下半身は魚、上半身は人間――。 此れが逆になれば、名称も『魚人』へと変わるのだろうか?


そんな愚問を、脳の片隅――心の何処かに置き去りにして、俺は薄ら寒い洞窟の中を走り続ける。

……地面から何か生えてこないかは、充分に気を配りながら。

行き先は、きっと彼女――先ほどアリアが見つけたらしい人魚が向かったであろう、

大海原へと通じる、この洞窟のもう一つの出口。


「ジェイド、この水ー?」

「…………!」 そう、クリスが言った通りに、

この水が、まさしく海から流れる海水の一部分。 この温度ですっかり冷えて、靴の上から足の体温を奪おうとする。


「……にしても、人魚、いないねー」

「あぁ……まあ、どちらにしても、引き返すのも面倒だろう」

「うん、めんどくさい」 ……だろうな。

そんな答えは予想が付いていた。 故に、取って置きの突破口は用意してある。

否――元々用意されてあった、というのが正しいのかも知れない。


「このまま向こうへ進めば、海に繋がっている。 そこから移動していけば、すぐ町へ辿り着ける筈だ」

「およぐのー?」

「いや、浮けば良い事さ。 泳ぐのなら、また今度――な?」

少しばかり、不満そうな顔をしたクリス。 それでも『うん』と笑って頷いてくれたのだから、感謝しよう。



――が、結局のところ、どこまで進もうが、あの人魚は見当たらなかった。

やはり海底の奥深くまで、既に戻ってしまったのだろうか?

それとも、俺たちが見落としていた処で、未だにこっそり息を潜めているのだろうか?


どちらにせよ、今はもう、残された時間がない。

「……クリス、引き上げるぞ」

「りょ~かいっ。 ミサイルいる~?」

「ああ、宜しく頼む」

「おっけ~!」

クリスがすっかり慣れた手付きで指を鳴らすと、途端に一瞬だけ辺りの魔力の様子が可笑しくなる。

だが、そんな違和感も一瞬で終わる事。

次の瞬間には、立派なミサイル――乗りやすいように、色々な部分が加工されているもの――が、俺の前に登場していた。


「さ~っ、乗って!」 「有難う」

このミサイルの背に飛び乗ると、クリスはまたもや右手の指を鳴らした。 そうすればミサイルにエネルギーが供給され、二台はようやく発進するのだ。

――強力な武器であるこれを、乗り物のように数えて良いのかは解らないが。



■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■-□-■



――というわけで。


「帰ってきましたっ、宿ー!!」

「どんどんどん……何だったかしら?」

「ぱふぱふぱふ」

「あぁ、そうそう。 ――ぱふぱふぱふー」


で、こちらの童貞ライズちゃん。 ジェイドがぱふぱふしていたのを見て、自分もやりたくなったみたいだった。

なので、やってもらった。


……それはそうと、『ジェイドがぱふぱふ』って書いたら、重大な誤解を招いてしまいそうだね。

違うよ、違うんだ。 ぱふぱふというのはね、このね、どんどんぱふぱふーのほうであって…………。


――もう良いや。



それはそうとね、何だか私、出番が少ないような気がするの。

何と言うか……。 焦点があっちに合わせられてるというか、語り手なんておまけで良いでしょ? というか。

……うん。 これでもワタクシ、この旅の語り手役は、無駄に自負しておりますのよ。

それさえも降板させられたら……。 見た目以外は特に可愛くないワタクシ、このハーレム世界で生きていけませんわ!

おーほっほっほっほっほっほっほ!



…………何なんだろうか、この謎のくだりは?

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