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チョロイン☆デビュー!  作者:
海辺の町
25/83

第二十四話「アリア・イズ・バカ!」

「……で、俺たちはまず何をしたら?」

相変わらず、謎のやる気を出しているジェイドが聞く。 率先して仕事を受けていくスタイル。


「――うーん、そうね……。 とくにやる事も、今はないんだけど……」

ジェイドのやる気の塊みたいな顔に対して、

黒くてサラサラの髪が可愛い、宿の女の子――宿子やどこちゃんとでも呼びましょうか――は、

多少引き気味に仕事内容を考える。


今はまだ、思いっきり昼間。 しかも平日……。

晩になればものすごく忙しくなるとは聞いてるけど、丁度暇すぎる時間帯に到着してしまったようだ。

「……あっ、そうだ!」 ――と、何かを思い付いたとか、はたまた思い出したのか、

ぽーんと両手を合わせて、ぱちーんと叩いた宿子ちゃん。


その口から飛び出た発言は――。

「ちょっと遠くなるけど……荷物、取ってきてほしいの」

……ただ『パシってこい』と、まあそういう事になる言葉だった。



「……しかし、ほんと遠いわね」

「ミサイル、乗るー?」

「種類はアレとしても……魔力で乗り物作成、ってのも良いかも知れないな」

――それだと、謎ハンデ持ちな私が置いてかれることになりそうだな。 アレルギーのせいで、給食のデザートが食べれなかったような気分を味わうことにもなりそうだ。


……でも、錬成するのがダメってことは。

「なあライズ、突然だけども」

「何かしら、アリア?」

「生命活動とかのために、魔力って必要なもんなの?」

「ええ、もちろん……。 だから、今あなたが生きてるのも奇跡みたいなものなんだけど」

「バカは風邪ひかないし、大けがしても死なないんだってー。 ジェイドが言ってたー」

――ぐはっ!? クリスちゃんにバカって言われた!

主人公たる私をバカと呼び、ミサイルを乗りこなすクリスちゃん……。 ふむふむ、どこかで見たことがあるような。


「……そ、それはどっちを……ジェイドが言ってた、んだ?」

「……アリアが瀕死に」 ちょっと心配そうな顔をして、ライズがつぶやく。


「え? ジェイドが全部いったのー。 前に空から降ってきても死ななかったから、きっとあいつはバカなんだって」

「実際バカだったな」

「うるせえジェイドのくせに! かわいくて純真なクリスちゃんに変なこと吹き込むんじゃねぇっ!」

「……アリアが必死に」

ちょっとライズさん、さっきから何言ってるのかよくわからない。


「お前がバカじゃないなら、この世の誰がバカになる?」

珍しく会話に介入してくるジェイド。 ……でも、こんな話題の時に、積極的に話されてもねえ。

「るっせ……。 そんな落ち着きばらった口調で言うんじゃねえ、心に刺さる」

「おうとも、刺され刺され」 「さされー」

こうして見ると、兄妹かもしくは父娘みたいな二人。 仲睦まじい様子で、私を罵倒する――って、おい。


――と、そのときライズが立ち止まり、

「まあまあ二人とも、アリアのこといじってる間に到着したわよ」 笑いながらそう言った。

彼女の目の前にあるのは、微かに海のにおいがする、涼しげな青色の洞窟……。

……海のにおいって何だろう。 塩水?


「……お、やっぱり会話してると時間の経過は早い」

「でもつかれたー」

「クリス、バカは疲れないんだぞ……」

「おう、お前も疲れてないのかジェイド! 気が合うな!!」 さりげなく、自分もバカだと認めてしまった気がするが……。 まあいい。

この憎きジェイドを道連れに出来るのなら、この命――惜しくはないッ!!


「いいや、けっこうスタミナは消費したな」

……がっくり。

でも、でもでも……。 クリスは魔力使って疲れてるだろうけど、ジェイドは歩いてただけ。

むしろ可笑しいのは其方のほうではありゃー致しませんの? おーほっほっほっほっほっほ…………。


――ということで、何だかむなしい気持ちのまま、

私はとっても涼しい洞窟の中へとパシリに行ったのだった……。 つづく。

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