第十九話「銀ぎらぎんに」
「ということでー、報告いこ……」
クリスが何か異変を感じ取ったのか、無邪気に笑っていた顔が凍り付いた。
「……って、アリア!? それどしたの!?」
「それ……って、ああ」
ライズにも指摘されたな。 魔力が死にかけてる、って……。
「大丈夫大丈夫、吐血なんかしてないし」
「……ほんと? ライズ、アリアって嘘ついてない?」
えぇ……。 そんなに重大な事なの?
「ええ……大丈夫よ、ちょっとでも身体にダメージがいってたら、歩くことさえ出来ないじゃない」
「あ、そっかー。 なら大丈夫?」
「ああ、何ともないけど」
――と、クリスを(多分)納得させた次の瞬間、私の身体に強烈な視線が注がれた……。
うわ、エロ親父!? いくら今の私がダイナマイトグラマラスボディーだからと言って、私の前世は視線恐怖症とかそういうのだぞ……。
空の天使ちゃんと融合したことで、だいぶ緩和されてはいるんだけど。
「……何だよジェイド、そんなに私がおかしいか?」
「いや……お前の正体――というよりも、記憶を失う以前のお前が解った気がしてな」
「え? 記憶を失う以前……って」 ……空の天使のことか。
「ああ。 何やらお前には、複雑な事情があるらしい」
「えー……。 そうなのか? 私ってすごいのか?」
「いや、すごくは無い。 珍しいだけだ」
……珍しいのか。 青髪が? このスタイル抜群さが? 美少女っぷりが?
色々と気になったけど、ジェイドがそれ以上口を開くことは無かった。
――やばいぞ、これは益々寝れないじゃない!
◆
「依頼おわりましたー! B級よっつでーす」
「はい、御苦労だったな」
ギルマスさんに書類を渡すクリス。
交換で貰ったものは、何かがずっしり詰まっ……てはいるけど、けっこう小さな袋だ。
「やった~、報酬報酬!」
「……あらまぁ、意外とたくさんあるのね」
「――これは……返済してもあまりはあるな」
みんなが小さい袋を一斉に覗いて、『うわぁ……お金だ』って言ってる光景には、ちょっと引いたことも無かったけど。
「見せてー」
そりゃ初ギルドの初報酬だもの。 興奮もしますよね……。
ということで、そもそも通貨をまじまじと見ることが初めてである私も、袋の中身を覗かせてもらうことにした。
「……おぉ」
ワープの時とはまた違った、銀色の光を反射するコイン。
――すごく……銀貨です。 見たところ、五百枚くらいは入ってそうだ。
「……銅貨とかもあるんだよな?」 見たことあるし。
「あるよー! 銅貨が百枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚……って感じ」
クリスが解説してくれた。 ……ねぇクリスちゃん、背後に女の子ふたりがニヤつきながら立ってますよ。
早速ファンが出来ているようで……嬉しいわけでもないな。
繰り返すけど。 クリス、かわいいけど。 絶対あげないよ。
――と、まあ話を戻して……。
銅貨が一円くらいだとすれば、銀貨一枚が百円玉くらい。 百円×百で……金貨は一枚につき一万円だ。
そんなのが大きい袋に、ぎっしり詰まってるとしたら……ウェヒヒヒ。
あ、大きい袋のサイズはサンタクロースが持ってるあれくらいでお願いしたいです。
……守銭奴な性格は、多分前世の私の面影だと思う……。




