第十七話「爆ぜよゴーレム燃やせよ乙女」
――適当なB級の依頼を受けて、私はジェムを二つ持った。 ひとつは行き、ひとつは帰りのためのもの。
「ワープっ!!」 勢い良くジェムを空中に放り投げる。
そして落下してきたところを、人差し指と親指でぱちりとつまんで潰した。
――その途端、あたりは何色でもない光に包まれた。
「……っ」 眩しい光がようやく収まり、目を開けると。
そこには紛れも無い、夜の森が広がっていた。 ……さっきまで朝だったのに。
本当にワープした……。
と、感動している暇なんてなかった。 これは任務だ任務、借金返済の為!
ついでに、任務の内容は……確か、大量発生したゴーレムを討伐することである。
けっこう強いから気を付けて、って言われたけど――、私なら出来る! なぜならこの肉体だから!
◆
「……あっ!?」
とりあえず隠れなきゃいけない気がして、私は木々の後ろに身を潜めた。
――散々待ちぼうけをくらったけど、やっとゴーレムが登場してきている。 見たところ、身体は木で出来ているようだ。
だったら火でも付ければ一発……だと思ったけど、そもそも私は魔法、上手く使えない。
つまり、殴って壊さないと勝てない!
よしッ!
私は隠れてた木のてっぺんに昇って、そのままゴーレムの頭上に飛んだ。 ほんと、ジャンプ力高いって便利だ。
ゴーレムがびっくりしてる間に、上から殴る!
「ふんっ!」
――なんと、ちょっと力を入れただけで、ゴーレムは粉砕されてしまった。
私が強いのか、向こうが弱いのか……。
とにかくとにかく、『俺tueee!!』って気分で無双してやるぞッ!!
今度は十体くらい、一気に湧き出てきたゴーレムさん。
前方にいた三体には、まず回し蹴り。
そして、襲ってこようとした後ろの一体は、
足と足の間に潜り込んで、思いっきり金的攻撃だッ! 殴った場所から、頭まで風穴が空いている。
へえ、すごいね籠手。
で、回し蹴りした三体には、普通に殴って消えてもらった。
うひょひょひょっ! 本気で錯覚してきたかも。
残りは六体。
とりあえずは残り一体まで減らして、最後は魔法で決めてみるか。
っていうことで、とにかく蹴って殴って叩いて、刺して飛ばして嬲って……で減らす。
最後に残ったゴーレムと、大量の木くず……。 このクズ、ゴーレムの素だったりしないかな?
「えーと、イメージして念じて頑張る! だったっけ?」
イメージ……火の玉。 ファイアーボールだ!!
「出てこい火の玉ー!」
私はそう叫んで、両の手のひらをゴーレムにかざした。
イメージでは、ちっちゃいけど煮えたぎる火の玉が百個くらい出現して、全部が対象に向かっていく……って感じだったんだけど。
リアルの火の玉は、マッチの火くらいの大きさだった。
よろよろと、脱力するような足取りで、ゴーレムに向かっていく我が魔法……。
「……しょぼいな……」
だが、しょぼくても火だ。
ゴーレムの胴体に当たった火の玉は、燃え出すわけでも無く、弾かれた。
火ェ……。 私がそう落胆した瞬間。
いきなり、マイマジカルは回りに落ちていた木くずに着火した。
「えっ」
私は予想外の展開に、驚きの声をもらした。 多分、ゴーレムも同じ思いだったと思う。
勢い良く燃える、ゴーレムの残骸たち……。
それらは凄まじい速度で、残りの一匹に着火して、どういうことか爆発を始めた。
爆発が爆発を呼んで、ゴーレムを中心として爆発地獄が巻き起こっている。
「あわわわ……さ、さいならー」
私は怖くなって、とりあえず全力で森の中へとダッシュする。
……地面や木々には影響もなさそうだったし、ほっといたらゴーレムたちだけで爆発するだろう、と信じながら、
ポケットに入っていたジェムを握りつぶした。




