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チョロイン☆デビュー!  作者:
城下町
17/83

第十六話「ゲーム&異世界」

「なあ、ジェイド……。 ちょっと話いいか?」

私はそう言って、こっそりジェイドに質問を投げかけようとした。

もちろん、先ほどの時間停止問題のことである。 地味に気になって、今夜は眠れる気がしない。


質問の詳しい内容?

そりゃ、あれだよ。 こいつはびっくりするほどのテンプレ主人公。

……まあ、アンチテンプレもテンプレの一つって言ったりするし、そういう意味では私だってテンプレ主人公だけど。 それは置いといて、だな。


私の中の異世界転生テンプレ通りに行けば、トラックに轢かれた後は神様に会って能力をもらい、そして異世界へと旅立つ……ってな感じだ。

で、ちょくちょく神様に会って、『こいつに気を付けろ』だの『ちゃんとしてるか』だの小言を言われるイメージもある。


つまり、さっきの時間停止は神様の仕業かもしれない! いや、想像だけど。

例えばさ、時間を動かす対象が『日本人のみ』だとしたら、中身ジャパニーズガールな私は動けるわけだ。


――とまあ、ともかく聞いてみるのが早いでしょ。

クリスとかライズとかに聞かれても困る話かもしれないし、私は前述の通りギルドへ出発する前の時間に、

それはそれはこっそり聞きにいったわけなんだけど……。


「あぁ……悪いがそういうのはNGなんだ」

だいぶあっさり断られてしまった。 しかも、『またそれか……やれやれ』みたいな目付きで。

もしかして、転生者ってこの世界ではだいぶ浮いてるわけ?

そりゃ顔平たい族そのまんまの顔立ちだもんな。 浮くのも納得だ……。


というわけで、NG宣言を聞かされた、(心は)顔の平たい私。

「そうか……。 わかった」

本当になんとなくだけど、『そのまま転生』の苦労がわかった気がして、深くは追求しないでおいた。

……今夜、ちゃんと寝れるかな?



「……えー、と。 ようこそ、我がギルド、『OVER COME』へ!」

ぱちぱちぱち、と、ギルドに拍手が響き渡る。


質問を終えた私と愉快な仲間たちは、予定通りにギルドへと来ていた。

そろそろ資金が底を突こうとしているのだ。 一刻も早く稼がねば……。


「……あ、ちなみに三人とも」

「なーに?」 「何かしら」 「何だよ」

ちょっとタイミングをずらして、クリス&ライズのヒロイン二人と、ヒロイン(笑)の私が返事をする。


「今の時点で、もう借金あるから……みんなドラゴンくらいなら倒せるよな?」

え、借金って……。 どのくらいだよ?

「だいたい……そうだな、A級クエスト四回行けば終わるくらいだ」

えー……。 Aだけにえー……。

そもそも、A級クエストってなんだよ? モンスターをハントでもするのか?

「そうだ」


その時、ライズが横からお得な情報を持ってきてくれた。

「そうそう、実技試験の評価が高かったし……数回はけっこうボーナスあるみたいよ」

「よしきた」 思わずガッツポーズを決める私。


「……えーとね、具体的には……」

冒険手帳をめくりながら、ライズは続ける。

(チラっと見えた限りでは)どうやら、ポスターの内容を手帳に転写しているようだった。

……へー、意外と便利だな、魔法。


「あ、B級でA級並みの報酬がもらえるみたい」

「おー! すごーい!」

クリスが無邪気に喜んで、目を輝かせながら嬉しそうにジャンプした。 回りにいるギルドメンバーたちの頬がゆるんでいるように見える。


へへーん、うちの子かわいいでしょ? あげないよ。



「……じゃあ、B級でもいけるらしい。 目的地までの往復はワープジェムでいけるし、OKだな?」

「うん! 大丈夫だよー」

「ええ、じゃあ早速依頼でも受けましょうか」

――ワープジェムって何だべ。 何やらゲームっぽい名前の移動装置が登場したぞ?


あー、あれだろ、わかるわかる。 一度でも行ったことのある町に瞬間移動できるけど、ごく稀に違う場所に飛ばされちゃうとかそういうのだろ。

多分ワープオーブとかもあって、ジェムのほうは消費品なんでしょ? ゲームとかアニメとかで見たことある。


とまあ、そこまで考えて、ふとギルドの入り口のほうを見たら。

「……あ、あれか」

中に魔法の聖水っぽい液体が入った宝石が、扉の横にぎっしりと並べられていましたとさ。

まるで『ご自由にお持ちください』って書かれたショップカードみたいに。


やめてくれ! そんな綺麗でロマンと魔力のつまった宝石を、石ころみたいに扱うのは……。

異世界よ、君は私の幻想をどれだけぶち壊せば気が済むんだ?

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