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チョロイン☆デビュー!  作者:
城下町
14/83

第十三話「考え事」

夜遅く。

ギルマスさんは、「じゃあ手続きなんかは明日で」って言ってたけれども、

もはや明日まで一時間半くらいになっているくらいの時間に、私たちはようやく宿へと入った。

受付に入って、手帳を提示して、部屋に通される。

んで、荷物を降ろして、ちょっと食事済まして、風呂入って、上がる。


――で、今は寝る最中だ。

寝巻なんかは、宿に用意してあるのを着ればいい。 ちなみに浴衣である。

「おやすみー」……と言って、すぐに寝てしまったジェイド。

だいぶ熟睡しているようなので、ちょっとやそっと騒ごうが起きることは恐らくない。

ライズやクリスも寝付いてるみたいだし、ここは考え事にぴったりの時間だな。

寝落ちの危険性もあるっちゃあるのだが。



……さっきのVS竜について。

あれこそ、日本むこう異世界ここの違いを一番に感じた出来事だったな。 まだ転生して一か月も経ってないんだけども。


いや、私だって中二病は酷かったんだから……一応、写真で見る分には大丈夫ですよ。

私みたいな小学六年くらいでグロ見てて、中三で死んだ腐れ野郎、ほかに、いますかっていねーか。はは。


だとしてもリアルに、なぜか大出血なのはちょっと気持ち悪くなった。 ……だって、右手に抉れた肉の感触が残ってるんだもの……。

それでもぜんぜん平気なクリスにライズにジェイドたち。

確かに抉った感触を体験したのは私だけだし、それに私だって、他の人が殴って大出血なんかさせてても何とも思わない気がする。

相手が人間とかエルフとか獣人とかなら、やれ犯罪だとかやれ暴力だとか思うんだろうけど、竜なら大丈夫である。

やっぱり、ここの常識には慣れとくべきなのか?

それとも、いつかは日本に帰れるかもしれないし……、その時に異世界色に染まってたら、なぁ……?

長く住んでればちょっとずつ染まってくるのは多分確実だろう。

もしかすれば、日本人としての人格とオリジナル空の天使人格は同時に存在してたりして。 だとすればオリジナル人格は日本の私に憑依してたり……?


と、ここまできて考えたのはジェイドのことになるな。

偉大なるのかどうかは解らないし判断できない、しかも偽物かもしれない『転生チート』の戦士。

正直言って時間停止なんぞがチートになるのかは……微妙なところか。 使い方によっては凄い強かったりもするんだろうけど。


(――アイツって、転生してどのくらいになるんだろ?)

小学生レベルの常識は知ってるくらい。 でも、転生じゃなくてトリップとか転移とかの可能性だってある……。

ついでに、実は時間停止以外にも何か持ってるかもしれないんだよな。

隠し玉だったりとか、あるいは無自覚に神々しいくらいの能力を秘めていたりとか……。


――ん? だとしたら、私もそういう無自覚に能力を発揮する系のキャラクターだったりする可能性が出てきたぞ。

可能性の問題とかなら、けっこういっぱいあるな……。


転生だと思ったら、ただの記憶喪失で、元の人格がオリジナル空の天使ちゃんだったとか。

今、私が前世と思ってるのが現実世界で、実はこの異世界が植物人間になった私が見ている夢とか。

夢の中では現実を忘れることだってあるし、これは毎晩見てる夢で、こっちで寝てる間は向こうが起きてる~、とか。


あーっ、もうややこしい!


とりあえずは、魔法について誰かに聞いてみるか。 最初の一発で血が出たのは確実におかしい。

だって、前の試練のヤツとか、みんなでフルボッコのときとか、そういう時には血は出てこなかったしな。

これが魔法ってやつなのかもしれない。 拳を刃物へと変えるとか?



あとは……第一回、転生レポートのお時間にでもしようか。

紙やペンがあることは確定したし、明日にでも日記買ってくるとして……いまのうちに、内容をまとめておこう。


まず、ご飯はそこそこ美味しかった。

メニューはちっちゃい肉と、ちっちゃいパン。 あとカニミソみたいな味がするソース。

根っからの白米派である私は少しがっかりしたけども、ソースに付けて食べるパンはヤバいほど美味。


で、次に風呂だな。

ここでは混浴が一般的になってるらしくて、一度は一斉に入ろう、なんて提案があったんだけど、

この宿の浴槽がふたりでギリギリくらいの広さだったお陰で助かった。

決め方は『グーとパーで別れましょー』っていうアレ。 ちなみに私はライズとでした。


くそーっ……。 混浴とか、男だったら得だけど私にとっちゃ損しか無いんだって!!

こう見えても、現在のプロポーションにはある程度自身を持ってる私。

公衆浴場とか行ってさ、思いっきりガン見されたりすればどう思うよ? この世界、(今まで見た人たちから判断すると)痩せてる人は貧乳だし、巨乳は腹もでかい人ばっかりなんだしさ。

ボーン! キュッ! ボーン!……なこの私が別の意味で無双できるのは確実だけど。 あ、私は貧乳好きなのでお得です。


……とまぁ、色々考えているうちに瞼が重くなってきました。

細かいことは明日にでも実行するとして……今日は寝ることにしよう……っと。


私は眠気に流されるまま、両の瞼をゆっくりと閉ざした。

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