第九話「面接と実技とチート」
「……ほうほう、ここがギルドねぇ…」
表向きは大人しめにそう言った私だが、本心ではかなーり興奮&緊張していた。
だってギルドマスターの前だぞ? 採用条件とか、全く予習してない。
これを見るだけでギルドに入れる!必勝・面接マニュアル~っ…なんちゃって。
「人、あんまりいないねー」
「私はこのくらいのほうがいいと思う、自分たちで大きくしていけるものね」
やけに自信たっぷりのライズ。 入れる自信あるんだな…もしくは面接自体無いか。
◆
……というわけで、ギルドマスターに話したところ、一応面接と、あと実技試験?はあった。
ちなみに手帳は既に発行済みである。
メタリックでカッコいいので、さっきから肌身離さず握りしめているところだ。
で、面接は本当にさらっと終わった。
一人ずつ部屋に呼び出されて、五分もすれば皆『成功した』と確信した顔で帰ってくる。
私の場合はこんな感じだ。
「名前を教えてください」
「アリア・ユリシフタと申します」
「職業は?」
「ええと……魔術師だと思います、たぶん」
「多分、とはどういった…?」
「私、数日前に空から落ちてきて、記憶が飛んでるんです!」
ここでちょっとヤバいこと言った感じはしたが、そのまま真顔で続ける。
「それに、攻撃手段はほとんど物理ですが…手帳に記載されているのは『魔術師』なので」
「……そうか」
数秒考えこんだ後、マスターは笑いを堪え切れなくなったのか肩を震わせた。
「ふふふふ…、あはははは! いいだろう、全員面接は通してやる」
「え……、やったー!」
前世でも現世?でも、面接経験はこれが初めての私。
こんなに緩いものなのか、と疑問を感じながらも、とりあえず採用へ一歩近づいた喜びに声をあげた。
――そういうことで、今から実技試験に移る。
城下町の、先ほどは見かけなかった抜け道を通って、地下道を歩く。
「……えーと、ライズ。 実技、ってどんなのか知ってるか?」
「ジェイドが無双するところよ」
「へ、へぇ…。 そうなのか?」
「まあな。 見てろって、あっと言う間に採用だから」
模範のようなドヤ顔を披露するジェイド・アラバスター、ハーレム持ち十九歳。
背中に背負ってる斧からして、脳みそまで筋肉っぽい風格がある。
「その斧、強いのか?」
「ああ、自慢の武器だ」
「……チートスキルとか、持ってるのか?」
「いや? あ、自分で言うが魔力量はすごいぞ」
「自分で言うんだな、相当自信がおありのようで」
これは…わりと戦闘が楽しみか?
ちなみにクリスは小さい傘みたいなスティックを、ライズは紫色に光る剣ふたつを、
それぞれ腰のベルトに収納している。
一方の私は、ずっと籠手も付けっぱなしだ。 すぐ戦える便利さが売りです。
「…にしてもさー、中、暗いねー」 クリスが呟いた。
確かに、この地下道は異様に暗くて…お化け屋敷を彷彿させる。
…お化け屋敷? あっ、そうだ。
私は思い付きを実行するため、こっそりライズの背後に回った。
「わぁっ!」 「きゃああッ!?」
へへーん、成功成功。
「…も、もうアリアっ!!」
そうそう、こうやって少しづつ親睦を深めていこう。
よくよく見ればライズもエルフで同い年で可愛いことに気付いたんだから、
そういうのも使っていかなきゃ損だ。
(自称)空の天使である私は、みんなに幸せを届けることが仕事なのだから!
「お、あれって扉じゃないか?」
「あーっ! ほんとだ、長かったねー」
――見てみると、暗闇の中にぼんやりと扉が浮かんでいた。
そろそろ本番だ。
緊張が身体を駆け巡る…が、さっきの話を思い出すとその緊張もほぐれた。
そう、我がパーティーには異世界転生チート主人公がいるのだ!
さりげなく随所に変更を加えました




