15-8 大迷惑
一方その頃…
遊園地を満喫しきった風華くんと舞ちゃんは…
炎尾と勇の激闘(笑)が繰り広げられていた憩いの噴水に足を運んでいた。
舞ちゃんは黒のカチューシャをつけちゃって…全く可愛すぎる!あざと〜!
風華も舞に「つけて!」と言われたんだろう、舞とお揃いのカチューシャをつけている。
相当仲良くなった…ように見えるが二人の間には人一人入れるくらいの隙間がある。まだ二人はシャイボーイandガールなのだ。
二人はその憩いの噴水にたどり着いて目を丸める。二人は元々目が大きいからぱっちりお目目だ。
「…あれぇ?誰もいないね」
「他の所でイベントがあるわけでもなさそうだし…」
「風華くん何か知ってる…?」
「普段はここにカップルの人たちがいっぱいいるらしいんだけど…」
「なんか今日はいないみたい…」
「え…か!かっぷるぅ…?」
「お!俺たちはカップルじゃないけどね!」
「ただの友達だもんね!」
「…むぅ!」
「え」
なぜか舞はぷくぅ!とほっぺを膨らましている。…風華には舞の気持ちがよくわからない…
…だが風華はこれまでの傾向から見て一つの答えを捻り出す。
「舞さんってもしかして…」
「にゅ…?」
「いや勘違いだったら恥ずかしいんだけど…!」
「にゅう!」
「俺と友達なのいや…?」
「にゅぅぅ!」
なんだかまた逆にぷく顔をしちゃった舞。
ちなみにさっきから「にゅ〜」って言っているが、これはここの遊園地のキャラクターの"ニュー君"の語尾だ。さっき二人とニュー君とで写真を撮ってから舞は「にゅ〜」ってよく言うようになった。あざとすぎる。
「風華くんと友達なのはいいけど…!」
「風華くんに友達って言われたくないの!」
「どうゆうこと…」
「む…!むぅむぅ!」
舞の右手をプルプルと震えている。
そして舞はほっぺを膨らましながら眉を顰める。上目遣い気味だから…なんだか怒ってるっぽいのに可愛く見えちゃう。
小3の女子を怒らせちゃった気持ち。
「風華くんのおばかっ!」
「こ!こうゆうことなんだもん!」
パッと震えている右手で、風華の左手を握る。舞のお手手はぷにぷにして…なんだかいけない事をしちゃってる気分になる。
風華は恥ずかしがるが…舞はそれ以上に恥ずかしがっているからな…なんだかその恥ずかしさはすぐに消えちゃった。
「こ…こうゆうことって…?」
「ま!まだ分からないの!?」
「風華くんのおばかっ!」
「舞のお顔見て…!」
ジーッ
風華は舞の顔を近距離でジーと見つめる。
普段のきゃわいい舞の顔とさほど変わらない。でも今日は気合いが入ってるみたいでうすーくメイクがされている。
もうこのまま見ていたら…理性が吹っ飛ばされそうだ。口唇もぷっくりしていて可愛い…
「な…!なんでそんなに見てくるのぉ!」
パチンッ!
ふっつーにほっぺたを叩かれた。
しかも舞は結構本気で叩いたようで…風華の顔は半回転する。…首をいわせてるかも知れない。あまりにも理不尽…
「よ…よく分からなかったです…」
「な!なんでよ…!」
「いや叩かれたから…」
「むぅ!変な嘘つかないでよ…!」
「舞はよわよわでばぶばぶな女の子だもん…」
「えぇ…」
あまりにも理不尽だが…舞は本当に困っている様だからそれ以上追求することはできない。
風華のほっぺは真っ赤っかだ。
舞の顔もなぜか真っ赤っか。お揃いだね。
「あれ?」
「あそこに何か小っちゃい子供みたいなのちたよ?」
「ダメだよ舞さん!危ないよ」
「?」
「にゅ〜!」
舞は無邪気な笑みで走り出していく。
風華は慌てながらその舞の後ろを追いかける。
もう本当に風華がお父さんの様に見えてくる。風華も勇とかの前なら子供みたいなのに…それ以上の子供がいると自然とそうなっちゃう。
そして噴水の反対側まで走った舞と風華。
そこにいるものに二人は口をポカーンと開ける。
「…ひゃぁぁ」
「きゃわぁぁ!」
そこにはちっちゃなキツネが大きく股を開けて座っていた。2頭身でめちゃめちゃ可愛い。大きな青い目…ふさふさなお毛毛。
思わず抱きしめたくなる様なフォルムだ。
「み!見るなこん!」
「わぁ…喋ったぁ!」
舞はこの甲高すぎる声にはビビらないのだろうか…めちゃめちゃに嬉しそうにぴょこぴょこ跳ねている。
あ…それよりキツネが話してる事にまず驚くべきだ。
「あなた名前なんて言うの?」
「妾は炎尾だこん!」
「きゃわ…」
「EBIちゃん…」
「炎尾だこん!」
「ダメだよ!EBIちゃん!」
「妾は炎尾だこん!」
舞と同じ様にぴょこぴょこと跳ねて怒る炎尾。
すごいジャンプ力が低くって…跳ねるたびに愛らしさがやってくる。
「あー!ダメぇ!」
むぎゅっ!
理性が飛ばされてしまった舞は炎尾を抱きしめてしまう。
「んぼぼぼ!」
舞のおぱいぱいに潰されてしまった炎尾。
正直に言って羨ましいと思うと共に…炎尾が呼吸できないのを見ると、やっぱり怖さが勝ってしまう。
「炎尾ちゃんじゃなくってEBIちゃんの方が可愛い…!」
「だからね…お願い…」
「むほぉ…EBIちゃんでいいこん…」
助平ぇな顔で鼻の下を伸ばしている炎尾。
こいつは雄だって気づいた途端…風華は顔をムッとして炎尾を見つめる。
炎尾はニヤニヤしながらそんな風華を見ている。こいつは多分エロガキなんだろう。いやえろキツネか。
「舞さん!そいつ危ないから近づいちゃダメだよ!」
「えぇ…?EBIちゃん良い子だよ?」
「言いがかりはダメだよ!風華くん!」
「い!今!そのキツネの顔見て!」
「え?」
舞は風華の方から炎尾の方に視線を移す。
…やっとえろキツネの本当の顔を!本当のゲスエロの顔を暴ける!
そんなことを考えて喜んでいると…キツネは大きく目を開いて…ポカンと口を開けている。
…悔しいがめちゃくちゃに可愛い。
もうなんかのキャラクターみたいで舞のホワホワ具合がさらに整っていく。
「ほにゃぁぁ」
「にゅ〜!きゃわいい…」
またぎゅ〜!と炎尾を胸で押しつぶす舞。
風華はこんなちっちゃな動物に嫉妬してしまう…めちゃめちゃイケメンより…こんなちっちゃな動物に嫉妬してしまうなんて…
「あ!舞さんそれダメ!」
「ふんっ!」
「風華くんは良い子だけどたまに変な事言うの!」
「あ!舞さんおっぱいが!」
「え…?おっぱい…?」
「…」
「…」
「風華くん…!変態!大っ嫌い!」
「風華くんから見たら舞なんてただのおっぱいが大きいだけの女の子なんだねっ!」
「もう良いもんっ!EBIちゃん一緒に帰ろ!」
炎尾は舞の剛腕に掴まれて連れていかれる。
舞もだいぶおチビちゃんだが…炎尾の方がさらに小っちゃいから、炎尾は地面に足が着かずプラプラしている。
勘違いでブチギレた舞を追うことは出来ない。
このまま追ってしまっても…勘違いは解くことは出来ず…さらにブチギレてしまうだけだ。風華は傾向と対策ができる男だ。
でもこの悲しみが消えるわけじゃないので…もちろん悲しくって風華は、誰もいない噴水の近くのベンチに座る。
「…もう舞さんが分からないなぁ」
「颯さんってやっぱりすごかったんだなぁ…」
「…!」
風華は思い出した。
舞とやっとLINUを繋げられたのだ…!
多分こう言う時のために颯は、風華と舞にLINUを繋げさせたのだ。やっぱり颯はすごかったんだなぁ…ってまた感心してしまう。
「え…と…えと…」
「なんて送ろうかなぁ」
「と…とりあえず…今日は楽しかったです…っと…」
ぽこんっ!
これはタヌキの声じゃなくってLINUでメッセージを送った音だ。キツネが出てきたからタヌキも出てくるの!?なんて安直な考えはやめなさい。
「は…!これは違うか…」
風華はそのメッセージを消した。
…良くtink tonk!とかで流れてくる片想いの最中にやめた方がいい行為!ってので出てくるメッセージの取り消し。…これを風華はやってしまった。
でもあんまり風華を責めないでやってほしい。
風華はtink tonk!をやっていないのだから。
「さっきはごめん…」
ぽこんっ!
「は!やっぱり違う!」
そして数分後…
風華は満足そうな顔でスマホを見ている。
送ったメッセージはというと…
『舞さん今日は怒らせちゃってごめん…!』
『せっかく楽しそうだったのに…俺のせいでごめん…!』
『謝りたいから今度一緒にご飯でもどうですか…?』
…う〜んLINU評価をするならこれは10点満点中4点ってところだ。ごめんが連続するのは流石にセンスはないが…ご飯で釣るのはいいと思う。しかも相手は舞だから効果は抜群だろう。
…だが流石の舞でもさっき喧嘩したばっかだから…簡単には釣られることはないだろう。
『…舞も怒っちゃってごめんね』
『…舞はお寿司を食べたいです』
めちゃくちゃにちょろい女の子だった。
風華はほっと一息。緊張が取れた体はぐて〜となってちょっと噴水の水が腕に付いちゃう。
舞は帰ってしまったものの…楽しかった事実は変わらない。多分…次また舞と会ったら「変態!」ってのは言われるだろうが、怒りはおさまっていると思う。
だから今日ここに来たことは実質プラスでしかない。
「…ていうかなんかさっきまでここら辺騒がしかったなぁ」
「…しかもなんか喋れるキツネがいたし…ここには何かの焼け跡があるし…」
「もしかして勇でも居たのかなぁ…」
「なんちゃって!」
独り言も可愛い事を言っている風華。
「…ふわぁ」
「俺もそろそろ帰ろうかなぁ…」
「…」
風華はスマホのホーム画面を見てみると…めちゃくちゃにLINUの通知が溜まっている。
…多分だけどこれ全部舞だと思う。
風華はいちいちメッセージを消して…ってやってるが、多分舞はメッセージを消さずに間違えたこととかを、訂正するメッセージを送るタイプなんだろう。イメージ通りだ。
風華が帰った後…
噴水の水の音が静かになっている。
水にオレンジ色の空が反射して、今日の空は異様に綺麗だ。今日の空が一番好きと…言えてしまいそうなくらいには綺麗だ。
…それはトイレの水にも反射している。
「あぁ腹痛い…」
ポチャンポチャンと汚い音が聞こえる。
もうすぐに夜の部が始まるのか…陽気な音楽が流れている。
…風華と舞が上手くいったのだろうか。
炎尾はどうなったのだろうか。
そんなことどうでもいいくらい腹痛い。
「…やばい」
ぽこんっ!
ポケットに入っているスマホが音を鳴らす。
勇はトイレの最中にスマホを弄らないタイプだ。
「あ…杏からだ」
「何々…?」
「観覧車で待ってるから早く来てね!っか…」
「あ…腹治った」
あまりにも貪欲な勇のお腹だ。
…観覧車は楽しかった。ま…けど特筆する点はない。正直杏が楽しんでいる顔が可愛すぎってあんまり記憶がないだけだ。
…風華と舞のデートは成功したっぽい。
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