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ANCIENT   作者: 美朱太
月面の太陽
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77/95

15-1 simple

颯が紅恋と霊愛に会う2時間くらい前の話。

颯はもう帰ってしまったが…

学校内は未だに興奮冷めやらぬ様子だった。

その理由はただ一つ…!

あの舞が颯からもらったペアチケットの行方だ。

今現在18時30分だ。

普通なら生徒は学校から出て…もう各々の放課後を謳歌しているはず…!

だが今日はそんな事をどうでも良かった。

生徒も先生も学校の中に留まっている!

 「…んで舞ちゃん誰と行くの?」

舞と仲良い名前のない女子。多分モブ芽。

その他にも舞と仲良い女子が舞の机に集まっている。…みんなみんな綺麗だ。

杏や玲那はその舞を親のような目で見る。

風華や勇はまた別の所に行っている。多分図書館でスマホをいじっているんだろう。インキャだから。

 「…?」

 「ほら遊園地だよ!」

 「…むぅ〜?ゆーえんちー?」

 「舞ちゃん!なんてあざとい子なのっ!?」

舞は口を尖らせて目を少し細めている。

…多分普通の顔をしていたら笑みが溢れてしまうのだろう。(玲那の見解)

モブ芽に抱きつかれても舞はその表情を変えない。

 「いいじゃ〜ん!教えて教えて〜!」

 「あ!勝也くんとか!?」

勝也とは2話に名前だけ登場した人物。

まぁイケメンでスポーツ万能、勉強できる感じのラノベの主人公って感じのやつだ。

舞は表情を変えずに首をぷいぷいと振る。

舞の友達はその表情を見てほわわ〜と幸せな空気に包まれる。生きてるだけで周りを幸せにする舞がいちばんの天使なのかも知れない…

 「最近舞と仲良い男の子…」

 「あ…」

 「あ…」

 「一人いたねぇ〜…」

 「あの可愛い男の子がね〜」

直接名前を言ってはないが…多分みんなの頭にあるのはたった一人の男だ。いやあれを完璧な男と言っていいのかのかわからないが…風華の事を思い描いているのだろう。

舞も風華を思い浮かべているのか…口を尖らせるのを忘れ、大きく口を開けて顔を真っ赤にしている。あまりにも分かりやすくてニヤニヤが止まらない。(玲那と杏談)

 「違うわん!違うにゃん!違うぱおーん!」

もう恥ずかしくってボケ倒さなきゃダメなんだろう。あまりにも純粋な舞にほわわんとしてしまう。多分この辺り一帯今幸せムード。

 「前々から仲良いとは思ってたけど…」

 「まさかラブチだとはねぇ〜」

 「可愛い子と可愛い子だと思ってたけど…」

 「まぁ確かに舞ちゃんよく風華見てるしね」

 「見てないっ!」

 「見てるしっ!」

 「怒った顔しながら!」

…まぁなんやかんやあって、舞は風華と遊園地に遊びに行くことになった。

これはデートなどではなく単なる友達同士の遊びだ。


図書館でスマホをいじっていた風華のスマホがブーっと音を鳴らす。普通図書館ではマナーモードにするが…風華はアホちゃんだから許してやってほしい。

 「…!」

 「ま…!ま…!舞さんからLINUきた…!」

 「あれ…?舞とLINU交換できたんだ」

 「ちょっと…とある人に助けてもらって…」

 「ふ〜ん…まぁ別にどうでもいいけど」

 「なんてきたんだ?」

 「え〜と」

 「『風華くんっ!舞と一緒に遊園地行こっ!』」

この『』はLINUの文章をそのまま書いている。

つまり舞はメッセージでも『っ!』ってつけるタイプなんだ。つまり…舞は天然であざといと言うこと。

 「…良かったな」

勇はカッコつけて頬杖を突いている。

…だがそんな勇の頭の中にはグルグルと色んな事が駆け巡っていた。

風華の幸せを祝っているような幸せな頭の中では無くって…せっせこと不幸せな情報だけを流し込んできている。

…前までは恋愛に関しては確実に風華より上だと思っていた。しかも一段ではなく三段くらい上で風華を見ているつもりだった。

だが…今はどうだろうか…

風華は階段を五段くらい登っていて…

自分は二段階段を降りてしまっている。

風華は優しいからあまり気にしていないだろうが…こんなに藻掻こうとして階段から落ちてしまっている姿を見たら普通の人なら笑ってしまうだろう。

杏から直接理由は聞いたが…よくわからん。

なんでそれだけの理由で杏が怒るのかが全く分からぬ。

まぁ自分のことはどうでも良くって…目の前に幸せになりそうな風華がいて、頭の中に天使と悪魔がやってくる。天使は…舞。悪魔は霊愛のビジュアルにしておこう。霊愛は普通に天使らしいが…性格がちゃんと悪魔だから仕方ない。

まず天使の舞の意見は…

 「風華くんが幸せそうなんだからいいじゃん!」

 「勇くんも良いことしたら幸せになれるよ!」

…全く単純で赤ちゃんにでも理解できるような言葉。多分今の時代こんな簡単なことの方が刺さるんだと思う。

一方脳内悪魔側の霊愛は…

 「風華の幸せはお前の幸せじゃない!」

 「引き摺り込んで逆にのしあがってしまえ!」

 「他人の幸せも自分の幸せにしてしまえッ!」

あまりにも昔から擦られてきた様な言葉。

だが…これが人間が生き残り繁栄してこれた本質だからこそ何年も昔から擦られてきたのかもしれない。

そしてひねり出した答えは…

 「舞と初デート頑張ってこいよ」

 「風華のことだから色々振り回されそうだけど…」

 「まぁ…自分らしく頑張ってきなよ」

 「ゆ…勇…良い奴…」

 「勇は一人でスマホいじりながら家で待ってててね!」

流石にこんな純粋無垢な笑みを見せられても…許せないものがある!純粋罵倒。

勇は決意した…!

勇はとある事をしようと…バックの中から財布を取り出す。

そして勇の財布の中には5000円と小銭がちょこちょことあるだけ…

ちなみに勇の1ヶ月のお小遣いは1万円…!

次のお小遣いが入ってくるのはもう数日。

勇は覚悟を決めてコクコクと連続で頷く。

 「どうしたの?」

 「…俺も明日忙しくなる」

 「なんか予定入ったの?」

 「うん…今入れた」

 「???」

風華は困惑の表情を見せるが…

すぐに楽しそうな表情をしだす。

その直前にスマホがピコンって鳴ってたから…多分舞からLINUがきたんだろう。めちゃくちゃ風華の耳が赤くなっている。

 「じゃあ頑張れよ」

 「あ…!あと何時に遊ぶか決まったら連絡ちょうだい」

 「え?なんで?」

 「ほ…ほら」

 「舞と遊んでる最中にLINUしたくないから」

 「ゆ…!勇!勇って気が使えるんだねッ!」

 「そ…そりゃな…」

そうして時間は決まった…!

朝10時!遊園地が開いてから1時間後!

勝負はその時だ…!

風華も舞も気合いが入っているだろうが…いちばん気合いが入っているのはまさかの勇だ。


次の日になり…舞と風華の初デート…ではなくて初遊びが始まる。

次の投稿は月曜日です

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