9-5 友よ
「って言うか小娘はバカじゃから分からんじゃろうが…」
お年寄りはすぐにバカって言ってくる。一発じゃ別にストレスにならないが積もり積もってストレスになってくる。しかもお年寄りだから怒れない…!最強のチート能力は若者の優しさに守られたお年寄りなのかっ!?
「四門というのは知っているか?」
「て…寺門ですか?」
「それはジモンじゃ」
「あそっかそっか」
こんな馬鹿げたボケにもツッこんでくれる老婆。案外いい人なのかも知れない。これで"バカ"って言ったのも帳消しだ。
でもずっと眉間にシワが寄っているのは気になる。
多分"四門"や"浪華家"を知らないおめでたい脳みその風華に怒ってるんだろう。
「四門は火,水,風,地の四つの属性の封印門の事じゃ!」
「お願い!もっと詳しく教えて?」
あざとい瞳で老婆を見つめる風華。多分舞のことリスペクトしている。…いや舞よりあざとい顔をしている。
老婆は少し気分の良さそうな顔をする。
「四門のまず一つ…火の門と書き東門の火門…」
「へい!かもんかもんッ!」
「次に水の門と書き西門の水門」
「水戸黄門の略なのかな…」
「…風の門と書き北門の風門」
「ふふん!不問なり!」
「…」
「おばあちゃん最後はぁ〜?」
「地に門と書き…南門の…」
「南門の?」
「地門じゃ」
あまりに早い伏線?回収に老婆も笑いそうになる。…だが威厳を保つためにか咳払いをしてそれを抑える。
だが老婆とは対局に風華は笑い転げている。
本当にこれで高校一年生なんて思えない。ただの赤ちゃんだと勘違いする人が多い。
多分風華はだいぶゲラなんだろう。いっつもニコニコしているし。
数分笑った後…風華は満面の笑みで立ち上がる。
「一問だけ合ってましたね!…なんちゃって!」
「…」
「それぞれには得意な事柄があるんじゃ」
「草木を操る者や性質のものには火門」
「火を操る者や性質のものには水門」
「空や雷を使う物や性質のものには風門」
「大地を這うものや操る者には地門」
「な…!なるほど!ゲームみたいですね!」
風華はやっぱり何もわかってなさそう。でも勉強しようという気概だけは褒めてあげたい。めちゃくちゃほわほわしているが…。
「じゃあ華狢には地門ですか?」
「それが違うんじゃ」
「じゃあ風門?」
老婆は横に首を振る。
その後も…「火門」…「水門」…を尋ねるも老婆は首を振るだけ。
壊れた海外の人形のように首を振っていた。
答えを教えてくれない老婆に風華は頬を膨らませて対抗する。…だが老婆はクスリとも笑わない。
「じゃあなんなんですか!」
「こん中にはないんじゃ」
「えッ!?なんで教えてくれたの!」
「後々使うことがあるかも知れないからな…知識に無意味な事はないのじゃ」
満足そうに口角を上げる老婆。
その姿に少し苛立ちを覚える。
「じゃあなんなんですか!」
頬を膨らませながら尋ねる風華。こいつは自分が男ってことを忘れてしまっている。メインヒロイン並みに可愛い。
「霊門じゃ」
「霊門?」
先ほどの四門は読み方が気になったもののアニメや漫画に登場するから聞き馴染みがあった。
だが唯一霊門は風華の履修している漫画やアニメには登場したことがなく…ボケることさえも忘れている。ちなまに風華は恋愛漫画をよくみている。
「霊門とはご先祖様の力と生きている者の力を合わせることで開くことができる門じゃ」
「あの四門ですら封印できない者も封印できてしまう代物じゃ!」
「す!すごい!」
「じゃがその霊門は普通の場所では使うことができない」
「ご先祖様の魂が近いところでないとな…」
わっかりやすいドヤ顔で風華をみている老婆。
しかし風華はのほほ〜んと綺麗なお花に寝転がっている。美少女にしか見えないが普通におしっこ漏らした男だ。
そんな風華にカンペに書いた紙を見せる老婆。
「読め…」
「も!もしかしてこの地が〜!さっき言ってた〜!ろ…ろうじんけ…?」
「浪華家じゃ!ルビも振ってあるだろ!」
「浪華家のご先祖様が眠っている場所なのか〜!」
「ふッ…その通りじゃ!」
「その通り…」
「じゃあここにいる限り俺は最強です!」
嬉しそうに跳ね回る風華に老婆は呆れる。
「ちなみに生きておる人間が近くにいるとその者も連れ去ってしまうぞ」
「使用者以外…」
その言葉に風華は空中で固まる。無意識に飛行の能力が発動してしまったんだろう。まさか表情も変わる能力を持っているとは…お口があんぐりだ。
「豆知識として教えておいてあげるが…」
「人間の霊力は50くらいじゃ」
「普通の幽霊として数えられるのは100くらい」
「妖怪の類いでも70くらいはある」
「じゃああの化け物はどれくらいなんですか?」
「知らん…華狢は全部に属さない…強いていうならば神に近い妖怪じゃからな…」
「あんな物騒な神なんているんですね…」
「まぁ華狢は生い立ちが複雑じゃからな…」
「語るんですか?」
「いや語ってる間時間が止まるシステムはないから今は無理じゃ」
…この老婆はアニメとかをみているのかも知れない。いや今の時代そういう人が多い。幾つになってもアニメや漫画を見るのはいいもんだ。
人というのは永遠の厨二病なのだから。
「でも霊門って物騒なやつですね…」
「本来霊門は最終手段として味方ごと封印する物じゃからな」
「それに四門と違って霊門は封印を解除することは出来ない…一度吸われればお陀仏なのじゃ」
「おそろしい!」
聞き上手な風華ちゃんは相槌を打ちながら聞いている。…しかし何か違和感に物理言葉を遡る。
色々な言葉を覚えた風華は英単語を勉強している受験生の様になっている。ちょっとパニック。
「地門」…「浪華家…」…「人間も封印」…理解できないが、頑張れば理解できる単語の中に一つだけ目を逸らして通ろうとするものが現れた。
実に単純だが…理解することができない。
「おばあちゃんが霊門使ったら俺も封印されちゃうじゃ?」
「え?」
二人の間に何か壁があるのか…そんな事を思うほど老婆とは視線が合わずに、老婆はずっと鼻先をいじっている。デコっ鼻が弄られるたびに形を変えている。
「どうなんですか?」
骨の弱そうな老婆の肩を掴んで無理やり視線を合わせる。老婆は何か怪しい薬でもやっているかの様に尋常じゃない汗が流れている。
風華は乾いた笑いしか出てこない。
風華の笑みに老婆も仙人の様な笑い声を上げる。多分風華の笑みに許されたと思ったんだろう。
「フォッフォッ」
「か…完全にお主が事を忘れておった」
「ど!どうしてくれるんですか!?」
「し!知らん!どこか遠くへ行け!」
「まだ間に合うじゃろッ!」
「わ!わかりました!」
風華は何故か濡れたパンツとズボンを回収しようと背中を見せる。
ガサゴソッ!
風も吹いてないというのに大袈裟に草が揺れている。老婆も風華も同時に汗を流す。
ただの野生動物なら良かった。猫とか犬とかだったら可愛いから尚更良い。
「ママァ…」
最近の野生動物は知能が高いのかも知れない。
日本語を覚える事もできちゃうとは…。
そんなくだらない願望はすぐに打ち砕かれる。
「ママァー!見ッケ!」
草むらを蹴散らしながら現れた華狢。
口の中からは湿った土の臭いが漂う。
…考えたくはないが、風華のお漏らしした土ごと口の中に入れて食べたんだろう。
「小娘ッ!覚悟を決めろッ!」
「嫌やぁッ!」
もう老婆と華狢は数mの距離しかない。
それだというのに老婆は胡座をかき両手を合わせる。
風華は心配になるが…ただその場から逃げる事しかできない。その手には濡れたパンツとズボンが握られていた。
「生命拝借霊黎冥来身心…」
「霊門…ッ!」
「解ッ!」
老婆の合わせた手からは紫色の禍々しい煙が出てくる。煙幕でも巻いて逃げたのかと思った。
だがその煙の中からは激しい音がして…風華はただ信じることしかできない。
この桃源郷は幻想的になっていた。
特に華やかな装飾がされている訳ではない。
むしろ何もなさすぎて不気味なくらいだ。
だがその桃源郷はピンクと紫が混ざった色をしている。
…おそらくこれが霊門の開いた証なのだろう。
霊門が開いたと言うことは…風華は霊門の中に封印されてしまったと言うことだろう。
「あ…あれ!?俺全然平気だなぁ…」
普通に生きていた。
自分の生命力の高さに驚き思わず足を止める。
「ママァ?痛イヨッ!」
「華狢…!霊力が少なすぎる…」
「自分が何者かさえも分からぬのかッ!」
華狢は霊門に吸われてはいるものの…完全に吸われてはいない。むしろ少しずつ全身してきている様に思える。
老婆は流石に焦りの表情を浮かべる。
「も…!もしかしておばあちゃん捕まっちゃったんじゃッ!?」
おしっこを掛けたり…おしっこを掛けられたり…色々あったが、老婆には命を救われたことがあった。
その老婆が死んでしまったとなると…眠くても寝付けない。希望の朝ですら恐怖を感じる様になる。
知らぬふりをして逃げるわけにはいかない…。
風華は右足に力を入れ地面を蹴り方向を変える。
風を切り…辺りの蟻たちもびっくりするほどの足音を立てながら向かう。
それに気づいた老婆は顔だけで振り返り、驚きの表情を浮かべる。首いわす可能性がある。
「小娘ッ!?何故生きているのじゃッ!?」
「た!多分ですけどぉ…!俺が半人前だからかな…?」
「半人前じゃと!?…小娘は炒飯かなんかなのか?」
「違いますけど!」
「いやね…今ごろこの設定が活きるとは思えないんですけどね…!」
「俺人間と幽霊の中間に位置してるので…あんま霊力ってのがないのかなって…」
「いやむしろあるのかな…?いや分からないですけど!」
老婆も初めてのことなのか困惑の表情だ。
だが何か良いことを思いついた子供の様に口角を上げる。いくつになっても子供なのです。
「お前が封印されない理由は分からないが…」
「この霊門とは相性が良い…ッ!」
「霊の力と人間の力を持っているお主なら一人でこの霊門を解門できる…!」
「ワシに加勢せよッ!」
「でもおばあちゃんが!」
「霊門を使っている間は使用者は半霊化している…だから連れて行かれることはないッ!」
「で…できるか分からないけど…やってみます!」
風華は濡れたパンツととズボンを投げ捨て、老婆の隣へと走って向かう。もしかしたら緊張で手と足が同時に出ていたかも知れない。
老婆の隣に着くと老婆と同じポーズをする。
「え…えと…」
「これを読み上げるんじゃ!」
「え…えとぉ…霊黎冥来…身心…」
誰がどう聞いても棒読み。こんなのじゃ反応するわけがない。
ジュワァァ…
風華の手のひらからも紫色の煙が上がる。
まさかのまさかでそこら辺はガバガバの様だ。
老婆は禍々しい煙だったが風華はポワポワとした煙が出ている。本人の性格に依るんだろう。
まぁでもおそらく成功したのであろう。
「今じゃッ!」
…と言わんばかりに首で合図を飛ばす老婆。
「霊門…解ッ!」
全身が震えるのがわかり…思わず目を瞑る。
それはお漏らしをした時の様に快感による揺れ手間はなく、全く新しい恐怖心を脳みそが無意識に排除しようとしているから来るものだろう。
目を開かずとも…霊門が開いている事がわかる。…全く自分の才能には驚きしかでない。
そしてそれと同時に全身が軽くなった様な感覚がする。まるで宇宙空間の様だが、おそらく霊体と人間の比率がちょうど半々になったからだろう。
「ギャァァッ!」
華狢の悲痛な叫び声。
耳を塞いで逃げ出したくなるが、それはできない。薄目を開くと華狢は涙を流していた…。
「僕…悪イ事シタノォ…?」
「ママァ…遊ビタイヨォ…」
「嫌ダヨォ…マタ暗イノ嫌ダヨォ…」
「皆…僕ノ事嫌イナノォ…?」
「ゴベンナザイ…ゴベンナザイ…」
あまりの悲痛な叫び声に風華は顔を背ける。
その叫び声はまだ微塵の痛みしか知らない無垢な小学生の様で…お母さんに叱られた子供の様だった。
例えどんな事情があっても…人を殺すのは許されはしない。
だがこれほどまで胸が痛くなるのは初めてだ。血が見えなく根元が見えない痛みは…怖い。
疲れからか…どんどん意識が遠のいて行く気がする。…目の前の華狢が薄れていく…。
「目を覚ませ小娘ッ!」
どれだけの時間が経ったのだろうか…
目の前の空は綺麗なものではなく、子供が描いた簡単な曇り空の様に変わっている。
耳をつんざく声に叩き起こされ…目の前には老婆の顔面が映り込む。目覚めが悪い。
頭には何か突起物の様なものがある感覚でキモい。
「あれ…華狢は…?」
「お主のおかげで封印できた」
「それは良かったです…」
こんなに嬉しくない事は初めてだ。
一つの生物を終わらせた責任に潰されそうだ。
だがそんな風華をよそに肌にハリの綺麗な笑顔が映り込む。老婆と比べると差がすごい…。
この笑顔の眩しさは杏だ。真夏の太陽にすら負けることがない。
「風華!ボブにしたの!可愛いね〜!」
倒れている間に老婆が連れてきてくれたんだろう。顔を回してみると勇と遥真がいて…その近くで玲那と舞が笑顔で話している。
自分の事なら嬉しいが…それは無さそうだ。
ていうかこういうのは囲んで目覚めるのを待っているのが普通じゃないのか…?
「みんな!風華が目覚ましたよ!」
杏の人声でみんなが駆け寄ってくる。
勇は杏がいるからか少しスピードを緩めている。でも腕だけは全力で振っている。
「風華!ってあれ髪が短くなってるゾッ!?」
遥真は風華の髪の毛に手を伸ばすが、まるで番犬の様な杏が威嚇して追っ払う。
杏は未だに甘えん坊の風華という認識なんだろう。
ならばこちらも応じなければ無作法というもの…
「杏!怪我なくて良かったね!」
「うん!なんか普通に変な匂いがして振り返ろうとしたら足がもつれちゃって転んじゃったんだよね!」
「心配したよ〜!」
「風華心配してくれてたの〜優しいね〜」
「うん!優しいの!」
「と…尊死しちゃう…無邪気で可愛すぎる…」
杏は風華のちっちゃな頭を撫でまくる。
流石にこのキャラがキツいことは分かっている。もうそろそろ潮時か…と辺りを見渡すがみんなキモがる目をしている。舞も…。
だがそこに一人の天使が現れる。
「こら!杏!風華にベタベタしすぎ!」
玲那の声だ!玲那は風華のビジュアル可愛い洗脳はもう解かれている!
「私とも遊んで〜!」
玲那は風華の腕ではなく杏の腕を掴み盛り上がる祭りの舞台へ連れ去る。杏は抵抗していたがなすすべなく連れて行かれる。舞>玲那>杏って感じなのだろうか…。
後ろを振り向いた玲那は親指を立てて真っ白な歯を見せる。もう完全に風華からしたら天使でしかない。
そしてここにも天使の女の子が1人いた。
「風華くん喜んでるじゃん…!」
「素直に喜べばいいのに…あんな風華の心配してたんだからさ…」
杏がいなくなった事で活き活きとした勇が舞にツッコむ。完全に水を得た魚だ。
するとすぐに舞は顔が赤くなる。
同時に頬も膨らんでいて…怒っているのか照れているのかが全く分からない。ただこんな近くで可愛い顔を見れるから天に感謝だ。
「風華くんが無事だった事は嬉しいけど…」
「頭撫でられたり…デレデレするのは嬉しくないんだから…っ!」
風華を目の前にしてもこんなツンデレが出せる舞は圧倒的にヒロイン適性が高い。
普段ならここで可愛い負けしてしまう風華…だが今日の風華は人肌違った。成長を感じる顔をしている。
「お…!俺だって舞さんに優しくされるのは嬉しいけど…!」
「同情だ優しくされるのはのなんて嬉しくないから!」
はっきりと断言した風華。あまりの成長に勇と遥真はちっちゃな粒の涙を流す。
舞は何も言わない。風華は反撃を恐れて目を逸らしている。
…流石に言いすぎたと舞の顔を見てみると…
明らかにキレていた。しかも可愛い「きゃは!」系のキレ方じゃなくて「あ?」って感じの顔だ。
見た事ないキレ方に風華は動揺を隠せない。
「風華君に同情で優しくなんてしてないから」
「…でででで…でも!昨日き…キスしてたじゃん!」
「は…颯さんのこと好きなら…優しくしてその気にさせないでほしいなぁ…!」
最初は勢いが良かったものの…徐々に勢いが弱まっていく風華。やっぱり成長していない。
あと普通に舞の目が怖すぎる。光がないと言うか…通常の綺麗な瞳でさえも見下している様な目だ。
怖すぎて関係のない勇と遥真も背筋を伸ばして立つことしかできない。
「私颯くんとキスしてないから」
「私直前で止めたからね?」
「まぁ風華くんはすぐに逃げちゃったか見てなかったと思うけどね」
口数も少なく淡々と語るスタイルのキレ方。
これはネットで見たあまり怒らない人が起こるとめっちゃ怖い理由みたいなやつで見た。
舞の様な可愛い顔でも中和できないほど怖い。目の前にしている風華なんてもう泣きそうな顔をしている。でも好きな子の前で泣きたくない風華は下唇を噛んで我慢している。
「でも…」
「何?」
この一言で勇も遥真も泣きかけている。
「舞さんが…俺にずっと怒ってるから…」
「そのですね…!色々と考えちゃう部分があって…」
「それは私も悪いけど…」
「同情で優しくすることなんてないから…!」
「怒ることがあっても…そ…それは風華くんとただ話したいだけどなんだもん…っ!」
「風華くんだけが嫉妬してると思わないでよねっ!」
舞と風華は鼻と鼻がくっつく。
二人はさくらんぼの様に顔が真っ赤になる。
まぁ普通にキスできそうなくらいの距離なんだから、誰でも顔が近づけば赤くなる。
舞は余程恥ずかしかったのかすぐに風華から顔を離すと杏と玲那の背中を追う。めちゃくちゃ女の子走りで…。
金縛り状態にさせられていた勇と遥真もやっと金縛りが解けて自由の身になる。シャバの空気がうめぇ。
「つ…つまり舞さんら颯さんとはキスしてないってこと…?」
「まぁそうらしいぞ?」
「今回ばっかりは風華の勘違いが招いた事だな」
「き…昨日あんな泣いてたのが恥ずかしい…」
「ていうか…舞さんも嫉妬してるってどうゆーことなんだろ…」
全く…風華は恋愛経験が無さすぎる。でもそーじゃなきゃ風華と舞の恋愛がうまくいきすぎるしこっちとしても面白くない。ただの美女美女のカップルなんて…み…見ても面白くない!
紆余曲折なければ恋愛なんて面白くない!誰が順調にいって付き合う物語を見なきゃいけないんだ!
あと風華と舞は混乱してた方が面白い。これが本音だ。
「まぁ聞き間違えだろ」
風華すまん…
「まぁ誤解は解けたらしいし…一見落着って事で!」
「一件落着じゃないわいッ!」
老婆はオチのボケを考える男3人の前に現れて叫ぶ。…さっきまで風華と舞の恋愛模様をメモっていた老婆とは考えられない。しかも顔を真っ赤にしていた。キツい。
「昨日は海熊が復活したようじゃないか」
「…なんかすぐに封印?って言うか海に戻ったらしいが…!」
「そして今日は華狢…!」
「…わ…分からん!」
「異獣たちの封印が弱まっているのじゃ!」
「い…い…いじゅう?」
「俺らバカだからよ〜!…な…何も分からないんだよぉ!」
「そうだゾ!無知三人衆に専門用語でマウント取ろうったってそうは行かないゾ!」
圧倒的なカオス。だが老婆はどこからか団扇を取り出す。
スパンッ!
一振りで3人の頭にたんこぶができるほどの威力。流石浪華家のおばあちゃんとしか言えない。
「お…俺だけは真面目に聞いてただろ…?」
「…とりあえず聞くのじゃ!」
「異獣がなぜここに来たのかと…過去の大戦の話を少々な…」
3人は仲良くたんこぶを押されて唾を飲む。
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