8-4 渇いたkiss
一方その頃…女子三人がいる女風呂は…
「舞って本当にパイパイでかいよね」
「えっ!?」
「舞ちゃむの赤ちゃんが羨ましい…」
「二人とも変態だよぉっ!?」
舞のパイパイは湯に浮かんでしまっている。
ボールだと掴んでしまったらきっと全治3ヶ月。
「私おデブだから胸に脂肪がついちゃうんだよぉ…」
「おデブってよりムッチリ…」
水中から背後に回り込んだ玲那は舞の横腹を摘む…。もう夕飯も食べた後だからか…余計に脂肪がついている。
「にゃぁっん!?」
「ヤキモチ妬きの杏殿は舞には嫉妬しないのですか〜?」
やはり懲りない玲那は杏を煽る。
だが杏はプイッとそっぽを向く事で対策する。傾向と対策、受験の基礎だ。「敵を知り己を知る」あの中国のあの人も言っていた。
「舞ちゃむはなんか嫉妬しないんだよ!」
「このまいまい赤ちゃんは私と違って誘惑しないもんね〜あの人のこと〜」
「ばぶばぶ…」
「れ!?玲那ぁ!?ぶちギレるよ!?」
「ご…ごめぇん…」
ズルすぎるし珍しい玲那の上目遣い。可愛すぎて流石に杏の怒りも浄化されて行く。
おしゃぶりを突っ込まれた舞もいることもあって杏の視界には可愛いがいっぱい。
傍から見れば杏も同等かそれ以上に可愛い。
「ばぶっ…杏ちゃん誰か好きなのばぶ?」
「え!?舞知らなかったの!?」
半笑いの玲那。小悪魔ちゃんだ。
「私わかるばぶ!」
「風華くんばぶ?」
「それはアンタでしょ!」
「ばぶばぶっ!?」
風呂場をぱちゃぱちゃしている舞。本当は良くないが今は赤ちゃんなので許してあげて欲しい。
「あ…でも違う男の子に見惚れてたから違うか」
「あ…あの人は私の好きな俳優に似てたばぶ!」
「私は顔で好きにならないんだばぶ!」
「確かに…あの子は可愛い男の子だからね」
「…ばぶっ!」
そっぽを向いちゃった舞。
プリンっと揺れた胸で波が立っている。
「それより杏ちゃんの好きな人誰ばぶ?」
「まぁこの赤ちゃんはいいとして…」
「ばぶぅ…」
「やっぱり杏変だよ?」
玲那と舞がいちゃいちゃしている間…杏は湯から上がったり、また入ったりしていた。しかも表情は変に笑っていた。
「えっ!?変ではないでござるよ!?」
「変じゃん!」
「何がでござるか?舞殿、玲那殿」
アニメのオタクのような話し方をしている杏。
普段のちょっと適当な話し方とは全く違う…何も考えてなさそうな杏が恋しい。
「何があったかいいなさい!」
玲那の声にしょぼんっ…とする杏。
まるで若めの親の玲那お母さんが子供の杏ちゃんを怒っている様に見えた。
その杏の表情はいつもより子供っぽく見えた。
「こ…告られたの…!」
「だ…誰に!?」
「勇だよっ!」
「えぇ!?」
「なんて答えたの!?」
「きゃ〜気になる気になるぅ〜!」
恋愛の事となると一軍女子でさえ小学三年生の様になってしまうものだ。人の目も気にせずに杏と肩と肩がぶつかるまで詰め寄る。舞はおしゃぶりを湯の中に落としてしまったようだ。
いつになく真面目な会の二人に杏は少し恐怖の感情を覚える…。
「早く!早く!」
その声に背中を押されたように口が開く。
「じ…実はね!ウチ一回勇に告白されたことがあるの!3ヶ月くらい前に…!」
「しょ…!正直言うとね!」
「その時には付き合ってもいいな〜って思ってたの!勇ってめっちゃいい奴じゃん!?」
「でも…ウチの家複雑な事情があってその時は断るしか無かったの…!」
「む…!難しいけど…!この告白の時にも勇に気があったよ!って伝えたくってね!」
「あの頃と変わってないよ!って言ったの!」
「甘い〜!ほっぺた落ちちゃう〜!」
「あと恋愛下手な杏ちゃん可愛い〜!」
舞は呑気にぷくっとなっている頬を両手で持ち上げて笑みが蕩けている。
…だが玲那は少し引っかかる事があるように眉を顰めている。
「ど…!どうしたの!?玲那!」
「…分からない…!」
「じゃあ玲那ちゃんもほわわ〜しようよ!」
「えっ!?」
圧倒的に目の前が眼福すぎている。
杏は珍しく恥ずかしそうにしてて可愛いし…舞は相変わらず天然であざと可愛いし…!
この現場を見れたことがまず光栄…。
こんなどうでもいい違和感なんて探るような無駄なマネはしなくてもいい。
ただこの可愛さを抱きしめたいのだ。
玲那は舞と杏を両腕に抱きしめる。舞の柔らかさと杏のスタイルの良さが分かる。
「杏ちゃんはやっぱり勇くんが大好きなんだぁ…!」
「好きだなんて言ってないし!」
「言ってたもん!私聞いたも〜ん!」
メスガキの笑みで杏に顔を近づける舞。理解らせたくなる笑みだ。この笑みをナチュラルにできるのは本当に才能としか言えない。
「舞ちゃむっ!」
「は…はいっ!?」
「舞ちゃむはいじめられてなきゃダメなの!」
「そ…そんなぁ…!」
「…で舞は風華のこと嫌いなの!?好きなの!?」
「…!ふ…ふつぅ〜!」
今ごろ舞は心の中でお天道様に謝っていることだろう。なぜなら子供の頃から嘘をつくのはダメっ!と習っていたから。純粋な舞はその言葉を良く覚えている。最近まで信号渡る時に手を上げていたらしい。弟に「恥ずい」と言われて辞めたと聞いた。
「普通なのにあんな風華に怒ったり照れたりしてるの!?」
「や…やっぱりペチだよ!」
ペチとは嘘ということだ。
舞は某芸人が大好きらしい。
ネタサロンに入ってるって聞いた。
「私風華くん嫌いだもん!」
「ふ…風華くんが女の子にチヤホヤされてるのが嫌なの!」
「あらぁ…怒っちゃダメだよ?」
「風華くんは私とずっと話してなきゃダメなの…私だけに優しくしなきゃダメなの…」
徐々に湯に沈んでいっちゃう舞。
相当のぼせているのか舞の耳や頬が真っ赤に染まっている。湯に口をつけるのはダメだけど可愛いからみんなに許されている。
そんな舞を愛娘を見るような優しい目で杏と玲那の二人は見ている。
「あらぁそういうこと?」
「舞ちゃむは独占欲が強いのねぇ…」
「うぅ…私そんなに短気なのかなぁ…」
「はちゃめちゃわちゃに短気だよ?」
「うぅ…本当は風華くんは優しいのに…」
「私が怒りっぽすぎて風華くんを困らせるし…」
「あぁもういやぁぁん!」
情緒不安定な舞は湯に顔をつけてしまう。可愛い成分が分泌されている。
「恋の病ですなぁ…」
「恋じゃないよっ!」
「うんうんそうだねぇ…」
玲那は舞のことを猫だと思っているのか膝の上に乗せて頭を撫でている。
すると舞もへにょへにょの顔になって玲那に抱きついてへにょる。
「風華は髪の毛切ったらモテそうだから舞も応援してあげようね!」
「…そ…それはちょっと…」
「あはぁ〜!」
舞を強く抱きしめる玲那。本当に可愛いがっているものを持っている子供みたいだ。
全部が全部、玲那の理想の女の子が舞だ。
アニメの少女のようなものが舞なのだ…!
「明日舞は風華とお祭りに行きなさい」
祭りというのはこの地域の大規模な祭り「華香祭り」というものだ。
海水浴の帰りに立ち寄る人が多いらしく、都心ではないこの場所でも大勢の人が集まる。
「風華くん嫌がらない?」
「大丈夫大丈夫」
「わ…!私頑張るもん!」
舞は勢いよくその場に立ち上がる。
おぉ!勇気がある!…なんて思うことはなかった。
なぜなら立ち上がった瞬間に、プルプルと優雅に揺れるたわわな実が目に入ったからだ。2回上下しただけだが鮮明に記憶に残る揺れだ。
大浴場に母親と来ていたある少女は、そのたわわな実を見て自分の母親と比べてその出来の悪さを嘆いたという。
20:45と書かれたスマホを見て風華は飛び起きる。お気に入りの漫画を読んでいた勇はそれに驚きベッドから落ちていく。
「ど…!どうしたんだ!?」
「ねぇ…勇?」
「な…なんだッ!?」
「もし颯さんと舞さんが付き合ったら…」
「俺はどうするべきだと思う…?」
「はっきり言うと…舞のことを考えるなら頑張って諦めるしかないよな…」
「やっぱりそうだよね…」
「…で本当に行くのか?」
「知らない方が良かったってことの方が多いんだぞ?」
「でも…でも…」
「俺は弱虫だから…泣いちゃうかもしれない」
「でもこんなに舞さんのこと好きになれたんだから…」
「舞さんが幸せになった瞬間を見たい…」
「風華がいいなら…それでいい…」
「でも無理はするなよ?」
「うん…分かってるよ」
風華は小さく微笑んだ。
大浴場であんなに泣いていた人とは到底思えない…。だがその後ろ姿にはその面影があって…勇はその男らしさと弱虫さが合わさる背中をただ眺める。
長くサラサラな髪の毛がヒラヒラと揺れていた。
20:55
辺りはもうすでに闇に包まれていた。
しかし二人の立つ屋上には地面から小さく灯りがついていて、足元から照らされる形で光が当たっていた。
予定より早く着いていた舞と颯は、屋上から見える海をしっとりと…言葉無く見ていた。
舞は柵に乗り出して照らされている海を楽しそうに見ていて、颯はそんな舞を見て小さく微笑む。
まるで二人の心のズレを表しているようだった…。
子供がはしゃぐ姿を見ている気分で…舞の午前中の思い詰めた表情はもうすでになくなっていた。
自分がその表情を取り除けたのか?…と考えるとそれだけで嬉しかった。
だが舞の体に颯は触れることができなかった。
その小さな肩なんて本来簡単に触れることができる…でも何故か触れる事ができなかった。琉なんて後にも先にも分からない…だろう。
舞は颯が呼び出した理由を薄々勘付いているのだろう。颯を…いや自分を傷つけないために、のらりくらりと時間を過ごす。
しかしそんな小さな抵抗は静かに終わる。
「まだ21時になってないけどいいかな?」
「う…うん」
颯は柵に手を乗せて舞を背中にする。
弱々しい姿を見せたくない動物の本能からなのだろうか…。舞はその背中を優しい目で見ていた。
「ねぇ…舞覚えてる?」
「高一の頃…俺が舞と遊びに行った場所」
「うん…覚えてるよ遊園地だよね」
「俺は絶対にこれからも忘れる事はないと思う…」
「観覧車の一番上で見た舞の笑顔は…」
「さっきの笑顔にも似てたね…」
「…」
「多分今から俺が言うことに…舞は勘付いてると思う…」
「でも…でも…出来るだけ笑わずに俺の言葉を聞いていてほしい…」
震える颯の言葉に舞は頷き、颯の隣に音を立てずに立つ…。その舞の顔は微笑むことさえせずに真剣な表情…横目でも分かるほどだった。
「…よし」
「前にも言ったけど…俺はずっと舞のことが好きです…」
「正直…いつも振られるのが怖くて変なタイミングで告白してた…」
「でも…今日はちゃんと答えて欲しい!」
「振られるより…ずっと舞の気持ちに気づいてるのに待たされる方が悲しいから…」
颯は…笑っているようにも泣いているようにも見えた。…どちらにしろこんな表情は今まで見たことが無かった。
舞は一つだけツバを飲むと颯の肩に2回触れる。横顔を見せていた颯と目があった。…今日初めて目があった気がした。
なかなか出てこようとしない引きこもり気質な言葉を…どうにかして引っ張り出そうとする。
その間も数秒見つめ合う時間が流れていた。夜の海みたいに静かな時間と共に…。
意を決した舞はついに言葉を紡ぐ。
「何回も遊んでもらって…何回も告白しれくて…」
「…こんなに待たせたのに…」
「満足した返事ができなくって…ごめん…」
「…こんな私を好きになってくれてありがとう」
「でも…でも…」
普段話しているとトイレを流すように言葉が簡単に流れていくクセに、いざと言う言葉は喉につっかえ棒があるかと思うほど出てこない。
雨降って地固まる…そんな言葉を最近習ったからか涙がコンクリートに流れて
その姿を見た颯は優しく舞の顔を上げさせる。
…颯は自分の生さえ吹かず、舞の頬を伝う涙を掬い上げて…小さく横に首を振る。
流れに身を任せて舞の体を抱きしめることなんて簡単だった…でも何故か体が全力でそれを拒否する。…理由なんてもう分かりきっている。
「大丈夫…分かってるから…泣かないで…」
「…ごめん…ヘタレでごめん…」
「こんなに…好きでもない人のことを考えてくれる人…俺は本当に好きになって良かった…」
「舞…ありがとう…」
「ううん…こちらこそ…ありがとう…!」
「…あぁ〜ッ!」
涙を拭いた颯はすぐに様子が変わる。
前髪を掻きむしって柵を背中にしてコンクリートに座ってため息を吐く。
「ど…!どうしたの!?」
「舞は…舞はどうしてあんな男好きになったの?」
そんなぼんやりとした質問…。
だがその颯が思い浮かべてる人物と舞が思い浮かべている人物は偶然一致した。
舞も颯と同じように柵を背にして座る。
「諦めない…そんなところに惹かれたのかも…?」
「俺だって…舞を諦めてなかったけど?」
「じゃあ…優しかったからかなぁ」
「俺だって毎日優しくしてたつもりだけど?」
「えっ!?えぇじゃあ…」
「うーん…可愛い時の方が多いのに…いざという時優しかったり…」
「何がないあの笑顔が…いつの間にか好きになった理由なのかなぁ…」
「…俺と一緒だな」
「え?」
「…俺もなんで舞を好きになったのかが未だに分からない…でも未だに好きなんだ」
少し照れていた舞の肩を小さく叩く。
すると舞は何も知らないような顔で颯の顔を上目遣いで覗く。
「あいつは根っからのいい奴だから…」
「何かあっても怒っちゃダメだよ?」
「舞は普段優しいのにあいつの事になるとすごい短気だからね…」
「うぅ…反省します…」
「でも…このままあいつだけハッピーエンドなのは腹が立つからさ…」
舞は優しく腰に手を回され顎を持ち上げられる。…先週恋愛ドラマで見た…。
月夜に照らされた二人の影は重なる。
…しばらくの間沈黙が流れ…舞は動く事も無くただカエルの鳴く声だけが耳に残る…。
分かっていた…。キスをすることは分かっていた。
だがいざ目の前でキスをされると…好きな人が本当に自分の知らない世界に足を踏み入れてしまうと分かってしまう。自分の憧れの人と距離が開いてしまうのをどうしようもなく感がしてしまう。
あの日初めて舞とまともに話せた喜び…。
あの日初めて舞に怒られた時の悲しみ…。
あの舞の小さくも頼りになる背中が忘れられない…。
その全てがあのキスで無に帰ってしまう。
喉の奥に空気が溜まっているような息苦しさ…。舞に手を伸ばそうとも触れられない。
無意味な思考が頭の中をぐるぐると回っている。
最後に舞の笑顔を見てみたいのに…視界が揺れてその舞の顔を見られない…。
人目を気にせずに海に悲しみを叫んでみたい。
舞との数少ない思い出と共に…この悲しみを全て吐き出して逃げてみたい。
今の気持ちを誰か…誰でも…いや舞にぶつけたい。いつの間にか肥大化したこの愛情を…。
叶わぬ願いだけが現場から走り去る風華の横を、真顔で通り抜けていき…振り返ることを許さない。
"きっと"なんて…期待していたから自分を責める気持ちさえ湧き出てくる。それが心の隅のパイプを押して涙がポロポロと垂れ流す。
風華にとって逃げ道はただ一つしかなかった。
ガチャ…
鍵のかかってない扉を開くとそこには勇がいた。部屋は風華が出て行った時と変わらず…勇は見ていた漫画を裏返してスマホを見ていた。
よほど心配だったんだろうか、風華が入ってきた瞬間に立ち上がり風華の肩を抱きしめる。
「やっぱり…ダメだったよ…」
「舞さんが幸せになった顔も見れなかったし…」
「本当に舞さんが好きだったから…悔しくて…寂しくて…嬉しくなんてちっともないよ…」
「全然ダメだったよ…」
嗚咽混じりの言葉…ほとんど何を言っているのかがほとんど聞き取る事ができない。
…だが勇は聞き返す事はしなかった。
ただ風華の震える肩を優しく掴む。
次第に風華の涙の波もおさまっていく。
「頑張ったな…風華…」
「…うん」
屋上の入り口から音が響き、二人は思わずその入り口の方に顔と体が向く。
顔や体、姿形何も見えなかったが長い髪がふわっ…と舞い上がっているのが見えた。
その髪に見覚えのあった舞は顔色を変えて足を一歩前に出す。
「…え?なんで…」
「風華くんが…」
「…俺が呼んだんだよ」
「な…なんで!なんで風華くんを呼んだのっ!」
「…俺なりに舞のことを考えたんだ」
「じゃあなんで…風華くんを傷つけることをするの!」
「その時は…舞の風華への想いを間接的に伝えてもらおうと思って呼んだんだよ!」
「どうせ…舞と風華は臆病だから…誰かがくっつけようとしないと動かないでしょ?」
完全に図星を突かれた舞は少し頬を膨らますだけで何も言わない。…いや何も言えないのだ。
ずっと怒った様な顔をしているだけだ。
そんな姿を見て猫を宥めるかの様に少し笑う颯。
「でもなんでかな…こんな可愛い子をさ…」
「風華一人だけに取られるのが無性に腹立って…キスしたくなったんだ」
「…まぁ結局両方叶わなかったけどね…」
「…」
舞は颯の口唇がついた手の甲をハンカチで拭き払う。その姿に颯は嫌な気持ちも、表情も浮かべる事も無かった。
「…舞ごめんね…」
「…?」
「…俺がやった事全部空回りしちゃってさ」
「…ううん…私は颯くんが優しい事知ってるよ」
「…最後まで私のためにありがとう」
舞の綺麗な微笑みが颯の心を包む。
こんなに優しい笑みは見た事がない…これが友人Bに向けられたものなんて…考えられない。
風華に対して嫉妬が湧くが…こんな幸せそうな舞を見た事がなく…。徐々にそんな感情も薄れていく。
「舞…俺一人になりたいんだ」
「わ!分かった!」
「舞…頑張れよ」
「…うっ!うん!」
少し頬を赤く照らしながら頷く舞。
美少女走りで屋上に向かって行く舞の後ろ姿は自信に満ち溢れている様に見えた。
そして一人取り残された颯は…ひんやりとしたコンクリートの上に大の字で眠る。
「…あんな舞が好きだったんだよなぁ…」
「諦めるしかないかぁ…」
「でも…最後の抵抗だよ風華…」
「乗り越えられるかな…?」
次の投稿は水曜日です。ラストシーンのこれが書きたいがためにやってたみたいなところある。




