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ANCIENT -無代譚-  作者: 美朱太
天地獄のはぐれ者
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7-4 みんなのうみ

かなり面白い気がする

 「…」

…遥真に任せて良い結果になったことがなかった事を思い出した。

中学の頃の修学旅行。

遥真が班長として京都の街を回っていた時。

散々時間がないと忠告したのに関わらず…結局間に合わずホテルまで歩いて帰るはめになった事。

…まぁこれは遥真と一緒に舞妓はんに見惚れていた風華も悪いかもしれない。

そして高校一年生の頃。

文化祭で劇の衣装の班長になった遥真。

…しかし部活や大会があって忙しくなった結果…一度も衣装を作る事なく文化祭本番を迎えた。

劇の演目も「海洋姫」というお姫様の感動系だったのを、制服で社会人を表しスクランブル交差点を歩くだけの劇になったのだ。しかもクラスのみんなスクランブル交差点に行った事ない。

「学校始まって以来の恥点」と校長に讃えられたほどだった。"もう出禁に賞"が与えられた。


そんな成功より失敗を繰り返してきた遥真に任せる。失敗は成功のもと…だがそんなの成功者の戯言。成功なんて後にしかわからない。

だが自分たちが任せたのが悪いと…泣く泣く2人は海の家へと歩き出す。


その頃何も知らない遥真は…

 「舞パース!」

 「颯くぅ〜ん!」

楽しそうに揺れる胸たちを眺めていた。

ボールがいっぱいだぁ…!なんてしょうもない1人語りを入れてみたりもする。

 「はッ!女子にしかできない魔性パワーにかかってしまっていた!」

 「ここら人肌脱いじゃうしかないな〜もう脱いでるけど…」

そろりそろりと時間をかけてビーチで休憩していた玲那の肩を叩く。

 「あ…あのよぉ…玲那ちゃま?」

 「何〜?どれだけ褒めても彼女にはならないぞ〜?」

 「そんなぁ…!」

玲那のいたずらな笑みが心にくる…。

また出直すしかないか…いけない!本来の目的を忘れていた。

 「じゃなくって…!」

 「なんか杏と舞が不機嫌なんだけど理由知ってるか?」

 「えぇ〜?私も最初怒ってるなぁ〜って思ってたけど…ほら…今普通に楽しそうじゃん?」

 「だからまぁ良いかな〜って思ってたんだけど〜」

 「それはそれで良きなんだけどー」

 「実はその件で勇と風華も不機嫌になっちゃって大変なんどすよねぇ…」

「ありゃあ!」

大きな口を開けて口元に手を当てる玲那。

…別にもう好きではないのにこんな可愛い仕草をするなんて…罪な女だぜ。

 「確かにせっかくの海水浴なのにそんな子が4人もいちゃダメね〜」

 「ふっふっふっ!後の事は私に任せなさ〜い!」

 「遥真は男の子2人のご機嫌取りでもしておいてね!」

 「は〜い!」

可愛らしく笑いながら立ち上がった玲那。

ぷるんっと揺れる玲那の胸を見逃しはしなかった。

あまりの妖艶な玲那に真っ赤になった遥真は、静かに海の中に沈んでいく。R.l.Pだ変態男。


テンション爆上がりの玲那は波を掻き分ける。草みたいに波をかき分けてすすんでいく!

そして水中バレーに疲れ小休憩を挟んでいた舞の元へと辿り着く!

 「ねぇ〜舞?今日も可愛いね〜?」

 「あ…!ありがとう!でも玲那ちゃんの方が可愛いよ!」

 「わぁ…!嬉しすぎるぞ〜っ!」

 「くすぐったいよぉ!」

玲那は舞のムチムチボディに抱きつく。

…あまりにも眼福。世の男はこの2人を守るためなら一致団結して世界平和を目指せるくらいだ。

舞のムチムチと玲那のスレンダーのメリハリが海辺の幸せを作る!

あ…あと!

 「舞殿〜?」

 「ん〜?どうしたの?」

 「なんか今日オコじゃない?」

 「えぇ!?オコじゃないよ!?ほらニコ〜」

舞は両手の人差し指で口角を無理やり上げる。そして可愛らしく目尻を下げる。本人はボケてるつもりだと思うが可愛いから好き。

 「ニコ〜じゃないでしょぉ?」

玲那が舞の指をどかすと上がっていた口角が徐々に下がり、目尻も同時に下がって眉を顰める。怒った顔も可愛いね。

 「ほらオコじゃ〜ん!」

 「ま…まぁほんのちょこ〜とオコだけど…」

 「別に私の個人的な問題だから大丈夫!」

 「ふむふむ…」

 「じゃあこの玲那様がその問題解決しちゃおっか〜?」

 「えぇ?いいよ〜申し訳ないし!」

 「話せないことがあるわけじゃなくって?」

 「はにょんっ!?」

分かりやすくあわてている舞。

顔を見られない様に顔を背けるが、玲那はその動きについてくる。

そんな舞の様子を見て玲那は徐々にニヤけてくる。ニヤニヤすぎる。yeah!スモーキン・ビリー。

 「お顔が真っ赤ですぞ〜?」

 「何かあったんじゃ〜?」

 「何もないよ!…って言ったら嘘になっちゃう」

 「え!?なになに〜?」

 「もしかしてこの前言ってた気になる人と関係ある〜?」

 「気になる人じゃないし!あと関係ないし!」

 「舞殿分かりやすすぎるでしょ!?」

本当に顔が真っ赤になっているお猿さんかな?

でも頭が良いからギャップ萌えってやつだ。

 「い!いじめてくるなら玲那ちゃんには教えてあげないもんっ!」

 「えぇ…!酷いよ舞〜」

 「お〜ね〜が〜い〜!」

玲那は舞のお腹に頬を擦り寄せる。

 「ひやぁっ!」

三分間しか戦えない巨大ヒーローの声…ではなくてエッチな声が出てしまう舞。

柔らかいお肉同士が擦れ合い舞の体は鳥肌が立つ。このままではまたあの声が漏れ出てしまう!頼む玲那…!

しかし玲那は肩を掴まれてお腹から離される。何をしてるんだ!と怒りたくなるが舞のパワーを耐えろと言う方が無理だ。

 「そんなぶりっ子しても揺れないよ!」

胸は揺れてるのにね。

 「言わないのまたプニプニしちゃうぞ?」

 「い!いやんっだよ!」

 「じゃあ舞どの約束してね?」

 「や…約束の内容による」

 「私に話せないなら風華に話して欲しいんだけど〜!」

玲那は軽く言葉尻を上げて言う。

そしたら舞の顔は急激に高熱を帯びていく!海水は湯気を上げて蒸発し、舞はぶくぶくと沈んでいく。

 「舞っ!?」

心配で水中の舞の体を掴む。


 ザブンッ!


大きな波を立てて海から出てきた舞。

濡れちゃった髪の毛でもビジュが良すぎる。

そして両手を下にピンっと伸ばして叫ぶ。

 「言えるわけないよっ!」

 「ええ〜なんでにゃ〜別に言ってもよくにゃ〜い?」

玲那ににゃんにゃんのみみがついている様に見える。クネクネと舞の顔を見る。…こ…この玲那を後ろから見てしまったら良い子の性癖がぶっ壊れる!

 「だって!私風華くんに怒って…怒って…!」

 「えぇ!?舞と風華ってそんな仲悪いの!?」

 「仲悪くないけど…!」

舞も人差し指と人差し指を合わせながら頬を膨らませる。…この表情は写真に収めたい。

 「風華くんがね?いつも私に意地悪してくるの…!」

 「多分風華くん私のこと嫌いなんだけど…」

 「わ…私はね?風華くんと仲良しになりたいから私もちょっと怒ったりするの…!」

 「ほほぉっ!!」

あまりの可愛さにテンションぶち上げ玲那。クラブとかにいる陽キャよりもぶち上げ。大会終わりの打ち上げ。夏祭りは打ち上げ花火。なんつって…。

 「じゃあ!じゃあ!それは仲直りして欲しいから私が口を挟むことはできないね!」

 「うん!そうっ!だからねっ!」

 「じゃあ当人同士でしっかりと話し合って解決するって事で!」

 「風華にそう伝えておくからね!」

 「えっ!?」

 「じゃあね〜!」

 「待っ…!」

舞のちっちゃな声は玲那が泳いで帰る波の音でかき消される。

そして舞は気づいたのだ…自分が泳げないことを…。


舞を説得して満足がない顔をしている玲那。

次のターゲットの杏の元へじろり…じろり…と獲物を狙うサバンナの肉食動物の様に近づく。

 「ふんふふん…」

杏は浮き輪の上で自由に鼻歌を奏でている。

確かこの歌は別れた恋人を恨む歌。

…一瞬躊躇ってしまうが隙を見つけた玲那の体は止まることがなかった!

 「隙有りっ!」

杏のこぢんまりとした胸目掛けて抱きつく!

なんと!こんな幸せな光景見たことがない!と思ったが先ほど見ていた!

でもこれはこれで嬉しい。美人同士の戯れ。

 「きゃっ!」

2人の体重に耐えきれなくなった浮き輪は回転する。地球儀の様だ。


 ジャボンッ!


大きな水飛沫を上げて2人は仲良く馬の中に落ちる。幸い2人は小学生の頃の水泳の課外活動をしていたおかげで、難なく水中から浮き上がる。

浮き輪を掴んで2人は濡れた前髪を掻き上げて笑う。今時のJKは髪の毛を固定しがちだがこの2人はしていないみたいだ。

 「何してんの!?」

 「いや〜杏が元気がないからちょっと楽しませたくってさ〜」

 「ウチは元気だよ?」

 「むぅ〜本当かしら〜?」

 「本当だから!もういいでしょ!」

 「勇となんかあったんでしょ〜?」

この言葉の前まではいつものノリだと…杏は笑って軽く流していた。だがこの言葉を聞いた瞬間…飄々とした玲那の顔を睨みつける。

 「え?なに?」

その目を見た玲那も少し冷めた表情をする。

 「元はと言えば玲那が悪いのになんなの?」

 「え?な!なんで私が悪いの!」

 「あ〜もう普通にウザイよ!」

 「はっきり言ってくれないと分かるわけないじゃん!」

 「なんでも察せれるわけないでしょ!」

激昂して体を揺らしながら起こる玲那。

その際にも胸は揺れている…。

杏はそんな胸を見て顔を真っ赤にする。

 「あ〜玲那は良かったね〜おっぱい大きくて!それだけでみんなにチヤホヤされちゃうもんね〜」

 「玲那前舞ちゃむに説教垂れてたけどさ!自分のことも見直した方がいいんじゃないの!?」

 「な…なんなの!杏!」

 「水着褒められたくらいで勇とか他の人を誘惑する様な事してたじゃん!」

 「なに?ふざけてただけじゃん」

 「そんな事で怒ってたわけ?」

 「そんな事って何よ!」

 「杏って案外面倒くさい人だったんだね!」

顔と顔を近づける2人。こんな時に眼福なんて言ったらぶち殺されそうだ。それくらいには殺気だっている。

 「うん!ウチは面倒くさいよ?」

 「だから付き合ってもない男の子が他の女の子に誘惑されてたら嫉妬するし!」

 「玲那の彼氏もそうなんじゃないの?」

 「は…?」

 「玲那が良く人の恋愛感情を逆撫でるようなことするから困ってるでしょ?多分ね!」

 「なんでも分かった気で話すなっ!」

お…女同士のマジ喧嘩が怖すぎる。

献血行ったら感謝される側から見たら…入る隙もないって言うのか…入ったら目線を合わせずに殺されそうだ。

 「ふんっ!玲那なんて大っ嫌い!今日来なきゃ良かった!」

 「ふんっ!ほんっと!杏なんて来なければ良かったのよ!」

 「あと私おっぱい大きくするの頑張ってるんだから運が良かったみたいなこと言うのやめてよ!」

 「ふんっ!」

険悪なムードのまま陸へと戻っていく2人。

この間に何か共通の話題を見つけて仲良くなったらいいなぁ…って思っていたが無理の様だ。

完全に無視をしていてに方向に別れて行きそうだ。

無事?2人はビーチに辿り着く。

 「お〜!玲那ありがとう!」

 「遥真!舞は説得できたけどさ!」

 「この短気な子は説得できなかった!ごめゆね〜!」

 「ふんっ!なんも理解してないじゃん…!バカ!」

 「あれ?なんか険悪?」

 「杏の方がバカだから!ふんっ!」

 「あ…あら?悪化した?」

2人は浮き輪を投げ置くと別々の方向へ歩き出す。多分目的地は海の家だろうが…。

ナンパな男たちは美しいビジュアルの2人に声をかけようとするが、半径10mに入った辺りで引き返す。


一方舞は…

 「ありがとうね…颯くん…」

 「びっくりしたよ本当」

 「まさか普通に舞が流れてるとはね…」

颯は苦笑する。舞も恥ずかしがっている。

あの後舞は颯に抱き抱えられて助かったのだ。

波が少しつま先に当たるくらいの場所に座る2人…。

舞は浮き輪を膝の前に持ち…潮風を感じながら悩んだ顔をしている。

 「どうしたの?」

そんな舞の顔を颯は心配そうに覗き込む。

 「えっ!?いや!何でもないよ!」

 「やっぱ舞は可愛いな〜表情ですぐ分かっちゃうよ!」

 「あ!ありがうとね!いつも可愛いって言ってくれて…お世辞だとしても嬉しいよ!」

 「お世辞じゃないけどね…」

 「それで…」

 「…風華の事で悩んでるの?」

 「え…?」

 「また顔に出ちゃってるよ?」

舞は慌てて顔を隠す。

颯はその姿を見て優しく笑う。

なんでも包み込んで飲み込んでくれそうな程優しい声に…舞の声は震える。

 「あ…あのね!颯くん!実は私颯くんに話があっ…!」

颯は舞の口を手で押さえて…もう一方の手で自分の耳を塞ぐ。その颯の手は少し震えていた。

優しい笑みを浮かべる颯。だがその表情は突けばすぐに崩れそうなどだった。

 「俺も舞に話したいことがあるから…今日の夜時間もらっても良いかな?」

 「…う…うん」

 「じゃっ…人も空いてきたし…みんなとそろそろ昼ごはんでも食べよっか」

 「そうだね…!」

舞の手を引き颯は歩き出す。

いつもなら自信満々で温かい颯の手が…今日は妙に冷たく感じたのはおそらく海に浸かっていたから…そう納得させる。


その後の昼ごはんは普通に地獄だった。

遥真以外まともに話す人がおらず…遥真の1人漫談劇にでも来ているかの様だった。

しかも玲那と杏は目があったら怒って昼ごはんを残してどこかへ行くし…それを舞はバクバク食べるし。

気まずい空気感に敗北した遥真はスベり散らかすし…いやこれは毎回だった。

次の投稿は月曜日どす。

新キャラ視点からなので悪しからず

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