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ANCIENT -無代譚-  作者: 美朱太
天地獄のはぐれ者
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7-2 すいへいりーべー

女の子は出てこないよ!

潮風が砂浜の人々を覆う。

幸せな笑みが人々を包み、男女共に水着の良さを際立たせる。

夏の魔法というのは、海と太陽そして笑顔があるからこそのものなのだろう。

太陽に招待されたのか人々がビーチに集まる。

そして現在午前10時頃。

広い着替えスペースで男子4人は盛り上がっていた。ここはかなり人気の海水浴場だ。

 「女子の水着予想しようぜ〜」

 「当たった人が今日の昼ごはん一個好きなやつ奢ってもらえるってことで」

ここの海の家の昼飯はかなり豪華だ。

ボコボコ…ではなくてロコモコがかなり人気。そして時点でラーメンやカレー…たこ焼きまであるし!海鮮系のメニューもある!

これだけでも来る理由があるのだよ。

しかも水着理想論を語れるのだ。

最高のゲーム。…と思っていたがそのゲームは批判から始まった。

 「お前本当にキモいな」

 「うん…人とは思えないよ?」

 「やーい!へんたーい!」

 「お前ら良い子ぶってるけど…本当は気になってるんだろ?」

遥真の問いに首を触れるものはこの場所にはいなかった。

結局このゲームは普通に始まっていく。


 <難易度lv1 川本杏>

 「まずは杏からだな…!」

 「うーん…」

あんな批判していたのにみんな真剣に考えている。やっぱりみんな男の子なんやね。男子高校生らしくくだらない事には力を合わせられる性格なのだ。

着替えスペースだから他のお客さんも来てる。

でもその人たちは勇たちの雄姿を見ると、素早く着替えて触れる事なく外へと出ていく。

 「杏は胸は小さいけどスタイル抜群だし…ちょっとかっこよさもあるんだよなぁ」

 「体育の時に見えちゃったけどくびれもあるんだよな…」

 「は…見えた!」

某名探偵並みの閃きを発揮する勇。

我ながら完璧な妄想をしてしまった様な…。

 「黒色のショートパンツタイプの水着…!」

 「そして胸を隠せる様な水着だけど…ヘソは必ず出す!俺の予想はそうだ…!」

あまりにも完璧な水着理想論…。

それに他の男子どもは思わず拍手を送る。

遥真に至っては涙を流して賞賛する。

…正直な話…杏の水着を見てしまったのだ。

着ているのを見たわけでは決してない!

でもバッグに水着を入れてるのを見てしまった。本当に後悔した。

楽しみが減ってしまうのだもん。

ていうか電車代や宿代…マネーが嵩む嵩む。

ズルだと分かっていてもお昼ご飯だけは安く済ませたいのだ。お小遣い暮らしな高校生の宿命だろう。

 「杏は勇のが正しいよ…」

 「もうすでに見てきたみたいな完璧な答えだ」

 「う…うす…」

ラグビー部の後輩の様な声が出てしまった。

バレる…?かと思ったが次の相手にみんなの目線は向いていた。流石この男達は戦士の目をしている。


 <難易度lv2 田淵玲那>

 「じゃあ次は玲那か…」

やはり悩む…悩む…。別に案が出ないわけではないのだ。案は玉くる

多分頭の中でその人に合う水着を想像するのが楽しいのであろう。

そうしてしばらく玲那について考える勇。

だがしばらくしたらあの水着を着ている杏が割り込んできて、ビーチライフを想像して笑みが溢れる。

 「勇…まさか玲那の水着を想像して…?」

 「確かにあれこれ水着を想像するのは…まぁそりゃ興奮するけど!限度ってもんがあるだろ!」

そんなことを言う遥真。絶対に手始めに紐の水着を着させているくせによく言うぜ。

 「違うッ!俺は…!」

 「え?誰の?」

 「え…えと風華の…」

 「えぇ〜?照れるなぁ〜」

わざとらしく後頭部を撫で可愛い女の子の様な仕草をしている風華。…どうせ風華は舞の水着にしか興味ない。ナチュラルど変態。

だがもうそんな事みんなすぐに忘れ…玲那の水着当てに集中する…。

 「…!はい!」

勢いよく手を挙げる颯。やっぱり颯も男だと気付かされる。それに応えないのは無作法だろう。

 「はいどうぞ颯!」

 「玲那は結構体がクッキリしてるタイプだから黒ビキニ…!ホルダーネックってやつ」

多分舞で想像するためによく調べたんだろう。

普通の男子高校生ならそんなこんな水着の種類なんて知らない。

 「はい!」

 「はい!次遥真!」

 「玲那はハイレグ水着!」

 「…」

颯の回答には一定数の賛同の声が聞こえた。

だが遥真の「ハイレグ水着」には誰も頷かなかった。ブツブツと文句を呟く者だらけだ。

 「それは理想であった…現実的ではないよね…」

 「ビキニは玲那は着てくれるんだけどねぇ…胸もそこそこ大きくなってるし…」

 「玲那さんは自分の魅せ方分かってるもんね」

 「ハイレグは絶対に着ないんだよなぁ…ボケるんならもうちょっと変化球をねぇ…」

いつになく真面目な雰囲気だ。

合唱コンクールとかで真面目にやらない男子がダサい的な風潮があるだろう。それは今はこの水着理想論に適応されているだけだ。

流石の遥真も気圧され、ボケるのではなく集中モードに切り替わる。明らかに目つきが変わっているもん。

 「それは理想であって現実ではない…」

 「ビキニは玲那なら来てくれるって言うね…自信があるんだよねぇ…」

 「玲那さんは自分の魅せ方分かってるから…ハイレグは絶対に着ないんだよなぁ…ボケるんならもうちょっと変化球をねぇ…うん…」

いつになく真面目な雰囲気に流石の遥真でさえも気圧されボケるのではなく集中モードに切り替わり玲那の問題を続行する

 「はい!」

 「はいどうぞ勇!」

格の違いってやつを見せてやるぜ!

 「やっぱりビキニだとは思うんだよ」

 「下は普通のケツ隠すビキニなんだけど…上はヒラヒラがついてるやつあるじゃん?あーいうのなんじゃね?」

 「うわ…確かにな…」

 「これはいい線いってそう」

 「流石すけべ…圧倒的に解像度が高い…」

嬉しくない様な嬉しい様な…。

みんなが納得する中…ただ1人首を振り続けるものがいた。たった1人。

それは玲那の体を知り尽くした男…佐藤風華だった!こいつは前まで玲那に抱きつかれまくっていた。

風華は申し訳なさそうに静かに手を挙げる。

 「は…はいどうぞ…風華」

あまりの気迫にMCの声が震える。

ていうかMCは誰なんだろう。声も聞いたことがない。

 「玲那さんはみんなが思うより胸がある…」

 「俗にいう着痩せするタイプの人なの!」

 「みんなが言う様にビキニなのは間違いない」

 「けどただのビキニじゃなくて…!胸元の谷間がはっきりと見えるもの!あと色は暗めの赤!」

 「あと海に入らない時はハットみたいな麦わら帽子を被ってそう!」

最後の完全に理想なんだろう。風華の趣味が全面に出ている。共有してくる動画もそんな感じの女の子だった。

玲那の胸情報を知れた3人は頭の中に衝撃が走る。それと風華に対する嫉妬が…。

その水着を着た玲那が舞と杏と仲良く話す姿。…そして下手なことを言った男性陣に対して腰に手を当てて怒ってくる姿も…。

そんな未来さえも匂わせてくれる風華の水着理想論に拍手が巻き起こる。

 「さて…」

 「気合い入れるかぁ…」

 「プライドの勝負だ…」

各々準備体操を始めて席に着く。

そして最後の強敵に挑むために各々準備体操を始めて席に着く。


 <難易度lv5 山下舞>

 「巨乳…山下舞の水着はどんなのだと思う?」

先程までとは違い誰も考える素振りを見せない。そんなに舞に興味がないのだろうか?いや違う。

もうみんな答えが出ているんだ。

牽制しあい…微妙な空気がこの部屋を包む。

ここで一番最初に答えてしまったら…均衡と…そして舞の理想論を曝け出す。いや舞の理想論ではなく…女の子の水着の理想論がバレてしまうのだ。

理想を崩されたくない…。理想同士でぶつかり合いたくない…。もう仲間同士で殺し合うのは見たくないのだ…。


 ビュンッ!


その均衡を破る様に1人の漢が手を挙げる。

あまりの驚きにその人物に注目が集まる。

その男の名前は勝俣勇。

これまで二問とも好印象な勇。相変わらず余裕の表情で答える。

 「ビ…ビキニ…三角形ビキニ…!」

 「なるほど…じゃあ次は俺だ…」

次は颯だ。自信に満ちた表情だ。

 「俺は一番舞を近くに見ているからわかる…」

 「舞ら腕の肉付きが良い…だから体型をカバーできるオフショルダーのビキニ…!」

 「これでどうだ?」

 「バカだぜ…!お前は舞のことなんも理解してないな!」

次は遥真だ。

 「舞が自分の胸を見せびらかしたいって思うと思うか?」

 「俺はバスト部分を隠す水着を着てると思う」

 「だが胸を隠して尻隠さずって言葉があるだろ?」

そんな言葉は聞いたことがない。

 「胸は隠せても尻は隠せまい…その尻を恥ずかしがる舞の顔が目に浮かぶ…」

 「じゃあ最後風華!」

一番興奮していそうなむっつりな風華。

だが最後の砦を飾る様な男の様には見えなかった。ボケ〜とみんなが話す姿を見ていただけだ。

 「俺の舞さんへのイメージが違いすぎるのかなぁ…」

 「風華はどんな予想したんだ?」

 「舞さんは控えめだけど…大胆なところもあるから胸元は出すと思うんだよね」

 「ガッツリじゃなくってちょっとチラ見せ程度…」

 「うーんお腹とかは隠せる水着だと思う。…水玉の水色のフリルワンピース水着」

 「海に入らないうちはシースルーの白い羽織り着てそう!」

自信がなさそうな風華だったが…話すうちに徐々に調子を取り戻して言っていた。

だが周りの目は冷ややかなものだった。

 「…夢見すぎだぞ風華」

 「舞みたいな恥ずかしがり屋が胸元出すわけないだろ?」

 「風華って案外すけべなんだね〜」

 「こいつはガッツリだゾ!」

 「まぁ何を言っても!見ないことには答えは分からない!」

 「決戦の地に俺たちも行こうよ!」

男性陣は着替えを済ますといざ…決戦の地へと足を運ぶ。その足取りは軽快なものだった。

次は金曜日どす。

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