2-4 いくつもの種
ギリギリで作ったので変なところがあるかもしれまへん。
「避けるぞッ!」
「ひゃー!」
2人は垂直に飛び上がる…。
だが先ほどとは違い、砂埃は舞い上がってすらいない。これは…地面には当たっていない。
だが触手は実直に放れた方向へ伸びている。
「まさかッ!」
「風華!頭を下げろッ!」
「…ッ!」
「グフゥッ!」
遥か遠くで方向を転換した触手。
それは確実に風華の背中を狙っていた。
呻き声と共に風華の体が前に押し出される。
…そのまま勇の方へと向かってきている。
「こっち来るなぁぁッ!」
「押されてるんだよぉぉッ!」
「止めてぇぇッ!」
ゴチンッ!
額と額がぶつかり合い電撃の様な痛みが走る。
わ…割れてもないし血も出ていない。…だが脳みそが震えている…。
地面に突き落とされた2人はおでこを抑えながら睨み合う。しかも涙を目に浮かべて…。
「痛い…」
「風華おでこ硬すぎでしょ!」
「お…おでこ広いんだよぉ!言わせないでよッ!」
「勝手に言ったんだろ!?」
「弱いですが…タフさはあるのですコロね…」
「ですが…避けているだけで良いのですコロか?」
「え?」
「最初に私が食べたあの青年…」
「逃げている間に消化されてしまいますコロよ?」
「颯さんの事か…?」
いつもの高く愛らしい声はどこへ行ったのか…低く渋い声。かなりの気迫を感じる。
風華に目配せをされたら近くに行くしかない。
「ちょっといい?」
「あぁ」
「密談ばかり…私も…」
「混ぜてくださいよぉッ!」
今度は両腕の触手が2人に放たれる。
一本だけでも避けれなかったのに…。
だが2人の表情は動く事はなかった。
「じゃあ行ってこい!」
「任せたよッ!」
風華は足に力を入れるとその場を飛び去る。
「逃すわけが無いコロね…」
「チョココロネ…」
触手は自由自在に動き、風華の後を追い出す。
だがそれは勇には予想通りの事だった。
「黒縄ッ!二本同時に捕まえろ!」
ビュンッッ!
黒縄は風を切り触手を追い掛ける!えっほえっほと…。
「めんどくさい能力だコロ…」
急な触手の方向転換…!今度は一転して勇の方向へ向かってくる。な…なんて動きだ…。
触手をしならせ、砂埃を巻き上げて来る。
黒縄での防御は不可能…。
「これは痛いコロよ?」
ドォォンッ!
凄まじい衝撃が両腕に走り、少し痺れる。
すんでのところで体を守ったから良かったが、もう一歩遅れていたらこの触手は体を貫いていた事だろう…。
「お主の能力…戦闘向きでは無いコロね」
「そ!そんなこと一番分かっとるわ!」
「だがそのゴミで向かってくる根性は認めるコロ」
「な…何でそんな余裕があるんだ?」
「簡単だコロ」
「余裕だからコロ」
…この会話に意味は絶対にない。
だが時間稼ぎとしては十分だった…。
ビュンッ!
フロルの背後から黒縄が現れる…ッ!
だがそれは異空間から現れたのではなく、グラウンドの砂を掻き分けて出てきていた。
それは偶然などではなかった。
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能力の説明サイト[黒縄の使用方法]
tier,D!はずれー!
その1,黒縄は土や砂を掻き分けることが出来るぞ!たとえ土の中砂の中あの子のスカートの中的な感じだ!
例,キャンプ中テントの中に忘れ物をしてしまった!そんな時は〜!
黒縄を地面に潜らせて忘れ物を回収しよう!
無駄な汗は避けて。歩いていくのはok。黒縄を使うのはperfect。
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多分このサイトは最近書かれたんだろう。
なんかネットで流行っていた様な言葉が使われている。最近野球女子の可愛い子がこれをしているのをSNSで見た。どタイプだった。ボブで。
全く同じことを言うが、黒縄は土や砂を掻き分けて自由自在に動けるのだ。
だがその代わりフロルの触手の様な威力は無い。
油断をした隙を突いて、フロルの背中にもろに当たったものの…フロルは苦痛の表情を一瞬浮かべただけ。あの痺れる様な痛みはない様子。
こ…これだと完全にフロルの劣化だ…。
フロルの触手も自由自在に動けるし…。
花の化け物の状態だと普通に触手が地面に生えてたし…。
フロルの触手の唯一の欠点としては、地中を進んでいる時にバレてしまうことだけだろう。
「…お主もなんだかが可哀想だコロね…」
どんな攻撃よりも痛い。…痛すぎる。
精一杯が同情されるのがなにより辛い。
文化祭で下手くそなダンスを見られてる感じ。友達の親とかも自分には触れない。触れちゃいけない物をそばに置いてる感じだ。薄ら笑いを浮かべていた…。
思い出すだけで悲しくなってきた。
「うぅ…泣きそうだ…」
「…大丈夫コロか?」
「う…うん…」
優しい口調で声を掛けてくれるフロル。
案外良いやつなのかも知れない。
いやまぁそんな訳がないのだが。
「…まぐれでさえ私を倒せなかったコロ」
「お主に勝機はあるのかコロ?
「ふっ…あれが本気だといつ言った?」
ちゃんと120%出してた。
「2の手3の手がお前を襲うぜ…?」
四の五の言わずにやれば良い。碌でもない嘘をつくよりも可能性はある…気もする。
「じゃあ、その2.3の手を見せてもらいたいコロ…ッ!」
「耐え切れるかなッ!」
勇は大きく足を踏み出したッ!砂埃が舞う。
凄まじい剣幕…風は舞い…鳥は叫び…。
フロルも焦りを隠せず、汗が流れる。
「コロコロコロコロッ!?」
粘着カーペットクリーナーくらいコロコロ言っている。これが正常な訳がない。これで普通だったら別の意味で怖い。
「俺を本気で怒らせたな…!」
「な…何をするコロ…?」
「うおォォッ!」
突如ッ勇は後ろを振り向いた!
ここから取られる選択は限られている。
"空後"か"後ろ回し蹴り"…
いやもう一つだけ取れる選択があった!
「風華ぁ!あとは任せたぞッ!」
足に力を入れての全力ダッシュ!
凄まじく小さな背中…風を切り…鳥は呆れ…。
フロルも笑いしか出ない様だ。
「…ま…まぁそこまで言うならあの少女を狙うが…」
フロルは視線を勇から退け一歩を踏み出す。
ズテッ!
フロルは突然転んだ。ギャグアニメでもなかなかない様な転び方。手でキツネポーズをしていて、どこかのプロレスラーを感じさせる。
段差があったわけでも滑った訳でもない。
ただそこには木の根の様な黒縄のトラップが仕掛けてあった。
「やーい!間抜けー」
猿の様に木に登って中指を立てる勇。
先ほどまで風華と言い争っていた人工的な小さな林で今度はフロルを煽っている。
「テ…テメェ…」
頭に血管を浮かべるフロル。
嫌な予感がしてひや汗を流す勇。
「ぶっコロすッ!」
「こ…コロはキャラ付けのための語尾だから…」
「ぶっす…って言ってるって事かな…?」
「ぶっコロす!ぶっ殺す!殺す!」
「お上品な言葉が崩れてるざますよ…?」
「死ねェッ!」
「キャラ付けも忘れて無様っすよ…っなんつって…」
「ってやばい!」
ふざけてる間に眼前には花の開いた触手!
真っ赤な蕾と無数の葉の様な刃!それが音を立てて突っ込んできてるんだから怖いのなんの。
勇は恐怖のあまり足を滑らせた。
元々足場の悪い太めの枝に乗っていたこともあって、そのまま地面へ落ちていく。
ビュンッッ!
ラッキーな事に触手は避けれた。
だが天国へのカウントダウンは着実に進んでいく
「黒縄ッ!どうにかしろ!」
お呼ばれされた黒縄は袖から現れる。ダル気に。
そして近くの小枝に黒縄を巻き付けると、勇は一息を吐く。触手は完全に外れた様だ。
「はぁ…はぁ…風華も無理難題を課すもんだぜ…」
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先ほどの風華との密談…。
「勇!あの花人間任せて良い?」
「ん?無理だぞ?」
「なんでよ!」
「こんな縄であの触手に勝てる訳ないだろ?」
パシンッ!
黒縄が自我を持っていることなど忘れてた。
「で…でも実際勝てないだろ?」
「じゃあ勇はあの怪物に勝てるの?」
「時々吐いてるあの液体毒みたいだけど…」
「…お!俺こっちで頑張る!」
「偉いよー!」
嬉しい。これは素直に嬉しい。クラスのマドンナ的な女の子と話せて笑わせれた様な満足感がある。あれは自分の人生に一生影響を及ぼす。
だが一つだけ疑問があった。
「風華は毒対策あんのか?」
「俺には一つだけ隠し球があるんだよ!」
「そっか…風華は何個かあるんだっけ…能力」
「ふっふっ!そうなのじゃ〜!」
腕を組んでのドヤ顔。霊愛を感じさせる。…が霊愛ほどのウザさはない。
「じゃあ時間稼ぎは任せたよ!」
「…まッ!任セロ!」
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そして現在。
「この林が無かったら死んでたぞ…風華」
「ちょこまかと…ウザイ…コロ」
「仕方ない…あまり自然を壊したくなかったコロだが…」
「あれを使うコロか…」
「あれ…?」
フロルは触手を羽を伸ばした孔雀のように広げる。刃によって蕾は隠れ、触手の先端はまち針の様に尖る。
オーラの様なものによって体の周りには砂埃が舞う。近づくことさえ敵わない。近づこうとも思えない。
「水千…ッ!コロ!」
如何にも花の敵らしい技名。
この漢字から大体どんな技かも予想できる。
「キエイッ!!」
フロルには2本の触手しか無かったはず…
だが今目の前には千をも超える様な触手。
目の錯覚なのかも知れない。だが実際に触手に当たった木には大きな風穴が空いている。
これに当たったら一溜りもない…。
フロルから一番離れている木に隠れているものの、ここも危険地帯になるのは明白。
「…黒縄ちょっと聞いてくれ」
「黒縄のビクトリーロードは見えたんだよ」
"水千"という技なので千発近くは基本的に放つコロ。放って戻して…その繰り返しコロ。
それは相手が死んでいても続くもので、大体100発放ったら死んでいるコロ。
肉片は飛び散り骨は砕け散って死ぬコロ。肉片コロコロ。
弱点としてはこの技を使った後は死ぬほど疲れる。
「なら途中で止めろよ単芝」そんな意見が聞こえてくるコロが…。
そんな凡夫の声はテラワロス。
止めれたらとっくに止めてるわコロす。
でも止めれないからこうして相手の気配がするところを中心に攻撃しているコロ。
こうすれば生き延びる事は基本無くなってワンチャンを潰せるんだコロ。
ほらあの男が逃げる方向に触手を放つだけ。
簡単な作業で勝ててしまうのさコロ。
「ん…ッ!?」
突然右手の触手に加わった重み。
木の根っこが引っ掛かった訳でもなさそうだコロ。軽く引っ張ると重いものの確実に動いているコロ。
「なんだこれはコロ…」
力づくで右手の触手を引き戻す。
ビュンッッ!
影が空を切り背後に廻る。
砂を靴で擦る音が背後から聞こえる。
「…いつまでやってるつもりだ?」
この声は勇の声だ。
だが声を聞いてもフロルは止まらない。
ずっと触手を振り回している。
あんなに怖かった"水千"という技は少し離れた視点で見ると滑稽としか言えない。
「ちょっと待つコロ!今立て込んでるんだコロ!」
「あと何発打つんだ?」
「あ…後800発…コロ」
「…200発打つのに5分だろ?」
「500発くらい打ったら疲れて遅くなるコロ」
「30分くらいか…」
「帰っていいか?」
「攻撃されたら止まるコロよ?」
「でもこれ使った後はお前疲れるんだろ?」
「攻撃喰らわなくて相手を疲れさせられるならそっちの方がいいだろ?」
「な…!なぜそれをコロッ!?」
「ばっちり声になってたぞ…しかもかなり大きな声で話してたし…」
「な…なかなかに恥ずいコロ…」
つまりあの"水千"という技〜ってところには本来はかっこがついていたという事。ていうか「コロ」がついているところは多分全部話してた。
休日の都内のスーパーでも普通に声が通るくらい声が大きかった。
そう思い返してみるとなかなかに恥ずかしい。テラワロスとか言っているのを聞かれてたとしたら死んでるも同然だ。
「待つかぁ…」
「そうしててほしいコロ…」
勇は胸ポケットからスマホを出し見出す。
ギガはないので広告の「Wi-Fiは要らない!」ていうアプリをするしかない
一方その頃風華は…
「つんつん…」
抜け殻の様に動かなくなった花の怪物。
それを刀でつつく風華。
息はしているが触手が切れて攻撃はできない様だ。
「どうしよ…」
かれこれこのつつく事を10分くらい続けている。たまに花が動くだけでびくともしない。
「…おーい」
ザッザッザッ!
背後から砂を蹴る足音。
フロルが来たのか!と慌てて振り返る。
「風華くん!危ないよ!」
そこにいたのは舞だった。
かなり走ってきた様で息切れしている。
フロルが来ていたらその時点で勇は死んでいるのだった。
「舞さんッ!なんで来たの!」
「え…えと風華くんが危ない所にいるから…」
「俺は大丈夫だから!早く舞さん戻って!」
「ご…ごめん」
舞は悲しそうな顔を見せて踵を返す。
あまりにも心配で強く言ってしまった…。
この事は今日の夜に一人で行われる反省会の議題として持ち上がる事だろう…。
生ぬるい空気が顔を覆う。
アスファルトに跳ねる水の音。布が一気に張る音。数秒でその音は増えていく。
そう言えば今日は雨の予報だった。
「…あれが本当の花だったら」
恐る恐るあの花の怪物を見る。
実は舞と話している時は視線が舞にしか集中していなかった。あれもこれも舞と1対1で話すことが普段はできないから。
仕方ないのである!
さて…あのお花さんはどうなっているのかな?
水を得た魚の様に動き回っていた。
ひまわりの様に顔の向きを変えながら。
これが小さくて綺麗な花だったらどれほど嬉しい事だったのだろう…。可愛くて撫でちゃいたくなる。
だが実際の目の前の花はドス黒い緑色の茎。
綺麗さなんて微塵もない。
「な…なんかまずい気がしてきたぞぉ…?」
そのまずい予感はものの数秒後に的中する。
ブシュゥッ!
炭酸を開けた様な破裂音。
それと同時に異様な匂い。硫黄の匂いではない。カップラーメンをシンクに流して放置した匂いだ。もう本当に不快でしかない。
瞬く間に雨は降り積もっていく。
視界もすぐに悪くなっていく。
舞の背中は小さく見える。いや元々小さいのだが。
「あ…ッ!あれは!」
上を見てみると先ほどのドス緑色と赤紫の液体が、雨と共に落ちてきている。雨で薄まっているのか桃色にも見えた。
そしてその真下には舞がいた。
しかも雨に足が取られて転んでいるようだった…。悲劇のヒロインの様だ。
その姿を見た途端…
コンマ1秒もかからぬうち自然と体が動いた。
目的はただ一つだけ、舞を守りたいだけだ。
「舞さんッ!」
風を切る様に舞に向かっていく。
だが雨に濡れた地面により思ったようなスピードは出せない。確実にあの液体より遅い…。
どれだけ頑張ってもこのスピードには勝てない。だからと言って諦めるわけにはならない。
ビュンッ!
たった0.01秒の差。
舞の体には傷ひとつ無かった。
そのハリのある肌は雨が当たって水餃子の様になっていて、初めて触る女体にしてはレベルが高かった。案外…太…いや可愛らしい体だ。
「はぁ…はぁ…舞さん大丈夫だった…?」
現在舞は風華の両腕に抱えられている。
そうは言ってもカップルの様ないやらしいもんじゃない。流石に全身と全身は触れられない。
手で肩に触れるだけに留めておく…。
「わ!私は大丈夫…!」
「だけど!風華くんが…!
「あはは…大丈夫痒いだけだよ」
舞を救い出すその瞬間、あの液体が背中に直撃した。しかも上半身裸…。ヒリヒリする…っていうかトゲが刺す様な痛さだ。
だが舞の性格を考えると…本当の事は言えない。気に負ってしまいそうだ。
「…はぁ…はぁ」
「私のせいで…」
舞は小さな手で背中を撫でる。
これじゃ抱きしめられてるって体が勘違いしてしまいそうだ!顔も近いし!
このままいたら頭がどうにかなりそうで…
すぐに舞の体を突き放す。
「…は!颯さん助けてくるから」
「で…でもぉ…」
「大丈夫…舞さんは安全な所で待っててね」
「うん…」
はっきり言ってムカついてしまった。
舞にムカついている訳ではない。むしろ嬉しかったのが本音だ。
だがあんな可愛いものを手元に置いておける颯にムカついてしまった。
本当に自分は情けなくてどうしようもない男だと知ってしまった…。
「痛ぃ…」
「はちゃめちゃわちゃカッコつけたのに…」
「別に痛みが無くなる訳じゃないのかぁ…」
「この"解除"って能力…」
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tier,C!まぁ当たり寄り!良かったね!
その1,麻痺や毒を治せるぞ!あんな痛くて辛いものを治せるぞ!なんて強いのだろう!
注,解除するまで痛みや痺れはあります。
解除には数分の時を要する場合があり、大変迷惑をおかけいたします。
持病の腰痛を治す事は出来ませんのでご了承ください。
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「な…なかなかに癖の強いサイトだなぁ…」
「さて…どうやって颯さんを助けようか…」
「し…仕方ない…」
「危険だけど一番最初の方法しかないかな」
「ん…!?よく考えたら…もっといい方法があるような…」
「あ!あった!俺の必殺技…!」
ラルクが好きです。




