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18-7 MOON

 「…」

 「…」

遥真は胸部CTで発覚したのだが、肺挫傷と肋骨の骨折を併発したらしい。風華は脳震盪だけだったが、脳に直接干渉されたので経過観察ということで数日の入院をすることになった。

まったく人間どう言うのは脆い。

今現在霊愛と紅恋…そして少し離れたところに勇の家族たちは勇の手術の結果を待っている。

そこには杏の姿と、舞や玲那の姿もある。

他に友達がまだいないのは勇の人望をとても自然に表している。


 「ねぇ霊愛…?」

 「ん?なんだ紅恋姉さん」

 「…霊愛はあの3人のことを友達だと思っているのか?」

 「…あのハゲは微妙だが他の二人と私はきっと切っても切れない仲…まぁつまり友達と言うやつだと思ってる」

 「…じゃあ私のことはどう思ってる?」

 「…紅恋姉さんは私の大好きな姉さんだよ」

 「でもはっきり言って危なっかしい!」

 「…人間界を混乱させるし…」

 「そ…それは悪かった…」

 「でも私はそんな紅恋姉さんが大好きだよ?」

 「…れ…!霊愛…ぃっ!」

愛する弟の素直な気持ちを聞いて、限界オタクのように悶え果てて体を震わせる紅恋。

だが周りに白い目を向けられていることに気づくとすぐに立派なお姉さんのフリをする。

胸を張ってフンス…っ!と鼻息を立てる。

 「…紅恋姉さんは?」

 「…わ!私か!?」

 「そりゃ霊愛のことは大切だし…頼りにしてるけど…」

 「仕事はできないし…結構指示待ち天使だし…結構むっつりすけべだし…」

 「…あ…あれ?私っていいところない?」

 「…でも!そー言うところがなんと言うか可愛いって言うか…」

 「だ…大好き…だぞっ?」

…ほっぺをピンクにして髪の毛で口元を隠す紅恋。マジで美人なのに可愛すぎてどーしよーもないくらい可愛い。

ツンデレ系のヒロインみたいだと勇だったら言うのだろうが、ここは血の繋がった姉弟である霊愛。ただ素直な姉が嬉しいって思ってる。


 ウィーン…


寂しげな手術室の自動ドアが開く。

緑色の手袋をしている執刀医であろう貫禄のある人物は悲しそうな表情を浮かべている。

…この表情で何が起きたか一瞬にして分かる。

勇の母親は胸を打つ鼓動の逃げ場を作るように、勢いよく立ち上がると執刀医に掴みかかる。流石元ヤン…迫力がある。

 「手術は…」

 「…!」

 「成功しました〜!うぇ〜い!」

 「…よ…良かった…」

良かったのは良かったんだが、医者が手術終わって「うぇ〜い」とか言うのは日本の未来が心配だ。…しかもこの執刀医の人5億年に1人と言われるほどの天才だ。こんな小さい病院にいるのがもったいない。

 「いや〜なんかね〜内臓に奇跡的に損傷がなかったんだよね〜!」

 「しかもなんか内臓がズレてたみたいな〜いやまぁおかしいんだけど本当なんだよね〜!」

 「何かで刺される前にズレて刺された後に戻ったみたいなんだよね〜」

このギャル男の執刀医…

こんなんだけど実力は本物だから誰も文句を言うことはできない。

 「内臓がズレてた…?」

 「…普通の人間だったらありえないことだな」

 「勇の黒縄の新能力の可能性もあるが…」

 「…変だな」

 「一度このことを笑伝様に伝えるために天界に行くが…」

 「霊愛は行くか?」

 「わ…私は…」

顔は紅恋の方に向いているが、足は勇の家族の方を指している。しかもピョロピョロと足が動いている。

 「行きたいならいってもいいぞ?」

 「でも…私は天界の天使だ…別にアイツが死んでも生きてても…」

 「素直になりな?」

 「ご…ごめん…先に行っててほしい」

 「うん分かった」

優しい笑みを見せ霊愛の肩を叩く紅恋。

霊愛は子供のようにスキップをしながら喜びを分かち合う勇の家族、そして勇の友達の元へ向かう。


 「良かったぁ…」

目に涙を浮かべながら舞に抱きつく杏。

それにつられたのか舞と玲那も涙を流している。…美人3人の涙…勇は罪な男だ。

 「勇が大怪我したって聞いた時本当に心臓止まるかと思ったの…!」

 「わ!私もだよぉぉ!」

 「私もぉぉ!」

 「…お前ら本当に仲良しだな…」

 「あ…イケメンさんじゃなくって霊愛さんだ…」

 「あれ霊愛さんももしかして泣いてました〜?」

クネクネと体を動かしながら霊愛に近づく舞。久しぶりのメスガキ舞ちゃんに、玲那は思わずスタンディングオベーションだ。

だが霊愛は舞の顔ではなく舞のパイパイを見てしまっている。これは男なら当たり前だ…主張が強すぎる!

 「…変態っ!」

 「仕方ないだろ!そんなデカいものぶら下げて…」

 「デ…デカいっ!?ぷんぷんっ!」

 「この人イケメンなのにあまりにも終わってる…」

あざとい舞と呆れ果てている玲那。

その隣にはめちゃくちゃに涙を流してる杏。

 「お前らは勇のこと好きなのか?」

 「わたちは大好きだよ?」

 「お…お前は風華が大好きじゃないのか?」

 「ち!ちが〜!違くはないけどっ!違う!」

 「友達として大好きなんですっ!」

 「…まぁそうだろ」

 「…ていうかアイツらがいない間学校は完全に無防備なんだなぁ…」

 「…で!でも勇くんたちの勇名が轟いてるから変な人とか来ないんじゃないのかな!?」

 「ゆ…勇だけに勇名…ぶふっ…」

1人でツボに入っている霊愛を蔑んだ目で見ている美人3人。…こう言うのも悪くはないのかもしれない!

次の投稿は金曜日です

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