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白葉うるも思い込んでいたらしいです。どうしましょう

前回の続きです

 WEB制作はパソコン1台あればできる。もっと言うとノートパソコンだったらネットにさえ繋がっていればどこでも作れる。喫茶店だろうと居酒屋だろうとネットにアクセス可能だったらいいんだから……


「来駕」

「来駕君」


 前言撤回。どこでもは無理だ。ハイライトの消えた女達に挟まれて平常心を保ちながらコーディングは無理。怖いとかじゃないぞ? 圧が……。なぁ、聞いてくれよ。俺、さっきまで1人静かにコーディングしてたんだぜ? どうしてこうなるんだよ……


「なンすか……?」

「「どっちが好きなの?」」


 はぁ……これだもんなぁ……。ヤンデレとは恐ろしいもので、足音立てずに逃げ出したとしても秒で場所特定される。俺の場合はこの家から出られないから家探しすれば30分足らずで見つかるのは目に見えてる。だからこれは逃走のうちに入らない。とはいえ……


「どっちが好きと言われても困るんですけど……これまではネット上だけの関係でしたし……」


 金髪と黒髪の女に囲まれて「どっちが好き?」って聞かれる状況はロマンを感じる人は感じるだろう。ラノベやラブコメアニメだけのイベントで現実は……うん。髪色関係なしに自分が2人の女性から取り合われるというのは悦に浸れるだろう。正し、妄想の中で。現実で聞かれるとこれ以上にないってくらい困る。どっち選んでもどっちかから何か言われそうなんだもん


「彼女はそうかもしれないけど私は違う。来駕とは恋人同士」

「アタシだって恋人だもん!」


 ポチとは名目上恋人同士だから否定はしない。うるとは完全初対面なんだが……いつから恋人になったんだ? もしかして……アレか? アレ見て自分に恋愛感情持ってるって勘違いしたのか? とにかく自己紹介からだな。その前に……


「貴女は自称でしょ。私は親公認」

「あ? アタシなんてリスナー公認ですけど?」


 このしょうもない言い争いをしてる女共をどうにかする方が先か……


「カムバック俺の穏やかな日常……」


 俺は眉間に手をやりながら言い争う2人をどうしたものかと途方に暮れるしかなかった。誤解のないように言っとくが、2人の女性が自分を巡って言い争ってるのが嬉しいとかじゃないぞ? 装備なしに火の中へ飛び込んでいきたくないだけだ






「落ち着きましたか?」

「「うん……」」


 場所は変わりリビング。俺が使わせてもらってる部屋で自己紹介含む諸々の話し合いをしてもよかったのだが、狭いから移動した。ちなみに2人の言い争いを止めるはめっちゃ疲れた


「俺、寝ていいっすか?」


 本当は自己紹介やうるがここへ来た時の事を話したいのだが、この2人の言い争いを止めるのに全エネルギーを使い果たして疲れた……


「ダメ。来駕が寝たら私寂しい」

「アタシも寂しいから寝ないで!」


 わー、諸悪の根源達が何か言ってるー


「勘弁してくださいよ……俺、疲れてるんすよ……」

「寝たら監禁」

「寝たら来駕君を殺してアタシも死ぬ!」

「何で寝るくらいでどっちもリアクションに困る事言うんですかねぇ……」


 この女共重すぎる……。俺は眠いし寝たいんだが……全く……


「監禁されるの嫌でしょ? お願いだから寝ないで」

「殺されるの嫌だったら寝ないで! お願いだよ」


 お願いと言いながらシレっと脅迫してるんだよなぁ……女ってめんどくせぇ。仕方ない、2人をこちら側に引き込むか


「うるさいなぁ……そんなに騒ぐなら2人も一緒に寝ます?」

「「寝る!!」」


 単純な女共だ。こうも簡単に釣られるとは……ポチもうるも単純すぎるだろ……


「単純すぎて草」


 俺は2人の扱いやすさにポツリと呟いた。多分、自分より年上だろう女性2人が二十歳のクソガキに絆されるだなんて滑稽だ


「来駕今私の事単純って言った? 私は乗せられて動くほど単純じゃないよ」

「アタシも単純じゃないよ!」


 否定する時は息が合うんだな……はぁ……


「はいはい。分かってますって2人は単純じゃないですよ。知ってる知ってる。つー事で、俺の名前は相沢来駕です。よろしく」

「いきなり何?」

「来駕の事なら何でも知ってるよ?」

「何って自己紹介ですよ。SNSで使用してる名前は知ってても本名は知らないですし。次、犬山ポチさん本名どうぞ」


 突然の自己紹介に目を丸くし、疑問符を頭に浮かべる女性陣。寝るって言っておきながら唐突に名乗られたらビックリもするか。うるが何故俺の本名を知ってるかは知らん。だが、俺は彼女の本名を知らない。ポチの方は俺の本名知ってるから改めて自己紹介する必要はないが、うるはポチの本名を知らないし、俺もうるの本名を知らない。早い話が今の俺達は一方通行。いつか破堤しそうな関係だ


「あっ、えっと……古森紬」

「はい。ありがとうございました。次、白葉うるさん本名どうぞ」

「う、うん。あ、アタシの名前は愛葉(あいば)彩晴 (いろは)。えっと……よろしく」


 若干ぎこちなかったが、白葉うるの自己紹介が終わり、これで俺達は互いの本名を知れた。彼女がここを特定できた経緯は後で聞くとして……


「はい。ありがとうございました。互いの本名が知れたところで……寝ますか」

「「うん!!」」


 こうして怒涛の白葉うる初対面が終了。聞きたい事はあるのだが、疲れた……修羅場に放り込まれるだなんて高度なイベントを逃げ出さずにこなしただけでも褒めてほしい







 白葉うる突撃事件から3日。早いもので2月。俺はリビングで優雅なひと時を過ごしていた。両脇に紬さんと彩晴さんがいる事に関しては何も言うまい。今月はバレンタインデーがあるんだよなぁ……嫌な予感しかしない。バレンタインかぁ……いい思い出ないんだよなぁ……。それにしても……まさか白葉うるがtubuyaitaから俺の居場所特定するとは思わんかったなぁ……つーか、紬さん……


「勘弁してくれよ……」


 こればかりは溜息しか出ない。彩晴さんが俺の居場所を特定できたのはさっきも言った通りtubuyaitaからだ。しかし、俺のではない。9割は紬さんのtubuyaitaを見て特定したらしい。大手企業所属勢は知らんが、個人勢、サークル勢、小企業勢のVtuberはエゴサの他にリスナーの監視をしてるらしい。でだ、俺の呟きは普通のもの1割程度、Vtuberの専用タグ付きのが9割。俺のtubuyaitaは基本こんな感じだから今の居場所を特定するのは不可能だ。では、誰のtubuyaitaから特定したか? 答えは簡単だ。古森紬────犬山ポチのtubuyaitaからだ。このカラクリは別の機会に説明するとしよう。今は彩晴さんの監視力に脱帽させてくれ。ヒントを与えるとしたらそうだな……紬さんが調子に乗った結果、突撃された。これがヒントだ


「あー、これ3回目ありそう……」


 家凸や会いたいって言われるのは勘弁願いたいが、2度ある事は3度ある。Vtuberから突然のオフ会したいメッセージがまた送られてくるかと思うと胃が痛い


「またあるよ。来駕魅力的だもん」

「そうそう! あんなもの見たら誰だって期待するって!」

「期待って……アレは適当に名前付けただけなんですけど……」


 紬さん同様、彩晴さんもアイコン動かしたHTMLの名前を見て思い込んだクチだ。突撃された日に聞いた話によると紬さんと同じ年齢でDM送って来た理由も同じ。俺が恋愛感情を抱いてると思った理由も同じ。もうね? 何て言っていいか分からん。分かるのは俺がアイコンを動かしたVtuberが軒並みHTMLファイルの名前をマジと捉えてるらしいって事だ


「LOVEって言われたらみんな期待する。それとも、来駕は冗談で告白するの?」

「ヒドイ! 期待させるだけ期待させて飽きたら捨てるの!?」

「あのなぁ……」


 HTMLファイルは平仮名やカタカナ表記は使えない。英語表記じゃなきゃダメでLOVEって名前付けてるのはガチ恋したとか、アイコンを動かしたVtuberに恋愛感情を抱いたとかじゃない。ただ、アイコンを動かしたVtuberの名前heart.htmlだと長いし手打ちするのが面倒だからLOVEって付けてるってだけの話なんだよなぁ……


「私はあれを見た時、来駕は私に恋愛感情を持ってるんだって期待した」

「アタシも」


 Vtuberをやる人間はどこかしら変だって話はよく聞く。変なのは否定しない。実際変だしな。だからアイコン動かしたVtuberの名前LOVE.htmlって名前見ただけで思い込む人がいても不思議じゃないが……2人もいるとは思わなかった


「あれは適当に付けただけなんですけど……」


 こうなるなら適当に名前付けるんじゃなかった……はぁ……










今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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