第56話 増えるトロフィー
翌朝。
無名の倉庫。
床には大量の酒瓶。
食べ終わった串。
肉の骨。
完全に宴会の跡だった。
ワイザは大の字で寝ている。
カリナは椅子から落ちかけていた。
バクトは毛布を腹にだけ乗せて爆睡。
ヒャッポだけは起きていた。
静かに矢を削っている。
そして。
その隣。
ポロンがヒャッポの優勝トロフィーをじーっと見ていた。
「ぴかぴか」
銀色に輝くトロフィー。
朝日を反射している。
ポロンは両手で持ち上げようとした。
「おもい」
よろける。
ヒャッポが支える。
「……だめ」
「ほしい」
「……だめ」
しかし。
ポロンはじーっと見続けた。
そして。
小さな手が光る。
ふわぁっと淡い金色。
ヒャッポが気づく。
「……?」
次の瞬間。
ポロンの手の中に。
小さなトロフィーが出現した。
しかも。
そっくり。
ヒャッポが固まる。
「……」
ポロンは嬉しそう。
「できた!」
その声で。
バクトが目を覚ました。
「んぁ?」
カリナも起きる。
「なにー?」
ワイザもむくっと起きた。
ポロンが得意げに見せる。
「みて!」
全員停止。
「……え?」
バクトが本物を見る。
ポロンのを見る。
本物。
偽物。
本物。
偽物。
「増えてるぅぅぅ!?」
カリナ絶叫。
ワイザが持ち上げる。
「軽い」
ヒャッポが本物を確認する。
ちゃんとある。
つまり。
二個。
バクトが目を細める。
「ポロン」
「うん!」
「もう一回できるか?」
「うん!」
光る。
ポン。
三個目。
「おぉぉぉ!?」
カリナが大興奮。
「すご! すごい!」
ポロンは楽しくなってきた。
「いっぱい!」
ポン。
ポン。
ポン。
どんどん増える。
気づけば。
倉庫の床に大量のトロフィー。
ワイザが積み始めた。
「塔」
「やめろ!」
バクトが止める。
だが遅い。
ガシャーン!!
崩壊。
トロフィー雪崩。
「ぎゃー!」
カリナの頭に直撃。
ポロンは大爆笑。
「きゃははは!」
ヒャッポは頭を抱えていた。
その時。
コンコン。
扉が叩かれる。
全員止まる。
「……やばい」
床一面トロフィー。
バクトが扉を開ける。
そこには。
新聞屋ジェニス。
「おはよー……って」
固まる。
「え?」
倉庫の奥。
トロフィーだらけ。
「え?」
バクトが汗を流す。
「これはな?」
「うん」
「その」
「うん」
「増えた」
「どういうこと!?」
ジェニスが絶叫した。
ポロンは一つ持って走ってくる。
「どうぞ!」
「いやいやいや!!」
受け取る。
本物みたい。
大きさも小さい。
重さは軽い。
ジェニスの顔が引きつる。
「これ売ったら大問題になるやつじゃ……」
バクトたち全員、静かにポロンを見る。
ポロンはニコニコ。
「いっぱいつくれる!」
バクトが真顔になる。
「ポロン」
「うん!」
「これは外で作るな」
「なんで?」
「国が終わる」
「?」
意味は分かっていない。
ヒャッポは自分のトロフィーを抱えて、隅に避難させた。
カリナが笑う。
「ヒャッポ、自分のだけ大事にしてる」
「……優勝したやつ」
「かわいい」
ヒャッポは無視した。
その後。
大量のトロフィーは。
ワイザが溶かして鍋に加工しようとして怒られ。
カリナが飾ろうとして止められ。
最終的に。
全部、異空間収納へ封印された。
バクトは頭を抱える。
「ポロンの能力、やっぱやべぇな……」
ポロン本人は。
トロフィーを帽子みたいに被って寝ていた。




