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異世界子供ヤクザ:無名のバクト  作者: 忍絵 奉公


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52/60

52話 晒し者


 光界!最悪!誘拐犯人はなんと光界!恥知らず!

 バクトは大通りの真ん中で、のぼりを高々と掲げた。

 全裸で数珠繋ぎにされた五人の男たち。

 頭には花。

 しかも今回は、首から札まで下げられている。

「誘拐失敗」

「子供さらい」

「娘返します」

 周囲の野次馬が腹を抱えて笑った。

「おい見ろよ!」

「光界だ!」

「神だ宇宙だ言ってた連中じゃねぇか!」

 賊の一人が真っ赤になって叫ぶ。

「や、やめろ!」

「こんなの信徒様に見られたら――」

「へぇ」

 バクトがニヤリと笑う。

「じゃあもっと人通り多い所いくか」

「やめてください!」

 即座に土下座した。

 ワイザが、ぷっと吹き出す。

「弱っ……」

「神の力どこいった……」

 ヒャッポは無言でロープを引っ張る。

「うぎゃっ!」

 数珠繋ぎなので、先頭が転ぶと全員転ぶ。

 ドミノみたいに倒れていく光界。

 カリナが涙を流して笑っていた。

「だめ……お腹痛い……!」

 その頃。

 光界本部。

 豪華な白い大理石の広間で、ガンダム総帥が優雅に紅茶を飲んでいた。

「最近は布教も順調ですな」

 幹部が微笑む。

「えぇ。東二番街はほぼ制圧――」

 そこへ。

 バン!!

 扉が勢いよく開いた。

「総帥!!大変です!!」

「騒がしいですね」

「誘拐班が……!」

「成功しましたか?」

「全裸で引き回されています!!」

「ぶふっ」

 ガンダム総帥が紅茶を吹いた。

「な、何を言ってるんです?」

「無名です!!」

「また無名です!!」

「……」

 総帥の顔から笑みが消える。

「しかも……」

「のぼりまで……」

「のぼり?」

 幹部が震える声で言った。

「『光界!最悪!』って……」

「……」

 沈黙。

 次の瞬間。

 ガンダム総帥が机を叩き割った。

「無名ぉぉぉぉぉ!!」

 一方その頃。

 バクトたちは五番街中央広場に到着していた。

 人、人、人。

 ものすごい野次馬。

 屋台の親父が笑う。

「祭りかこれ!」

「違うぞ」

 バクトが真顔で答える。

「誘拐犯の啓蒙活動だ」

 周囲がまた爆笑。

 そこへ。

 新聞屋ジェニスが全力疾走でやってきた。

「バクト!!」

「そのまま止まれ!!」

「ん?」

「今撮る!!」

 魔道具写実器で、映しまくるジェニス。

 全裸。

 花。

 のぼり。

 泣きそうな光界。

 完璧な構図だった。

「歴史に残るわこれ……!」

 ジェニスが震えていた。

 センネール親子もやってくる。

 ミユがバクトに抱き着いた。

「ありがとぉ……!」

「おう」

 頭を撫でるバクト。

 その瞬間。

 周囲から拍手が起こった。

「無名!」

「無名!」

「無名!」

 照れくさそうに頭を掻くバクト。

「やめろって……」

 カリナが笑う。

「人気者じゃない」

「面倒くせぇ……」

 ワイザがのぼりを見て言う。

「これ売れるかも」

「売れねぇよ!」

 ヒャッポだけは無言で、光界の連中を睨んでいた。

 その目を見た誘拐犯たちは、震え上がる。

「もうやりません……」

「神に誓います……」

 ヒャッポ。

 無言。

 さらに怖い。

 その日の夕刊。

『光界、誘拐失敗』

『無名、またしても大暴れ』

『全裸生け花事件、再び』

 王都中が大爆笑だった。



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