第49話 橋の上の手紙
受け渡し当日。
空は曇り。
4番街、大村橋。
センネールは震える手で、袋を抱えていた。
中身は偽金貨100枚。
ポロン製。
ぱっと見だけは、本物だった。
「だ、大丈夫か……」
汗が止まらない。
橋の上には、ちらほら人通りがある。
商人。
老婆。
犬を連れた男。
どいつも犯人に見える。
しかし、誰も近づいてこない。
そのまま通り過ぎていく。
橋の端。
右側にはワイザ。
壁みたいに立っている。
左側にはヒャッポ。
無言。
弓を背負ったまま。
橋の下。
柱の影にはカリナ。
さらに離れた川の上。
小舟に乗るバクト。
ゆっくり櫂を漕ぎながら、橋全体を見ていた。
「……来ねぇな」
もうすぐ正午。
その時だった。
橋の向こう側から、一人の男が歩いてくる。
センネールは身構えた。
(あいつか……!?)
しかし。
その男は普通に横を通り過ぎていく。
拍子抜けした瞬間だった。
「……ん?」
センネールが足元を見る。
手紙。
いつの間にか落ちていた。
「こんなの……来た時はなかったぞ?」
慌てて拾う。
開く。
そこには短く書かれていた。
『娘の件。5番街大広間に行け。そこで金をもらう』
「なっ……!」
センネールの顔色が変わる。
「娘が……!」
そのまま全力で走り出した。
「お、おい!」
橋の下から見ていたカリナが目を見開く。
川の上のバクトも異変に気づいた。
「なんだ?」
センネールは5番街方向へ全力疾走。
ヒャッポが鋭く目を細める。
センネールの手から、風で手紙が落ちた。
ヒャッポ。
無言で拾う。
読む。
その瞬間。
顔色が変わった。
「……!」
即座に走り出す。
「おい!?」
ワイザも異変に気づく。
ヒャッポが落とした手紙を拾った。
読む。
「うおっ!?」
そのまま走り出す。
カリナが橋の下から上がってきた。
「なによ!?」
ワイザは返事もせず、手紙を投げる。
カリナ。
空中でキャッチ。
読む。
「えっ!?」
血相を変えて走り出した。
「ちょっと待ちなさいよ!」
今度はバクトへ向けて、手紙を落とす。
バクトは小舟から飛び降りた。
川辺へ着地。
走りながら手紙を拾う。
読みながら走る。
そこにはこう書かれていた。
『娘は5番街大広間にいる』
『だが一人で来い』
『無名を連れて来たら娘を殺す』
「……は?」
バクトの顔から笑みが消えた。
「最初から俺たちに気づいてやがったのか?」
走る。
全力。
5番街方向へ。
その頃。
5番街大広間。
そこには――。




