第31話 バクト式拷問術
無名の倉庫。
裏庭。
朝。
「……う」
男が目を覚ます。
動けない。
「は?」
首だけ。
地上。
身体は埋まっていた。
「なっ!?」
横を見る。
仲間も同じ。
三人。
綺麗に埋められていた。
「おはよう! 諸君!」
元気な声。
バクト。
笑顔。
だが。
持っている物がおかしい。
木箱。
上下に穴。
「……なんだそれ」
男が青ざめる。
カリナは少し離れて座っていた。
ポロンは寝ている。
ワイザは朝飯を食っている。
ヒャッポは怖い顔で無言。
日常みたいな空気。
なのに。
埋められている。
「さて」
バクトがしゃがむ。
「誰の指図だ?」
「……」
「……」
「……」
三人とも黙る。
ヤクザ。
簡単には吐かない。
「んー」
バクトが頷く。
「答えないのか」
ニコッ。
「怖いぞー?」
その笑顔が怖い。
男の一人が叫ぶ。
「ガキが……!」
「なめんな!」
「お?」
バクトが笑う。
「元気だな」
そして。
木箱。
男の頭へ被せた。
「な、なんだ!?」
「まずは」
バクトが小箱を取り出す。
「バクト式拷問術」
カリナが吹き出す。
「名前ついてるんだ」
「ゴキブリ地獄」
「は?」
パカッ。
小箱を開ける。
ポンポン。
振る。
すると。
カサカサカサッ!!
「ぎゃあああ!!」
ゴキブリ。
大量。
男の頭へ落ちる。
「いやぁぁ!!」
首を振りまくる。
だが逃げられない。
木箱の中。
狭い。
暗い。
ゴキブリは元気いっぱい。
顔。
耳。
首。
這い回る。
「ぎゃぁぁぁ!!」
「やめろぉ!!」
周囲へ絶叫が響く。
ワイザが呟く。
「俺これ嫌だ」
「わかる」
カリナも引いていた。
ヒャッポだけ無表情。
バクトは楽しそうだった。
「はい次の問題です!」
教師みたいな口調。
「さて」
「あなた達の雇い主は誰でしょう?」
チクタクチクタク……
口で時計音。
「……っ」
男は耐える。
涙目。
だが黙秘。
バクトが残念そうに首を振る。
「ブブー!」
「不正解!」
そして。
また小箱。
「次はムカデ地獄です」
「は?」
「こいつ毒あります」
男の顔色が消える。
「でも致死量じゃありません」
「ちょっと痛いだけ」
「やめろぉぉ!!」
パカッ。
落ちる。
ドサッ。
20センチ級。
やや大ムカデ。
「ぎゃああああ!!」
大絶叫。
ムカデが動く。
ワサワサワサ……
大量の足。
顔を這う。
耳へ。
首へ。
「いやだぁぁ!!」
男は半狂乱。
そして。
カプッ。
「あっ」
唇。
噛まれた。
一瞬静かになる。
「……」
「……」
バクトが首を傾げる。
「気絶した」
男。
鼻水。
涙。
よだれ。
全部垂れ流して失神していた。
「根性ないな」
バクトが箱を外す。
ゴキブリ回収。
ムカデ回収。
慣れていた。
残る二人。
顔面蒼白。
「……」
「……」
震えている。
完全に恐怖していた。
カリナが苦笑する。
「……バクト」
「ん?」
「それどこで捕まえたの?」
「裏路地」
「行動力がおかしい」
バクトは残り二人を見る。
ニコッ。
「さて」
「次いこうか」
二人が同時に叫んだ。
「チェリーパイ!!」
「チェリーパイです!!」
「キャンドルの指示です!!」
即落ちだった。




