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異世界子供ヤクザ:無名のバクト  作者: 忍絵 奉公


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第20話 いかさま賭場


 夜。

 西五番街。

 極楽連合の賭場。

 2階。

 今日も騒がしかった。

「張ったァ!」

「六来い!!」

「全部乗せだ!!」

 煙。

 酒。

 熱気。

 ディーラーが茶碗を振る。

 その時。

 ドンッ!!

 入口が蹴り開けられた。

 全員が振り向く。

「誰だ!?」

 そこに立っていたのは。

 バクト。

 カリナ。

 ワイザ。

 ヒャッポ。

 無名の四人だった。

 バクトが叫ぶ。

「誰のシマで賭場開いてんだァ!!」

 静寂。

 一秒後。

「あぁ?」

 極楽の組員が立ち上がる。

「ここは極楽のシマだ」

「文句あんのか?」

「あぁ!」

 空気が変わる。

 客たちがざわついた。

「おい……」

「無名だ」

「最近噂の」

 極楽側も顔色を変える。

 だが引けない。

「出入りか?」

「やんのかガキ」

 バクトは笑っていた。

 懐には。

 細工サイコロ。

 六しか出ないサイコロ。

 一しか出ないサイコロ。

 四つ忍ばせていた。

 本当は。

 いかさま対決をやるつもりだった。

 賭場で勝って。

 極楽の顔を潰す。

 その予定だった。

 だが。

 極楽の顔を見ていたら。

 なんか腹が立ってきた。

 そして。

 急に面倒になった。

「……あーもういいや」

「?」

 次の瞬間。

 ドゴォッ!!

 バクトがテーブルを蹴り上げた。

 サイコロ。

 札。

 酒。

 全部吹っ飛ぶ。

「なっ!?」

「てめぇ!!」

 客たちは即逃げた。

「うわぁぁ!!」

「巻き込まれる!!」

 一瞬で空になる賭場。

 残るのは極楽だけ。

「……」

 ワイザが倒れたテーブルを持ち上げた。

 片手。

「おお」

 巨大な盾みたいになる。

 そのまま。

 グイィッ!!

「うおっ!?」

 極楽組員を押し始めた。

「な、なんだこいつ!?」

「力強すぎる!!」

 ズルズル押される。

 後ろには窓。

 二階。

「やめっ!」

「やめろぉ!!」

 バリンッ!!

 窓ガラスが砕ける。

「ぎゃあああ!!」

 そのまま組員が外へ押し出された。

 二階から落下。

 ドシャァ!!

「……」

 静寂。

「てめぇ!!」

 残り三人。

 刃物を抜く。

 その瞬間。

 ヒュン。

「ぐっ!?」

 ヒャッポの矢。

 太腿へ刺さる。

「うあぁ!!」

 男が転倒。

 さらに。

「遅い」

 カリナが動いていた。

 サイコロ茶碗を拾う。

 そして。

 背後へ回る。

 速い。

「え?」

 ゴッ!!

「ぶべっ!?」

 茶碗が頭へ直撃。

 組員昏倒。

 残る一人。

「……」

 男は固まっていた。

 目の前。

 ワイザ。

 横。

 ヒャッポ。

 後ろ。

 カリナ。

 そして前。

 バクト。

 囲まれている。

 完全に。

「……っ」

 じり。

 四人が近づく。

 男の顔が青くなる。

「く、来るな……!」

 その時。

 バクトが竹光へ手を置いた。

 スッ。

 構える。

 男の顔が引きつる。

(居合……!?)

 噂は聞いていた。

 無言竜会長お気に入り。

 居合使いのガキ。

 次の瞬間。

 シュッ!!

「ひっ!?」

 バクトが踏み込む。

 竹光が走る。

 そして。

 ピタ。

 首元で止まった。

 一瞬だった。

 男の顔から血の気が消える。

 ポタ。

「……あ」

 小便。

 漏れた。

 腰も抜ける。

 ドサッ。

「ひぃぃ……」

 バクトは竹光を肩へ乗せた。

「この賭場」

 ニヤリ。

「いかさましてんだろ?」

 男は震えていた。

 もう否定できなかった。

 無名。

 橋の下のガキども。

 だが今。

 極楽連合の賭場は。

 完全に潰されていた。



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