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探偵事務所 カタギリの朝《1》 片桐 響也 《かたぎり きょうや》 (26)

ある街の隅にぽつんと建っている、探偵事務所。

 ありとあらゆる、それっぽい置物が点在しており、それらが雰囲気を醸し出す。その部屋のど真ん中に置かれた、縦長の机に乗っている男が一人。


「あはよう!助手くん!」


 一人の娘がそれを見上げる。

 

 「はいっ おはようございますっ」

 

 「それでは早速!先週の活動報告から!」 


 「はいっ 依頼件数ゼロでしたっ」


 「ふむ! 先々週となんら変わりなしか!」


 「はいっ 何ら変わりなしです」


 「平和な日常を過ごせていると言うことだな!」


 「はいっ  あっ でも、一つだけ良いですか?」


 「おう!なんだいってみろ!」


 「お客様が来ました。」 


 「!? まじでか?」


 「まじです」


 「よし! 丁重にもてなせ!丁重にだ!」


 「はいっ」


 来客用のソファーに座らせ、自分達は窓際の探偵椅子に座る。本来一人用のそれは魔改造により、横に引き伸ばされ、二人用になっていた。


「あのぉ 実は迷い猫を探して欲しくてぇ..」

 

 お客様は魔女の様な湿っぽいオーラを出し、オドオドとしながら用件を伝える。垂れ目で顔の血色は悪い。時々、目の前に出されたお茶を慎重に口に運んでいた。


 「捜索依頼ですね!お任せあれ!さぁ助手くん出かける支度をしろ!」


 「はいっ でも、先に特徴だけでも聞いてからの方がいいかとっ」


 「確かに! お客人!」


「は、はい えぇと黒色で、あと...」


 「なるほど!黒か!では暫し待たれよ お客人! 行くぞ助手くん!」


 「はいっ レッツゴーですっ」


 「....えぇと...大丈夫なのでしょうか」


 

 だが、そんな心配は杞憂に終わった。ものの数分で、黒猫片手に帰ってきたのだ。


「え!? もうみつかったんですか!」

 

「えぇ! すんなり捕まりましてね!」


「そ、そうじゃなくて こんなすぐになんて」


「実はこの近くに、猫が何故か集まってくる所があってですね、よくそこの清掃に行ってて、さっきいつもは居ない黒猫ちゃん連れてきただけってことです」


 隣の女の子が耳打ちしてくれる。

ーー清掃するから、猫が集まるんじゃ?


「と、とにかくありがとうございます。あ、あのこちら依頼料で....」


「いえ!貰えません!あの場所を作ったから、お客人の猫様が迷い猫様になったのかもしれませんし!」


「...えぇと、なら時々その場所の清掃を手伝ってもいいですか? 私、猫 好きなので」


「そう言うことならっ 毎週水曜日と日曜日の朝やってるんでっ 是非ここに来てくださいっ 私も猫好きで気が合いそうですね」


「あ、ありがとうございます」


 不登校の彼女にも猫以外の友達が出来た。



彼女らは二人ともスコティッシュフォールド推しだそうです。


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