↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄上等~悪役令嬢は聖女の力に目覚めました~  作者: ドネルケバブ佐藤


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/13

4話

17時、19時に投稿します

町外れの小さな森へと足を運び、人目のない場所で、私は改めて自分の力と向き合うことにした。


掌を前に掲げ、意識を集中させる。すると、あの日と同じように、金色の光が指先に灯った。


「……癒しは、確かに使える」


昨日、衛兵の足を癒したことを思い出す。ならば、他には何ができるのか。


私は近くに転がっていた枯れ枝に向かって、光を放ってみた。すると枝は淡く輝き、まるで芽吹くように、小さな新芽が生え始めた。


「これは……生命力を高める力、ということかしら」


癒しと、生育。あの日、ダイアウルフを弾き飛ばした力は、防御と浄化に近いものだったのだろう。試しに、目の前の空間に薄い光の膜を張ってみる。以前ほど強くはないが、確かに手応えがあった。


――思ったよりも、多くのことができるかもしれない。


夢中になって力を試すうち、いつのまにか日が傾いていた。額には汗が滲み、体には心地よい疲労感がある。


「今日はこのくらいにしておこう」


森を出ようとしたその時、木々の向こうから、複数の足音と、荒々しい声が聞こえてきた。


「――おい、あっちに逃げたぞ!」


「追え! 逃がすな!」


何やら物騒な気配。私は咄嗟に、近くの木の陰に身を隠した。


やがて、茂みを掻き分けて姿を現したのは、ぼろぼろの外套を纏った、まだ幼さの残る少年だった。腕には、痛々しいほど深い傷。背後からは、剣を手にした荒くれ者らしき男たちが、三人ほど追いかけてきている。


「捕まえたら、高く売れるぞ!」


「聖属性持ちなんて、滅多にいないからな!」


その言葉に、私は思わず息を呑んだ。


――聖属性を持つ子ども。


もしかすると、この少年もまた、私と似たような力を宿しているのかもしれない。そして、それを利用しようとする者たちに追われている。


少年は森の奥へ逃げようとして、木の根に足を取られ、無様に転んでしまった。


「くそ……!」


男たちが、勝ち誇ったような笑みを浮かべながら距離を詰める。少年は傷ついた腕を庇いながら、それでも必死に後ずさっていた。


その光景に、あの夜会での自分の姿が、重なって見えた。


理不尽に追い詰められ、逃げ場を失う者。


――見過ごせるはずがない。


私は木陰から一歩、前に踏み出した。


「そこまでになさい」


凛とした声が、森の中に響き渡る。男たちが、驚いたようにこちらを振り向いた。


「なんだ、お前は」


「関係のない女は引っ込んでな」


下卑た笑いを浮かべる男たちに向かって、私は静かに掌を掲げた。


指先に、金色の光が灯る。


「関係なくは、ありません。少なくとも今この瞬間からは」


男たちの顔から、一瞬にして笑みが消えた。


――この続きは、また次でお話ししましょう。


よければ評価、感想、ブックマークお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。