第2話 イアンとオレ
オレとイアンの仲は、長い。
ともに親無しで、サントス神殿の孤児院で育った。
十五歳までは、教育してくれておいてくれるんだ。
ここでも、イアンは目立ってた。
金色の髪と印象的な青い瞳。
女の子が放っておくわけがない。
イアンの周りには、いつも人がいた。
オレとは、大違いだった。
オレは、体が弱くて小さかった。
いつも、巫女に嫌な顔をされて世話を受けていた。
だから、孤児院時代には、イアンとはあまり親しくなかった。
腹立つのが
(お前なんか、いたっけ?)
の台詞を聞いたときだよ。
初めて、やつにグーパンした。
十歳のときに、オレはイアンといっしょにある魔法使いに引き取られる。
ジャン・ヴァルーー
初老に差し掛かった彼は、はぐれ魔法使いだった。
そして、弟子を探していた。
本当は、はぐれ魔法使いに弟子なんて、いけないことだ。
でもジャンは、魔法棟で学んでいたが、問題を起こして、追放になったのだ。力を上手く隠してたらしく、封印されずに放逐された。
以来、町で魔法屋を開業してきたが、そろそろ内弟子が欲しくなったらしい。
そこで見つけたイアンとオレ。
イアンは、わかる。
小さい頃から、魔法の才能に溢れていた。精霊に好かれている。
ーーでもオレは、
はっきりいって、自分ではなにもできないと思っていた。
精霊も見えない。
古代レトア語も初等並みだ。
それでも、ジャンはオレのことを決して見捨てなかった。
彼のところで暮らすこと十年。
オレは、水の精霊と契約することができた。
ジャンは、オレにそれ以上魔法の修行は進めてこなかった。
代わりに、神殿の治療士の仕事を紹介してくれた。
イアンには、もっと厳しい訓練が待っていたが、あいつは、難なくやり遂げた。
そして、ジャンは、これから東方で暮らすと言ってサントスを去る。
そのときに、イアンにヴァル姓も与えてるんだな。




