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2状況

「チッ。誰だ?」

「俺はデストロイ。破壊神だ」

 時が止まっていた。なら、こいつは、ホントに破壊神なのか。

 皆無はあっさり信じた。疑う必要がなかった。それに、皆無を見つめる瞳が酷く悲しそうだったから。

「どこまでを破壊できて、どんな風に創造ができる?」

「この世界全部だ。例えば、地球を元気に自然に溢れ返させることなどできる」

「・・・。まあ、嘘だったら死ねばいいか。で、何で、俺の邪魔をした?」

「君は、自分に嘘が吐けない。君の人生は酷く辛かったろう。だから、君に祝福を与えることにした。それに、俺の力を正しく君なら使えると思った」

 ああ、そうか。こいつは、神だもんな。俺の全てを知っていても不思議ではないか。

「そうか。でも、それじゃあ、また、きっと、同じことの繰り返しになる。それでは、意味がない。新たな価値観を与えないと」

 破壊神、デストロイは思わず黙ってしまった。皆無の状況を理解する早さもそうだが、堂々と深く思考していることにだ。

「いるんだろう?他にも神が。俺にだけに現れるなんて、そんなおめでたい考えなんてしてないさ」

「フン。面白くない。だが、それでこそ、俺が目を付けた甲斐もある」

「俺がこの世界に復讐できるなら俺は生きてやるさ。だから、教えろ。他にどんな、神が現れる?」

「破壊、創造とは結局は絶望だ。なら、絶望の対極の神が現れるに決まってる。希望神、ホープが現れる」

「対局、か。つまり、俺とは対極の人間に希望神とやらはついているわけだな」

「当たりだ。君は聡いな」

「俺が望む未来を作るにはその希望神の力が必要になって来るわけか?」

「ああ。希望神は君の望むところの新しい価値観を誕生させるために必要となる。君は、希望神がついた人を説得しなければいけない。頑張るんだよ」

「頑張る、か。そうだな。この件に対して頑張ることは悪くないかもしれない」

「俺は君の全てを知っている。応援してるよ。希望神、ホープが気に掛けた子を救ってあげて欲しい」

「どういうことだ?」

「来るよ」

 目の前に二人の女性が現れた。一人はデストロイと同じように薄くぼやけていて、胸は大きく顔は美人な感じで身長はおそらく、普通の大人の女子ぐらい。そして、もう一人は女子高校生だ。制服を着ていてスカートは短く綺麗な脚をしていて、上のセーラー服は長袖だったが、両腕とも袖を捲っていた。左手と右手にリストバンドをしていて茶髪のロングだった。そして、顔にはファンデーションをとても塗っているなど、とにかく化粧が濃かった。だが、おそらく、化粧無しでも可愛らしい顔立ちをしているのだろうと、大きなクリッとした瞳を見ると感じられた。だが、体は濡れていて顎から水が滴り落ちていて、若干、化粧が落ちて来ていた。

 なるほど。俺が説得する方向性は分かった。

「ダメッ!」

 少女は薬が大量に入ったコップを腕を伸ばして倒して中身を零した。その時、リストバンドにコップが当たり、一瞬顔を顰めさせていた。

「大丈夫。俺は、今は死ぬ気を失くしてるから」

 少女は皆無の顔をマジマジと見た。真偽を確かめているのだろう。やがて、睨め付ける目つきを止めた。

「私は、希望。君は?」

「皆無。そこにいるのが、希望神だね?」

 皆無を希望神のホープの顔を見た。彼女は皆無をとても悲しそうに見ていた。それは、破壊神、デストロイに視線を向けた時も同様だった。

 そうか。デストロイも俺と同類。なら、希望とホープはどっちだ?

「うん。ホープだよ。それじゃあ、皆無君、話をしようか」

「・・・話をしたら、きっと希望は希望を失うよ」




 雨が激しくなって来た。雷もゴロゴロとなって声をかなり張り上げないと聞こえないぐらいになった。希望と皆無は隣に座って話すことにした。机を挟んで向かい側の椅子にデストロイとホープは座っていた。

「じゃあ、まず、聞くよ。希望、何で濡れてるの?」

「っ⁉」

 希望は息を呑んだ。そして、一瞬だけ動揺した。皆無は敢えてそれを気付いていないふりをした。希望はすぐに取り繕った。

「私のことより、皆無君のことだよっ!」

 皆無はマスクで隠れた顔で口角を少し上げた。確信したからだ。

 やっぱり。

「ねえ、どうして、死のうとしたの?」

「うーん。この社会で生きることに疲れたからだ」

「疲れた?」

「希望は今の社会をどう見てる?」

「ちゃんと、頑張った人には良い将来が回って来るようになってる社会」

 皆無は思わず、鼻で笑った。

「じゃあ、ちゃんと、頑張るための環境はどう提供されてる?そして、ちゃんと頑張ったとして果たしていい結果がホントについて来ると思うかい?」

「そっ、それは・・・」

「じゃあ、この社会では悪いことをした人には平等に罰を与えられているとホントに思うかい?」

「そっ、それは・・・」

「こういうことは上げればいくらでもある。それでも、君はこの社会で生きたいか?」

「だったら、外国に行けばいいじゃん」

「外国に行けば社会が変わるから俺の望む社会があると?笑わせる。そこに行っても同じことだ。寧ろ、海外の方がはっきりと厳しいこともある。それに、俺は、この競争社会で生きるのはもう、疲れている。希望はこの競争社会で生きるのに疲れていないのか?」

「私は、そりゃ、疲れてる。でも、・・・でも、死にたいと思うほど疲れてない。ねえ、皆無君が死のうと思った理由を全部、教えて」

 希望は一度大きく深呼吸をしてから答えた。

「構わん。デストロイ、ホープ。俺の過去を見せられるか?」

「できる」「できるわ」

「そうか。なら見せてくれ。俺もちゃんと今の気持ちのオリジンを確かめたい」


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