ブラック様光臨
ご覧いただきありがとうございます。
普段は菩薩のような心の広さを持つ母様ですが、さすがに腹に据えかねていたようです。
──そして、その瞬間は突然訪れました。
母「週末はおでんにしようと思うの」
私「いいですけど、ちょっと気が早くないですか? 週が始──っ」
始まったばかりでしょう。と最後まで言えませんでした。なぜなら……
母「………………ふふ……」
ブラック ナ カアサマ ガ コウリン シタ
ひいぃぃぃいいっ!
危険度MAX!
危険度MAX!
脳内に「触るな危険!」が駆けめぐります。
犯人はあれですか!? 発注ですか!?
9月が終わったのに、まだアレな数が……
視線だけでカレンダーを確認します。
……そういえば、今週も連休でした……
ほぼ確定です。
予定外のミスが発生していない限り、犯人は〝発注の数〟です。
母「…………ねぇ。……ありえないわよねぇ……」
つぶ、呟いていらっしゃるー!
何とかしておっとりな母様に戻っていただかないと……!
えぇと、何の話をしてましたっけ!?
……そう、おでん! おでんの話をしてたんでした!
私「か、母様? 我が家の定番にプラスするのは、な、何がいいですかね?」
あっ、ちょっと噛んでしまいました。
母「ママはね、がんもどきを入れようと思うの」
私「あ、美味しいですよねぇぇ……」
気づかない母様、グッジョブ! 私はなぜか語尾が震えます。
母「まるちゃん♪ まるちゃんもどき♪ がんもどき♪」
母様が壊れたーっ!!
すっごくイイ笑顔で「語呂が良いわね♪」とかおっしゃってるんですけど!?
「まるちゃんもどき」って何ですか!?
私っぽいけど、私じゃないものって何ですか!?
よくわからないし、疲れてきました。
こうなったら……!
『ホットミ~ル~ク~!』(ひ○つ道具的な)
私「あの……母様、温かいのどうですか?」
母「ありがとう」
すばやく用意して母様が飲んでいる間に、布団を敷いて……よし、オッケー!
母様をうたた寝へと誘い、間もなく聞こえてきた「すぴー」に息を深く吐きました。
……何事もなく、週末が迎えられますように。
え? 私も気が早いですか?
……切実ですから……