かわいいのがお好き
ご覧いただきありがとうございます。
母様は、私の(可愛らしい)くしゃみの音がお好みのようです。
私「──ぷしっ」
母「猫さんみたいねぇ。可愛いわ」
私「……ありがとうございます」
ティッシュで鼻と口を覆いながら、ふがふがとお礼を言う私。
くしゃみとは本来、異物を体から追い出すための反射的自衛行動です。なので、毎度、猫みたいなくしゃみが出る訳ではありません。時には──
私「えっ──」
──はい、息止めて!
ティッシュティッシュティッシュティッシュ!
動け! 仕事しろ、右手!
早く! 息続かないから!
出ちゃうから!
──はい、つかんだ! 取り出せた!
……息、やばい、早くティッシュを当て──(この間、約5秒)
私「──ぶしっ」
危機一髪です。くしゃみを撒き散らさずに済みました。ティッシュが間に合い、さらに息ができるようになり、安堵の息をつく私。
──ということもあります。
その時の母様の反応は。
母「ねぇ、まるちゃん」
私「はい?」
母「ママ、猫さんのほうが好きだわ」
要するに、このくしゃみは可愛くないと言っておられます。
私「……今の状況では、無理ですね」
母「でも、くしゃみを一端止めるのはできるでしょ?」
私「撒くのはイヤですから」
母「その後、いつもみたいに『ぷしっ』ってできないの?」
私「……そういうコントロールはムリですわぁ」
母「最後のを変えるだけよ?」
私「私の『えっ』と『ぶしっ』は、切っても切り離せない関係となっております」
母「ママは『ぷしっ』が良いの」
私「『良いの』と言われましても、息を止めておくのが精一杯なので」
母「確かに苦しそうだけど……」
私「息を吸い込んでから止めるわけではないですから。その場で突然止めないといけないので、ティッシュを当てるまで数秒の地獄ですよ、ある意味。他のことを考えてる余裕はありません」
母「……そうなの」
私の真剣な顔に、しぶしぶ引きさがる母様。
しょっちゅう出るくしゃみのうち、8割が「ぷしっ」なのですから、妥協していただきたいものです。




