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うちの母様 ~天然街道爆走中~  作者: まるーにゃ


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19/21

深まる謎

ご覧いただきありがとうございます。


 大雪により急に冷えこみ、夕方からコタツムリになっていました。



母「寒そうね」

私「体温が上がってこないんですよ」


 部屋は暖かいんですけどね。

 一回体温が下がると、なかなか戻らないので、動きが鈍くなります。変温動物ではないはずなんですが。

 この日はホッカイロもあまり効かず、申し訳程度のストレッチはまったく意味がありません。

 見かねた母様が、羽毛布団を持ってきてくれました。


母「これを掛けたらどうかしら」

私「お手数をおかけします」


 若干震えている私に「早く掛けてあげなきゃ」と思ったらしく、慌てた母様の拳が、なぜか見事に顎へヒットしました。


私「ぐふっ」

母「ごめっ、ごめ──ぶふっ」

私「笑ってるじゃないですか。すっごくイイ角度のアッパーカットでしたけど」

母「だって、まるちゃんがそんなところに顔を置いとくからよ」


 理不尽です。


私「どこに置けと? (この)辺りとか?」

母「や、やめてえぇ」


 何かのツボに入ったらしく、ひとしきり笑った後。


母「──はーっ、あっつい!」

私「…………」


 何でしょう、この本末転倒感。


母「ごめんね。今度はちゃんと掛けるから」

私「いえ、自分で──」


 掛けますから──という言葉は、再び入った母様の拳に遮られました。


私「へぶっ」

母「…………ぶふっ」

私「……わざとですか?」

母「ちっ、違うもん! まるちゃんの顔が──」

私「首の上(ここ)にしか置けませんから」


 ちょっと舌を噛みましたよ。寒い上に、痛くて痛い。腕をさするべきか、顎をさするべきか、はたまた舌を確認するべきか悩みます。考えていると、いつの間にか思考があらぬ方向へと進んでいました。


 ──女子校出身で、護身術は習ったことがなく(本人談)、俗語もほぼ知らない(実証済)母様が、なぜアッパーカットをベストな角度で入れられたのでしょうか。しかも、2度も。ちなみに〝アッパーカット〟は、私たちが使っているのを聞いて覚えたそうです。

 周囲の証言によれば昔から品行方正だったそうなので、若い頃ヤンチャしていたという説は消えます。

 しかし念のため、意外な一面が見られるかもと、試しに「ああん?」と(ガラが悪そうに)言ってみて欲しいとお願いしたところ。


「あぁん?」


 ……なぜ、色っぽくなるんでしょうか。

 ある意味想定内というか、予想外というか……。

 いやぁ、まさか、我が家にフジコちゃんがいたとは……ははは。


 ──現実逃避はここまでにして。

 〝昔とった杵柄〟でないとすると、動作に関して考えられるのは、運動能力なんですが……そういえば、学生時代はバスケ部のスタメンだったと聞いた記憶があります。いまだに反射神経が良いので、やったことのないものでも、神経回路が何らかの働きをしてベストな動きになるとか……いやいや、まさか。


 思案している間に母様が頭から羽毛布団を掛けてくれたらしく、気づいた時にはいませんでした。その後、父が通りかかり、「ん? 姫だるまか。じゃあこれをやろう」と飴をひとつくれました。



 お礼を言っているうちにうやむやになり、最強の呪文「母様だから」を唱えて、とりあえず今回は納得することにしました。


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