待ちきれない
ご覧いただきありがとうございます。
以前、情報番組で取り上げられた〝にんにくみじん切り器〟に一目惚れをした母様。長いこと思案していましたが、ついに決心したようです。
母「買うことにしたの」
私「わかりました」
インターネットの画面を開き、母様に確認を取りつつ注文を確定しました。1週間前後で発送するとのこと。
母「楽しみだわ~」
私「そうですね」
──翌日──
母「早く来ないかしら」
私「頼んだばかりですから」
少々お待ちください。と店員さんのようなことを言い、母様をなだめました。
──数日後──
母「まだかな♪ まだかな♪」
私「もう少ししたら、発送メールが来ると思いますよ」
待ち遠しいのはわかりますが、恋人を待つような顔はやめていただけると助かります。無機物相手にも焼きもちを焼く人がいるので。
──さらに数日後──
ついに届きました。仕事から帰った母様は、早速見たいようです。
母「まるちゃん、開けて♪」
疲れて動けないんですね。声だけは辛うじて小躍りしていますが。
パッケージを開けて実物を見せると、母様の目が輝いています。ただ……
私「あの、今日の献立ではにんにくを使わないので、お試しは後日になりますが……」
母「……ママ、もう動けない……」
そこまで!?
何ヵ月も待ち望んでようやく手元に来た品物ですから、ショックなのもわかりますが。
とりあえず、洗って乾かしてからという話におちつき、器具は洗いカゴへドナドナされました。
その後、寝る前の整頓の際、乾ききらない器具を手に取り「はふ……」とため息をつく母様。ローラーを机の上で転がす後ろ姿は、大変可愛らしかったのですが……
甥っ子(乳児)が「お家に帰るよ」と声を掛けられた時の、名残惜しそうにチョロQを前後に動かす姿とそっくりでした。




