なかなか出てこない
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少しずつ秋らしくなり、暑さが和らいでほっとしたのもつかの間、夏の疲れが一気にきたらしく、母様との会話に代名詞が増えました。
母「まるちゃん、あれ知ってる?」
私「どれですか?」
母「こういうの」
何かを持って、腕を前後に……
私「コロコロ(クリーナー)ですか?」
母「ううん」
違ったようです。
母様が別のヒントを考えています。
母「こういう風にできるの」
蛇行しますね。そして持ち方は変わらない。
私「こう持って、こう……」
自分でもジェスチャーをしてみます。
うーん……わかりません。
『説明している物の名称を答えなさい。ヒントは徐々に増えていきます』
クイズにしたら、こんな感じでしょうか。
母「ここに、こういう刃がついてて」
私「刃?」
母「だからね、ここに──」
私「あ、すいません。聞き返したんじゃないです」
横に刃のついた……前後に動かせる……
私「ピザカッターですか?」
母「似てるけど……ブッブー」
腕を使って〝X〟を表します。
孫ができてから、母様の仕草が一層可愛らしくなりました。
ちょっと楽しくなってきたんですね。
母「切るのは布よ」
私「布……?」
──あっ!
私「わかりました!」
母「ほんと!?」
私「でも、名前が出てこないです」
母「あら~」
私「すいません」
ふたりで晴れやかな顔になったり、ガッカリしたり、忙しいことです。
とりあえず、その場は〝布を切るコロコロ〟におちつきました。
後ほど調べたら〝ロータリーカッター〟という名称でした。
母様にも伝え、ようやくすっきりした夜のひとときです。




