天敵
シャリアはハナにとって手強い存在だった
最初からハナと意見がぶつかった
ハナは砂を掘り、石を仕分ける作業を重労働だと思った
手伝ってもらう者にはほんの少しでも謝礼を払うつもりでいた
例の砂金で
シャリアはそれには反対だった
温石が植物の育成を邪魔していると確かめるにはかなり広い範囲を調べなければならない
そして温石が悪さをしているのを突き止めたとしても、それが即緑地化に繋がるわけではない
道は長い
途中で必ず資金が尽きる
そうなった時、今まで報酬をもらってやっていたことを無報酬で続けられるとは思わないと
花嫁様の役に立てる、この地に緑を増やせるかもしれないという気持ちだけで人は動くと言うのだ
有志を募り、負担がかからないように朝のほんの一時間、交代で協力してもらえばいいのだと
事実、砂漠に埋める網作りは女達が無償で手伝ってくれているではないかと
これにはハナも納得せざるを得なかった
そしてもう一つ
ハナは温石のはなしをカエンにするなら、ある程度のことがわかってからと考えていた
それでなくてもカエンに上がってくる報告は多すぎる
こんな思いつきの段階で報告するのはカエンを煩わせるだけだと
これにもシャリアは異を唱えた
「王はどんな些細なことにも私達に報告させます」
「王はあらゆる情報を集め全体像を把握なさりたい方なのです」
「その上でバランスを取りながら進むべき道をお決めになるのです」
「これがダメだったらがっかりさせるなどの気づかいは無用です」
「冷静な方ですからあくまでも可能性であることはしっかり理解なさいます」
「王には温石を調べることをご報告するべきです」
これもシャリアに従うしかなかった
もちろんシャリアのいうことに理があると思ってのことだったが、同時にハナにはシャリアの秘密を無理やり聞き出してしまったような罪悪感があり、強く出れないところもあった
カエンに温石のことを調べることを報告した結果、シャリアには正式にハナを手伝う許可が下りた
シャリアは頼りになる存在ではあったが、正直思い立ったらすぐ実行したいハナにとって、綿密に計画を立ててからでないと物事を始めないシャリアが煩わしく感じる時がある
それに…王に温石のことを調べていることを報告してしまったから、早く結果を出したい気持ちが強くなってしまった…
そして何よりハナはシャリアが二言目には
「王はあなた様のそういうところがお好きなのですね」と言うのがたまらなく嫌だった
最初はああ、事情を知らない人にはそう見えるのかと曖昧に微笑んでいたが、ある日温石調べの主導権をシャリアに握られてしまった事への苛立ちと重なって感情が抑えきれなくなった
「シャリアさん、どうぞもうそうおっしゃるのはやめて下さい」
「私はそう言われる度に心が苦しくなるのです」
「理由はお聞きにならないで下さい」




