はにゃ
ハナは無駄なことをしている気がして仕方なかった
砂漠の砂に根付く植物を朱国で探すことが
王は朱国の植物の力強さを信じているのかもしれないが、もし朱国の植物に力があるとしてもそれはこの土地にあってこそ発揮できる力ではないだろうか
植物と土には相性というものがある
事実ひとつもこの砂に根付く植物を見つけられずにいた
朱国にも砂地に根を張る草がある
それも試したがダメだった
何かこの砂は植物を拒否しているのではないかとすら感じる
努力の方向性が間違っている…
これは一緒に作業をしている役人も同じ意見だ
…考え方を変えなければ、この砂に根付く植物を探す意欲が湧かない
もし青国の砂漠の緑地化を目指すのであれば、今ここで砂漠の砂に根を張る植物を探すのではなく方法を考えなければダメだ
その実験に使うためであれば、あの砂に根付く朱国の植物を探す価値はある
…うん、そう考えよう
青国でも湖のほとりは牧草地になっているのだ
当然緑地化を目指す砂地は湖から離れている
水はそんなに豊富に使えない
青国についてすぐ灌漑施設の建設に取りかかってもそう簡単には進まないだろう
砂地に撒いた貴重な水を効率よくそこに留める方法を考えなければ
ハナにはとても王が焦っているように見えた
移動ではなく、青国の緑地化を
なぜ朱国にいるうちから手間をかけて正確な青国の地図を作る必要があったのだろう
明らかに青国で過ごす時間を惜しんでいる
なぜだろう
もちろん鳥湖の人たちの暮らしの為であることは間違いないと思うけど
もう少しお考えを聞かせてもらえれば知恵の出しようもあるのに
くすくすとハナは笑い出した
ああ、やはりカエン様はカエン様だなあと
心のうちを見せるのが苦手なのだ
その年ハナは21歳カエンは25歳になっていた
移動まではあと5年…
気分転換にハナは編み物を始めた
二歳になったユキの息子のヒカリのズボンを肌触りの良い綿の糸で
今のハナの楽しみは舌っ足らずのヒカリに「はにゃ」と呼びかけてもらうことなのだ
まだまだお漏らしをする年頃なのでズボンは何枚あってもいい
厚い綿は乾くのが遅いから…
あ?
あっ
あっ、これだ!
政治所では重鎮たちが来年の作付のことについて話し合いをしていた
そこに突然叫びながらハナが入ってきた
「リウマ様!リウマ様!」
リウマというのはこの国の作付の最高責任者である
「綿を!綿の作付を来年から増やして下さい」
「そしてその分を私にお譲り下さい」
「綿で網を作ります」
「そしてそれを緑地化を目指す砂漠の砂に埋めます」
「綿が撒いた水を掴まえ、砂漠の砂の流動も防ぎます」
「砂が動かなければ植えた植物の根も傷みません」
「実際にどんな密度の網が適しているかは青国で、青国の植物を使って試行錯誤していきます」
「ゆえに青国には撚った糸の状態で持ち込みます」
その場には王もサリもいたのだが、その時のハナには作付担当のリウマしか目に入ってなかった




