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王の花嫁  作者: 川本千根
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サリの帰還

サリさんが三年の旅を終えて帰ってきた!


王宮にご挨拶にいらした

王が謁見の間に私も入れて下さった


ほんとはいけないことなのだけれど、お部屋にサリさんが入って来た時、私は思わず駆け寄ってしまった


私たちはただ無言で手を取り合った

次にきつく抱き合った


サリさんの美しかった肌が荒れている

もともと細かったけどさらに痩せられた

辛い旅だったに違いない


私たちの興奮が収まった頃を見計らって王が


「サリ、ご苦労だった」


「三日休め、休んだら政治所に出所してくれ」

「サリにはこれから国家運営の全てを学んでもらう」

「先ず、国の財政を把握するために財務のユジンの下に入れ」


と淡々とおっしゃった


三年ぶりなのに…


もっと正直に喜んで下さっていいのに


もしかして私を気づかってこんなに態度を取られているのだろうか

いまさら…


ああ、そういえばこの方はこういう癖のある方だった




しばらくするとサリさんに会いにユキ様がお子様を連れて王宮の離からいらっしゃった

一歳の坊やを囲んで私たちは出会った頃のようにおしゃべりを楽しんだ


これからサリさんは政治局の一員として働かれる

前のように王宮に出入りすることは少なくなるだろう

寂しい…

色々なことが確実に変わってゆく




サリたちと同じように聞き込みの旅に出ていた者たちが続々と帰ってきた

集めた資料を元に精密な一枚の地図が出来上がった


結果古い地図にはないオアシスがあと2つあった

かなり小規模なものだが

湖の魚の取れ方や風の吹き方も場所によってばらつきがあることがわかった

新しい地図をもとに王は各村の人口を考慮して住む場所の選定を慎重に行うよう重鎮たちに命じた


と、同時にリオスとシャリアに最初に灌漑を行う地域の検討をさせた




湖の祈りの後はいつも一緒に帰るのだけれど、その日王は私に


「先に帰れ」

とおっしゃって一人湖のほとりに残られた


私は言いつけ通り帰路についたけど、少し歩いて後ろを振り返ると王はただ佇んで湖を見ていた


…多分視線の先には青国がある




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