2、再会
楽しくお読みいただけましたら幸いです。
~前話つぶやきあらすじ~
1、出逢い
【逃げ場なんて無いと思っていた。でも、キミに出逢ってしまったから、キミを逃げ場に選んでしまった。それが正解なのか分からないまま】
【久し振りに逢ったキミは、どこか寂しそうで救いたいと思った。でも救われたのは自分だった】
「ヒメちゃん。今日は行けなくてごめんね」
朝から、叔母さんは私に謝ってきた。
今日は修学旅行の説明会がある。
でも、叔母さんは仕事で出席できない。
「大丈夫だよ。ちゃんと説明は聞いてくるから、叔母さんは仕事を頑張ってよ」
「本当にごめんね」
叔母さんは、ずっと暗い顔。
ただ笑っていてほしいのに。
でも、そんな風にさせているのは私だよね。
「ごめんね、叔母さん」
私は家から出て登校中に小さな声で囁いた。
「何? また謝ってんの?」
うつむいて歩いていた私の視界にドキッとするほど整った顔が入ってきた。
その顔に私は驚き、その人から離れる。
「えっ、まだ警戒してんの?」
「か、、、か、、、」
「何? 何が言いたいのか分かんないんだけど?」
「か、、、か、、、カナヲ君!」
「俺の名前を呼びたかっただけ?」
カナヲ君はケラケラと笑っている。
どうして、そんなに普通でいられるの?
あれから半年は経ったんだよ?
私は、あれから毎日カナヲ君を待っていたのに。
「あの横断歩道の前で」
「知ってた」
私の意味不明な言葉をカナヲ君はちゃんと理解をして応えてくれた。
「知ってたのに、どうして声をかけてくれなかったの?」
「俺にも事情があるんだよ」
「中学生のガキに?」
以前、カナヲ君が言ったように私も真似て見下すようにニヤリと笑って言った。
それなのにカナヲ君は、何も言わず一瞬だけ苦しそうな顔をした後、無表情になった。
「カナヲ君。今日、学校が終わったら話さない?」
「えっ」
「もしかして、この前のスーツの人が来ちゃう?」
「今日は学校の日だから来ないよ」
「そう。それなら、どこかで待ち合わせをしなきゃね」
「それなら俺の方が早く学校が終わるだろうし、お姉さんの学校の前で待ってるよ」
「えっ、本当? それじゃあ、学校が終わったら直ぐに向かうよ」
「分かった」
そしてカナヲ君とは別れた。
この半年でカナヲ君の印象が変わっていた。
出逢った頃よりも何かが違う。
髪型が変わった?
身長が高くなった?
声が低くなった?
全て違う。
カナヲ君が変わったのは眉間のシワよ。
前よりも濃くなった。
何か嫌なことをさせられているのかも。
嫌悪感が眉間のシワに出ている。
「え~、あの子イケメン。誰かを待っているのかな?」
私は学校が終わり、校門の近くを急いで歩いていると声が聞こえた。
イケメンの主は絶対にカナヲ君だね。
私は校門を通り、校門の横の壁に背中を預けて立っているカナヲ君を見つけた。
たくさんの女子の目がカナヲ君に向かっているのに、本人は気にすることもなくスマホの画面を見ている。
「カナヲ君! お待たせ。行こう」
私はカナヲ君の腕を引っ張り急いで歩く。
「お姉さん?」
「カナヲ君は気にならないかもだけど私が気になるの」
「あ~、もしかして女子に見られていること?」
「うん。カナヲ君が女子達の話題になってほしくないのよ」
「それって俺を独り占めにしたいってこと?」
「違うよ。女子達の話のターゲットになったら酷いんだからね。妄想が凄かったり、悪口大会になっちゃったり、そんなの私が嫌だったの」
「ふぅ~ん」
カナヲ君が納得したのかは分からないけど、もう少し視線を気にしてほしい。
すれ違う全ての女性がカナヲ君を見ている。
カナヲ君には人を惹き付ける何かがあるみたい。
「ねぇ、二人だけで話をしたいよね?」
「普通はそうだと思うけど?」
私の言葉の意味が分からないようで、カナヲ君は呆れた顔で言った。
私は何の説明もせずに目的地へ向かう。
カナヲ君は何も訊かず、私の隣を歩く。
会話なんてなくて沈黙が続くのに、それが嫌だとは思わなかった。
「着いたよ」
私達は高台にある小さな広場へ到着した。
景色が綺麗で私のお気に入りの場所。
遊具なんてないし、草は生えっぱなし。
だから誰も来ない。
「どう? 二人だけで話せる場所は」
「楽園、、、」
カナヲ君が綺麗な景色を眺めて言った。
気に入ってくれたみたい。
それからカナヲ君が満足するまで私も綺麗な景色を眺めた。
カナヲ君の隣で。
「なぁ、俺と話したかったんじゃないの?」
カナヲ君が景色を眺めながら言った。
「今、会話って必要かな?」
「そうだな」
会話なんて必要ない。
今は、この景色を眺めて自分の心に正直になるの。
「お母さん」
ただ一言だけ呟く。
本当は、叔母さんをお母さんと呼びたい。
ここに来たら何度も口にする。
「お母さん」
私の呟きの意味を訊かず、カナヲ君は私の頭を優しく撫でてくれる。
カナヲ君の優しさが私の視界を歪ませる。
そして涙が頬を伝う。
「分かっているの。お母さんって呼ばなきゃ本当の家族にはなれないのは。でも、お母さんって呼んでしまったら、私の本当のお母さんがいなくなっちゃいそうで。既に顔も思い出せないのに」
「無理して呼ぶ必要はないんじゃない? だって、お母さんって呼んで家族になれるなら、俺がお姉さんをお母さんって呼んだら家族になれるわけ?」
カナヲ君が私をお母さんって呼ぶだけで家族になるわけがない。
でも私が言ったことは、そういうことになる。
心が、ちゃんと受け入れるまで無理をする必要はない。
カナヲ君の言葉は焦っていた私の心に答えをくれた。
自分のペースでゆっくりでいいんだよ。
そう言ってくれた。
お読みいただき、誠にありがとうございます。
~次話つぶやき予告~
3、笑顔
【キミの笑顔が好き。心からの笑顔が好き。だから、キミの笑顔を守りたいと思った】




