14、真実
楽しくお読みいただけましたら幸いです。
~前話つぶやきあらすじ~
13、正反対
【キミと同じだから惹かれるんだと思っていた。でも、それは違った。本当は無い物ねだりをしていたのかもしれない】
【ずっとキミの傍にいる。ずっとキミの支えになる。それは嘘でもなんでもない真実】
「私は逃げすぎたけど、逃げることがダメだとは思わないよ。だって逃げてきたから心が壊れずに済んだと思うから」
「心、、、」
「生きていくには心は一番大切だよ。そして偽りもなく、その心を見せれる場所が必要なんだよ」
「その場所がヒメ、、、」
「その場所がカナヲ君だよ」
私達が惹かれたのは、私達がお互いを必要だと感じたのは、お互いが落ち着ける場所になっていたから。
「だからカナヲ君。一緒に戦おうよ。私はカナヲ君が必要なのよ。私は、もう逃げるだけの選択肢を選ばない。だからカナヲ君は我慢をするという選択肢だけを選ぶのはやめて」
お願い。
カナヲ君。
キミを守りたい。
キミの傍にいたい。
ずっと、この先も。
キミの隣で。
「分かったよ」
カナヲ君は、そう一言だけ告げて私に笑いかけてくれた。
カナヲ君の一言が嬉しくて、私は舞い上がった。
これからも、ずっとカナヲ君の傍にいられる。
カナヲ君と支え合いながら生きていける。
私は未来しか考えていなかった。
この時のカナヲ君の本当の心を見ようとしていなかった。
「お母さん。大丈夫だったの?」
カナヲ君とは別れて家へ帰るとお母さんは帰ってきていた。
お母さんはニコッと笑って“大丈夫だよ”と言った。
お母さんの言葉とカナヲ君の言葉が私の心を安心させた。
だから私は気付かなかった。
異変に。
「お母さん。明日はカナヲ君との作戦会議だよ。遅刻しないようにね」
「あっ、うん。そうね」
あれ?
お母さんの様子がおかしい。
「お母さん?」
「今日は、仕事が忙しくてギリギリになっちゃうかもしれないの」
「えっ、遅刻しないでよ」
「うん。大丈夫だから先に行っててね」
「分かったよ」
カナヲ君に逢えると思うと私の心はルンルン気分。
嫌いな数学の授業も、面倒な日直の仕事も、いつの間にか過ぎていった。
映画館に着いて、一人で待っていると扉が開いたから振り向き私は固まってしまった。
だって、そこにいたのは、、、。
「姫華さん。貴方と会うのは二度目いいや、貴方は小さかったので覚えていないでしょうが三度目ですね」
私の目の前には辻さんがいた。
どうして?
カナヲ君。
バレちゃったの?
「カナヲ君は?」
「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。カナヲは、ワタシがここに来ていることを知らないでしょうからね」
「どういうこと、、、ですか?」
「カナヲは、ここには来ませんよ」
「えっ」
「カナヲは日本にはいませんから」
嘘。
でもカナヲ君は私と一緒に戦ってくれるって言ってくれた、、、。
違う。
一緒に戦うなんてカナヲ君は言っていない。
私が自分の都合の良いように解釈をしただけだ。
嘘。
私。
一人で舞い上がっていた。
「泣かないで」
辻さんは、そう言うと私の頬に伝った涙を親指で拭う。
凄く優しい瞳で私を見ながら。
「あっ、あなたは誰ですか?」
私は目の前にいる、優しい眼差しの男性の手を払って言った。
この人は以前、会ったことのある辻さんとは違う。
「申し訳ありません。自己紹介をするのが先ですよね。ワタシはカナヲの育ての親であり、カナヲを助けようとしている元天才子役の現在は製薬会社の代表の辻と申します」
情報量が多すぎる。
カナヲ君からは、そんなことは一言も聞いていない。
「色々と混乱すると思いますので、ワタシよりは聞きなれた声で聞いた方がいいでしょう」
「どういう意味ですか?」
「もうすぐいらっしゃいますよ」
辻さんが、そう言うと扉が開いて誰かが入ってきた。
その誰かは、お母さんだった。
「ヒメちゃん。ごめんなさい」
お母さんは私に頭を深々と下げて謝った。
その様子を見て怖くなった。
だって私が知る限り、そんなに頭を深々と下げるほど謝られるようなことはされていない。
私、何を知らないの?
「まずは、カナヲ君のことを話すわ」
お母さんは私が一番に知りたいであろうカナヲ君のことを話そうとしている。
私が知らないカナヲ君のことをお母さんは知ってるの?
「カナヲ君は幼い頃から病気を抱えているの」
「そんなの知らない」
「そうね。カナヲ君自身も知らないから」
「そんなことってあるの?」
「あるのよ」
「どんな病気なの?」
「精神疾患よ。両親を目の前で亡くして、幼いあの子の心に傷が付いて治らないのよ」
信じられない。
だってカナヲ君は普通の中学生だったよ。
少し大人びていたけど、ちゃんと意思はしっかりしていた。
「カナヲ君自身も知らない疾患だから、本当に普通の子なのよ。でもね、眠る時に疾患の本性が現れるのよ」
「眠る時?」
「うん。あの子は眠れないのよ。目の前で亡くなった両親の残像が現れるから、無意識に脳が眠らないようにするのよ」
「それならどうやって眠るの? 寝なきゃ生きるのも難しいでしょう?」
「だから辻さんがいるのよ」
お母さんは辻さんに視線を向ける。
辻さんは小さく頷いている。
「辻さんはカナヲ君のために製薬会社を作ったのよ。そしてカナヲ君のために眠れる薬を開発中なの」
カナヲ君から聞いていた辻さんという人とは全く別人。
カナヲ君は何も知らないで、ただ辻さんを憎んでいる。
そんなのカナヲ君が可哀想。
本当は感謝しなきゃいけない人なのに。
お読みいただき、誠にありがとうございます。
~次話つぶやき予告~
15、幸せはすぐ傍に
【ただ逢いたいと願うだけで力が湧いた。大丈夫。キミも同じだよね? 傍には信頼できる人がいるから】




