ねぇ〜、まぁ〜だぁ~?
「ばあちゃ〜ん、まーだぁ〜?」
「うん、まだだなぁ〜」
「あとどのくらい〜?」
「う〜ん、あと30分くらいかなぁ〜」
「え〜っ、もう遠すぎる!!」
じいちゃんの運転する車で、今日はお出かけ。
お出かけは嬉しいけれど、目的地が遠すぎて退屈している。
「ねぇ〜、まだぁ〜?」
「ま〜だぁ〜?」
何回言ったところで、目的地がまだまだ遠いことはわかっている。
それでも、私の「まだぁ〜?」が車の中に響いていた、
その時――
「あらっ、大変!!」
ばあちゃんが突然、声をあげた。
「えっ、何?」
「ふーちゃんの『ま〜だぁ〜』で、お山がよっこらしょと動いちゃった!!」
「えっ、そんなわけないじゃ〜ん」
私はケラケラ笑う。
「いやいや、ばあちゃんには聞こえるよ! お山が動いている音が。お山を越えないと着かないのに」
「そんなわけ……」
何となく「まだ」の「ま」の字も言えなくなった。
「じゃあ、ばあちゃんと歌を歌おうか?」
「うん!」
その後、チューリップ、ぞうさん、大きな栗の木の下で、かえるの合唱、ぶんぶんぶん、すうじの歌、ふしぎなポケット、ちょうちょう、どんぐりころころ、手をたたきましょう、おべんとう箱のうた、グーチョキパーでなにつくろう、いとまきのうた、アイアイ……。
車の中は大賑わい。
しりとりでも盛り上がった。
今振り返ると、どこへ遊びに行ったのかは思い出せなくても、車の中の賑わいだけは昨日のことのように覚えている。
・・・・・・
そして今――。
「ねぇ〜、まだぁ〜?」
と尋ねられる立場になった。
試しに、
「あっ、お山が動いちゃった!」
と言ってみたところ――
「なわけないじゃん!!」
と、一刀両断。
それでも車の中は、大合唱にしりとり、なぞなぞで大賑わい。
「まだ?」と催促するより、その時間を楽しむほうが百倍楽しいことを、子どもたちはちゃんと知っているのかもしれない。
しかし、ばあちゃん……。
今は、お山より、
「ジェットコースターが……」 「プールが……」 「公園が……」
とはっきりした場所を言わないと効果ないみたいだよ!




