82.見れ!知れ!噛め!
「幸田。今、長居公園の近くやな。」
電話の向こうの所長が、いきなり現在位置を決めつけてきた。
○月〇日。
「幸田。今、長居公園の近くやな。」
電話の向こうの所長が、いきなり現在位置を決めつけてきた。
「何で分かるンですか?」「お前もEITOのDDバッジ持ってるやろ。」
「ああ、配布して貰ったから・・・あ、東京本部で位置確認出来るんでしたっけ?」
「今、大前さんと替わる。声だけやけど。」
「幸田さん、大前です。1時間半くらい前やけど、堺市の精神科クリニックで傷害事件がありましてね。患者の男が、いきなりナイフを振り回して、院長を傷つけて逃走中です。目撃者と院長の証言から、ナイフガンのような模様が柄に描かれていたようなんです。オスプレイも飛ばしますが、幸田さんも協力お願いします。犯人は今、26号線を北上中です。」
「了解しました。倉持、方向転換や。」
半時間後。
俺達のクルマは、川を越え、住之江区に入ったところで奴のクルマに遭遇。無理矢理停車させた。
間もなく、パトカーが到着。次いで、EITO大阪支部のオスプレイが到着。上空から降りて来たのは、EITOエンジェルズ姿の総子だった。
警察官が、被疑者を逮捕した。
巡査部長らしき警察官が総子と俺に敬礼した。大したもんや。
「EITOエンジェルズのチーフ、南部興信所の幸田所員。ご苦労様です。確認を願います。」
巡査部長は所持品のナイフを俺達に見せた。
俺と総子は頷いた。間違いなく、ナイフガンに使うナイフや。
「了解しました。上司に報告をして、取り調べをします。」
巡査部長は、また敬礼して、パトカーで去って行った。
「東京本部で、たまたまの事故でナイフガンが仰山、押収された。兄ちゃんも小柳さんも気イ立ってるねん。ありがとうナ、幸田。」
「お嬢。ボーナス増やしてくれてありがとう。商品券やったけどな。」
総子は、頷くと、ロープでオスプレイに吸い込まれて行った。
「お陰で、路上喫煙違反者摘発の助っ人に行かんで済んだな、倉持。」
「そうですね、もう4時半ですし。」
「うどん屋寄って、帰ろうか。」
南部興信所所長夫人にのし上がった総子は、EITOという、日本で唯一の『反テロ組織』の隊長もし、二足のわらじを履いている。
たまに、公私混同もするが、エエ奴やで、俺の後輩は。
所長に夜這いしたのは、まあ、犯罪やが、『責任取って』結婚してるしなあ。
俺の周りには、『積極的でない』『つつましい』オンナは1人もおらんな。
―完―
そうですね、もう4時半ですし。」
「うどん屋寄って、帰ろうか。」




