79.特殊詐欺の『パシリ』
俺は、辻先輩の呼び出しに治療院を訪れた。
また、羽交い締めにされ、「私と100回セックスするのと・・・。」と言われかけ、思わず「願い事。」と叫んだ。
○月〇日。
俺は、辻先輩の呼び出しに治療院を訪れた。
また、羽交い締めにされ、「私と100回セックスするのと・・・。」と言われかけ、思わず「願い事。」と叫んだ。
「まだ、言うてないやんか。」「言うてください、続きの台詞やなくて願い事。」
先輩は、お名前カードのコピーを出した。
「それで、保険効くんですよね。肩こり位やったら。」と言うから、「『同意書』ないと保険効かへん。整形外科紹介したるから、って言って十津川外科を紹介してあげたんや。ほなら、ブス、ブス、言いながら帰って行った。どない思う?」「先輩はブスやないですよ。」
「ありがとう。でも、そっちやない。あの軽さ。何か犯罪に関わってる気がする。カンやけど。」
「取り敢えず、十津川先生のとこへ聞きに行きますわ。」と言って、治療院を後にした。
十津川整形外科に着くまで、やりとりを聞いた倉持はずっと笑っていた。
「お前、笑うか運転するか、どっちかにせえよ。」「済みません、辻先生らしいな、と思って。学生で犯罪って言うと、まずはオレオレ詐欺、ですか。」
「そうやな。他の特殊詐欺の受け子かも知らんが。」
腕を組んで悩む間も無しに、十津川整形外科に到着した。
「辻さんから連絡あったよ。怪しいと言えば怪しいかなあ。肩こりが激しいから鍼灸に行ったら、保険が効かないって言われて来た、というから、レントゲン撮ったよ。特に異常は無かった。問診したとき、先週3回徹夜したって言うから、疲れやろうと、湿布剤と痛み止めとビタミン剤処方したよ。大人しそうな子やったけどなあ。鍼灸で保険治療するには『同意書』がいることを説明したら、じゃあ、『同意書』書いてくれ、と言うから、整形外科では書かないことになっている、と説明した。CTは?MRは?と言うから、そういうのは総合病院に行かないと、と説明すると、『縄張り激しいんですね』と言って、笑ってしまった。世間知らずには違い無いがねえ。」
十津川整形外科を後にして、俺達は一旦事務所に戻った。
「所長は、『マエ』があったよ。お名前カードと保険証のコピー、辻先生から届いたから、府警に転送したんや。未成年の頃、パシリで見張り役やったけど、また何かやらかす気かも知れん。府警二課から、応援行くまで張り込んでくれって言われた。」
「了解です。ヤサは?」「天下茶屋。頼むで。」
午後5時。
府警の刑事と交替して、俺達は引き揚げた。
午後8時。
特殊詐欺グループは現行犯逮捕。検挙された。
「犯罪は、甘い汁、か。」と、澄子は言った。
「再犯で、今度は成人してるから、『おいしいメシ』、大分食べんとあかんな。」
「おいしいメシ?」
「『クサイ飯』は差別やて。確かに、戦前戦後の刑務所やないからな。大目分離教のサハラかて、死ぬまで『おいしいメシ』食ってたらしい。我々の税金でな。でも、『別荘』には行きたくないな。」
「それにしても、辻先生の勘、鋭いな。」
「ああ。佐々ヤンから聞いたが、『捕まりたかった』らしい。それで、あちこちに現れた、ちゅうことや。再犯率高い、って一概に決めつけられへん。悪い仲間が誘いに来たり唆したりする場合もあるサカイな。」
「1本、つけよか。」「ああ、頼むわ。」
やりきれない気持ちの時は、アルコールに頼ることもある。
結婚前から、よう気がつくオンナや。待てよ。「初めて襲われた時・・・。」
俺はオカンを前に『悪寒』が走った。
―完―
「それにしても、辻先生の勘、鋭いな。」
「ああ。佐々ヤンから聞いたが、『捕まりたかった』らしい。それで、あちこちに現れた、ちゅうことや。再犯率高い、って一概に決めつけられへん。悪い仲間が誘いに来たり唆したりする場合もあるサカイな。」




