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77.へんこ

「へんこ」とは関西地方の方言で「頑固者、偏屈者」という意味である。

「偏屈たす頑固」と言う者もいる。

兎に角、回りが「手を焼く」人間のことだ。


 ===============「鍼灸師辻友紀乃3」から続く=================

 ○月〇日。

 俺が所属している南部興信所は、浮気調査が多い。

 専門ではないが、とにかく多い。

 だが、今回は違う。

 俺と倉持は、『へんこ』のいる告別式に急いだ。

「へんこ」とは関西地方の方言で「頑固者、偏屈者」という意味である。

「偏屈たす頑固」と言う者もいる。

 兎に角、回りが「手を焼く」人間のことだ。

 俺は、例によって、辻先輩の命令で「パシリ」することになった。倉持も巻き込んで。

 午後3時。大鳥大社近くの葬儀会館。

 俺らは、滑り込みセーフになった。

 来る道が、混んでいたからだ。

 昨日で「三が日」が終ったから、混み出したのだ。

「家族葬ですが・・・。」という会館の職員に頼み込んで、俺達は記帳した上で、辻先輩に渡された香典を差し出し、焼香に参加した。

 坊さんが帰った後、喪主である、『湯田さんの弟嫁』が引き留めた。

 香典と名刺を確認した後、気色悪い程の笑みを浮かべて、俺に尋ねた。

「故人とどういうご関係で?」

「はい。ウチの所長が生前大変お世話になったそうで。『仕事のついでに』我々が代理で参りました。ご冥福をお祈りします。」

 さっと礼をした俺は、釣られて礼をした倉持と車に急いだ。

「先輩。仕事のついで、って、どの案件です?」「言葉のアヤヤや。ゴーホーム!!」

 俺は、辻先輩と所長に電話をした。

「これで、少しは浮かばれるかな?全員の名前、記帳したか?」「はい。所長夫人も足しておきました。」

「やっぱり金で動くんやな。あの『へんこ』は。『へんこ』皆、そうや。覚えとき、幸田。」

「はい。勉強になります。初詣逃したから、今宮の『えべっさん』行きますわ。」「ご苦労さん。」

 2人とも上機嫌だった。

「不運」をぼやいてばかりだったそうだが、所長の言うとおり、湯田さんは浮かばれるやろう。『土壇場の幸運』や。

「あ、倉持。どこか途中でスーパー寄ってくれ。開いてるとこ少ないかもしれんが、『うどんの玉』切らしてるねん。」「了解しました。」

 ―完―


「やっぱり金で動くんやな。あの『へんこ』は。『へんこ』皆、そうや。覚えとき、幸田。」

「はい。勉強になります。初詣逃したから、今宮の『えべっさん』行きますわ。」「ご苦労さん。」


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