表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/88

75.被害妄想殺人事件

俺は、例によって倉持と共に依頼者を連れて「浮気現場」に踏み込んだ。

これは、南部興信所の伝統だ。


 ○月〇日。

 俺は、例によって倉持と共に依頼者を連れて「浮気現場」に踏み込んだ。

 これは、南部興信所の伝統だ。

 浮気相手を突き止めるだけでなく、依頼者が暴走しない為の処置だ。

 場合によっては、刑事事件に発達する恐れがあるからだ。

 離婚調停とかの話になれば、本庄弁護士を紹介して、紹介手数料を頂く。

 踏み込んだ現場で俺達は異様な光景を目の当たりにした。

 依頼者の本間美優は、その場でへたり込んだ。

 何と、夫の柳助と、浮気相手は、口が『きなこ』まみれだった。

 倉持が救急を呼ぼうとしたが、俺は「待て、倉持。警察呼べ。明らかに死んでる。」と言った。

 やがて、所轄署から刑事と鑑識が来た。

 俺は手短に事情を説明した。

 本間の奥さんは異常に興奮しているので、倉持が懸命になだめている。

 午後3時半。

 今日は、もう仕事にならないから澄子の店に来た。

 おやつだと言って出してきたのが、きなこ餅。

 倉持は珍しく怯えた。

 俺が事情を話すと、澄子はあっさり『きんつば』を出した。

 きんつばと食べ、お茶を飲んでいると、スマホが鳴動した。

 所轄署の刑事や。

「え?捕まった??で?????」

 電話を切ると、俺は倉持と澄子に話してやった。

 被疑者、いや、殺害犯人の引田宗佑は、アパートの隣の住人だった。ガイシャは、窒息死したのだ。大量のきなこで。

 1浪中で、「受験ノイローゼ」だった。それは、引田の母親に連絡を取り、今取り調べ中だが、原因は明らかになった。

 問題は、動機だ。

 物事の『結果』には、『原因』と『理由』がある。原因が受験ノイローゼで、理由は動機だ。

 引田のケータイから、それも判明した。『きなこに殺される』という『タイトル』の『フィッシングメール』だった。フィッシングメールとは、コンピュータのプログラムで特定多数の相手に送りつけ、「折り返し返信」した『さかな』を餌食にする、詐欺の手段ことだ。

 興味を引くタイトルにして、丁寧な文章でURLを書き込んでいるのが特徴で、引田も『釣られた』クチだ。ところが、URLのアドレスはもう存在しなかった。

 殺人事件を耳にしたのか。他にヤバイことがあって引き揚げたかは分からない。

 だが、引田の精神錯乱に拍車をかけてしまったのが、そのメールだ。

 引田は知っていた。きなこをスーパーで大量に買ってまで殺害した、隣人の女を。

 その女の名は「希菜子」だった。

 ―完―


殺人事件を耳にしたのか。他にヤバイことがあって引き揚げたかは分からない。

だが、引田の精神錯乱に拍車をかけてしまったのが、そのメールだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ