表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/88

49.情報弱者

俺と倉持と澄子は、知り合いの中山に依頼されて、スーパーにやってきた。

中山は、澄子同様「水商売」をやっている。と言っても居酒屋だ。

開店直前のスーパーは、黒山の人だかりだった。


 ○月〇日。

 俺と倉持と澄子は、知り合いの中山に依頼されて、スーパーにやってきた。

 中山は、澄子同様「水商売」をやっている。と言っても居酒屋だ。

 開店直前のスーパーは、黒山の人だかりだった。

 案の定、目的はミネラルウォーターだ。

 昔のトイレットペーパー騒ぎを思い出す、と、電話で花ヤンが言っていた。

 マスコミが「不足するぞ」とデマを拡散したからだ。

 当時から、トイレットペーパーは、殆どが国産だ。「根も葉もないデマ」だ。

 石油精製品は、トイレットペーパーだけではない。オイルショックとは言え、まだまだ打つ手はあった。

 だが、群集心理で殺到したのだ。今回も同じ構図だ。宮崎県で起きた地震の後、気象庁が「余計な」発表をした。

「南海トラフ地震情報」というものだ。知ってる人は知っている。

 マスコミは、パリ五輪が終るから、待ってましたとばかりに、まるで「予想海域」に「余震」があるかのような報道をした。

 地震があったのは、宮崎県である。宮崎県や熊本県に一時余震があったのは事実だが、あの「ソーセージみたいな形」からは離れている。

 備蓄や日頃の心構えは大事だ。しかし、まるで、台風の進路予想みたいな報道は行き過ぎだろう。各地で「買い占め・買いだめ」が始まった。

 宮崎県に送るモノ優先で品不足なら理解出来るが、四国からこっちは確実に「余震が起る」なんて考えられないことなのに、自称専門家は騒ぎ出す。

 すると、所謂「団塊の世代」が動きだす。所謂「情報弱者」だ。

 コロニーの時もそうだった。「立ち直り」が遅れた人達が、無知蒙昧のマスコミの煽動に乗ってしまったからだ。

 絶えず、横並びを意識してきた人達は、煽動・洗脳にかかりやすい。

 隣の人を殺さないと自分が殺される。そんなパニック症候群になりやすいのだ。

 苦労して、1人2ケースずつ買って、中山の店に運んだ時、澄子は言った。

「ウチは1ケースでいいわ。足りんようになったら、店閉めるし。」

 さすが、我が恋女房や。ハナから水不足は信じていない。

「えらい、すんませんなあ。」別れ際、中山は言った。

「先輩。いつ来るんです、トラフグ地震。」

 倉持の問いに、俺は簡単に答えた。

「知らんがな。来たら、死んだらええやんけ。」

 ―完―



このエピソードは、既に他のサイトで公開した作品ですが、よろしければ、お読み下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ