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回収箱  作者: しー
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第三十七話 焼き魚

ここまで「回収箱」を読んでくださって、本当にありがとうございます。

一話ずつ物語を追いかけてくださることが、書いている私にとって何よりの励みになっています。

第三十七話では、翔平がいつもの時間を過ごす中で、これまでとは少し違った感覚が描かれます。

昔から変わらないもの。

大切にしてきた時間。

そして、何気ない会話の中に残る小さな違和感。

翔平が感じているものを、ぜひそのまま受け取りながら読んでいただけたら嬉しいです。

第三十七話「焼き魚」

今回も最後まで、どうぞお楽しみください。

「お待たせ」

振り向くと、妻が笑っていた。

「今、落ち着いたから。休憩室に一緒に行きましょ」

「ああ」

妻が俺の腕に手を添えた。

「ちゃんと寝た?」

「寝たよ」

「最近、顔色が悪いから心配なの」

「大丈夫だって」

「……ならいいけど」

妻は安心したように笑った。

「お前は昔から心配性だな」

「だって、翔ちゃんのことだもの」

その笑顔を見ていると、不思議と肩の力が抜けた。

休憩室から、魚を焼く香ばしい匂いが漂ってきた。

「いい匂いだな」

「瓜先生が焼いてくれてるみたい」


扉を開けると、エプロン姿の瓜が魚をひっくり返していた。

「おっ、翔! やっと来たか」

香ばしい匂いに、腹が鳴った。

「翔ちゃん、お腹空いた?」

「鳴ってない」

「ほら、ちゃんと食べなさい」

「子どもじゃないんだから」

「昔からそうじゃない」

妻が笑い、俺もつられて笑った。

ふと、瓜の視線が俺の隣へ向いた。

眉が、わずかに動く。

「——どうした?」

「いや。何でもねぇよ」


瓜は視線を逸らし、焼き魚を皿へ移した。

「いただきましょうか」

妻が俺の隣に腰を下ろす。

「ああ」

肩が触れ合った。

その温かさが、妙に心地よかった。

第三十七話まで読んでくださって、本当にありがとうございます。

ここまで「回収箱」を読んでくださっていること、そして一話一話、翔平の物語に付き合っていただいていることを、とても嬉しく思っています。

今回は、翔平にとって穏やかで温かな時間を描きました。

何気ない会話や、一緒に過ごす時間。

当たり前だと思っているものほど、後になって大切だったと気づくこともあるかもしれません。

そして、そんな日常の中にも、少しずつ変化しているものがあります。

これまでのお話を思い返しながら、翔平が過ごしている時間を感じていただけたら嬉しいです。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

これからも一話一話、大切に物語を届けていきたいと思います。

引き続き「回収箱」にお付き合いいただけたら嬉しいです。

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