クエスト55【料理改善編_物流改善4】
ここは魔王の侵略に怯えるオイヘンブージ王国。
その王城にて、国王ブージ三世は頭を抱え苦悩していた。
「国王様、どうなされましたか!」
そこに勇ましい足取りで、全身甲冑の騎士が姿を現す。
「おお、騎士団長か……実はな」
その時、部屋の外に何か荷物が置かれるような音がする。
「なんじゃ、誰か来たのかのう?」
「本日は謁見の申し出は無かったはずですが、確認してきます」
そう言って騎士団長が部屋の外を確認すると、小さな小包を持って帰って来た。
「何か届いたようです」
「この部屋に直で!? 送り主は誰じゃ?」
「えっと魔術師組合ですね、宛先は描いてありません」
「中身は何じゃ……」
「開けてみますか?」
「魔術師組合が王の元に、危険物は送って来んと思うがの」
騎士団長が慎重に包みを開ける。中には一枚の紙が入っていた。
「メッセージカードかの、それ以外には?」
「このカードだけですね『やっぴー、あーし賢者っス。今まどーし組合で転送魔法の実験中っス、この箱が届いた人は、まどーし組合に連絡よろー』と書いてあります」
「なんじゃ実験かいな、ピンポイントでここに届くとはな」
「後で魔術師組合に持って行けばいいんでしょうかね?」
そんな話をしていると、また部屋の外に物音が。
「またかのう」
「見てきます」
また騎士団長は小包を手に戻ってくる。
「また転送魔法の実験かのう」
「そうですね、魔術師組合が差出人になっています、開けますね」
中からは、バナナが出てきた。
「送り先が、賢者本人になっていますね」
「誤配送かのう」
「これも後で届けましょうか」
「一回転送魔法を通った後のバナナってなんか怖いのう」
そんな話をしていると、また荷物の音がする。
「またかい!」
「とってきます」
騎士団長が小包を持ってくる。
「あ、でもこれは国王様宛ですよ」
「ワシに? 何じゃ……」
訝しんで箱を開けると、中から女性ものの下着が。
「何じゃこれはぁ!」
「えーどれどれ、あ、これ送り状の住所が間違ってますねぇ、名前は同じなので同姓同名でしょうか」
「ワシと同じ名前が……そりゃ居るかワシ国王だしな」
そう話していう間にも荷物が届く。
「ちょ、待った何かわざと届けとらんか?」
「そういった不具合を洗い出す為の実験何でしょうか」
気楽に言って荷物を取りに行く。
「この箱は、軽いです。中身は……箱です」
「その箱の中身は何じゃ?」
「箱の中身は、箱ですね、さらにその中にも箱」
「マトリョシカみたくなっておる」
「そして箱の中に、塩ですね」
袋に包まれた、白い粉上の塩が出てくる。
「過剰梱包にもほどがあるのぅ」
「箱には割れ物注意の指定札が」
「塩なのに!?」
そうこうしている内にも、荷物が届く音がする。
「ええい送り過ぎじゃ!」
「あ、今度の箱は大きいですよ!」
「おお、本当にでかい。人ひとりが入れそうな箱じゃ!」
「まさか本当に入っちゃってるっス!」
騎士団長が運び込んだ箱が急に割れ、中から裾や袖やスカート丈が短い少女が、元気よく姿を現す。
「これは賢者殿! まさか自分まで転送するなんて!」
「人なんぞ送って大丈夫なのか?」
「いやいや、これは部屋の前まで来て箱に入っただけっスよ」
「その行為に何の意味が!?」
後日。
「国王様、結局転送魔法の実験は失敗だったようです」
「まぁ全部ここに来てたからのう」
「いえ、送ってないはずの物が届いたり、中身が裏返ったり、着地地点に人がいた場合、荷物と融合したりとトラブルが絶えなかったみたいで」
「うん、それはまだ早過ぎた技術じゃったな」
王の悩みはまだ晴れそうにない。




