クエスト43【猛暑対策4】
ここは魔王の侵略に怯えるオイヘンブージ王国。
その王城にて、国王ブージ三世は頭を抱え苦悩していた。
「国王様、どうなされましたか!」
そこに勇ましい足取りで、全身甲冑の騎士が姿を現す。
「おお、騎士団長か……実はな」
御前にて直立不動に立つ騎士団長に、王は己の抱えた苦悩を漏らす。
「そういや今も鎧の下に、賢者から貰ったアーマーはつけておるのかの?」
「いえ流石に守備力65は普段使いしないですよ」
「高守備の装備ってオシャレ着扱いなんじゃな……」
「ちなみにビキニアーマーって、洗剤使えるんですかね? 手洗いの方が良いでしょうか?」
「もうオシャレ着扱いじゃな」
「それはっスねっ!」
唐突に扉を開けて、裾も袖もスカート丈も短い女性、賢者が姿を現した。
「水につけて汚れを落とした後、陰干しっス! 生地が痛むから洗剤とか絞ったりとかはNGっスよ!」
「なるほど、絞ったりは駄目なんですね、分かりました賢者ちゃん!」
騎士団長は、突如現れた賢者に驚きもせず、頷いた。
「もうさも当然の如く入って来とるのう、城の警備はどうなっとるんじゃ」
「えー兵士の人達、お仕事頑張って偉いね! って言ってあげたら、いつもお勤めご苦労様ですって通してくれるっスよ」
「なんか城仕えだと思われとるな」
「たまにメイド服着てメイドさんに紛れてるっス」
「むしろ何故紛れる?」
「ここのメイド服可愛いっスねーオズっチの趣味なん?」
「その辺は大臣あたりが管理しとるの、一応デザインは給仕者の意見を聞いて作ったと言っておったが」
「それより賢者ちゃん、改まって城に何の用でしょうか? 謁見でしたら兵士に伝えればお迎えしましたのに」
「いやーあーしも一応立場ってもんがあるじゃん? 冒険者組合のヘッドだしさ、アポとか大事になんじゃん!」
「そう言うもんかのう」
「つー訳で、ここにはリアで来てっからー」
「なるほど、賢者ちゃんから秘密の相談という訳ですね、ではこの事は内密にし口外いたしません! それで秘密裏の相談とはいったい何でしょうか?」
「あーやっぱそれ聞いちゃう?」
「何故勿体ぶるんじゃ……」
「まぁ王様、誰だって悩みを打ち明けるのは恥ずかしいものですよ。まぁ年中私に悩みを打ち明けまくってる王様には分からない感覚かもしれませんが」
「まるでワシが変みたいに言うが、別にワシは自分の事で悩んどるわけじゃないぞ、まぁ騎士団長は年十悩みとか無さそうじゃがな」
「っぶなー、私が騎士団長で、貴方が王でなかったら手が出るところでした!」
「もしそうでなくとも、手は出さん方が良いなっと、騒がしくして済まなかったな、ええと悩みを言うと良いぞ、ワシ等で力になれる事であればよいがな」
「そっスね、実は……あーし悩みが無さそうってよく言われるんス」
「……ん、まぁ」
「それで、悩みが無いのが悩みなんスよ!」
「良い事ではないかの?」
「しかも大抵の事は何とか出来るもんで、尚更……」
いまいちよくわからない悩みに、王様が共感しかねていると横から。
「分かる! 判りますよ!」
騎士団長が歩み寄って、賢者の手を握った。
「私も良く人から悩み無さそうだねって言われるんです! あと大抵何とかしてしまうので、実際あんまり悩んでいません!」
「だろうな!」
その事にだけは王は大いに頷いた。
「マジっスか? あーし等ダチっスか? マブ? 下着交換する?」
「交換はしませんが、友達です! 一緒に悩みを探しましょう」
「やっぴー、こんな所にガチ友が居るとか、人生オモレー!」
そう言って互いに手を合わせて、はしゃぎ合う。
「うむ、まぁある意味お似合いではあるかな」
「王よ! これにより私の明晰な頭脳と、賢者ちゃんの可愛さが合わさって、無敵のコンビが生まれたのですよ!」
「何でお主が頭脳労働担当なんじゃおこがましい、どう考えても肉体労働担当じゃろ、あと可愛さってなんぞ?」
「なるほど、我が王が言いたいことが分かりましたよ! 可愛さ担当こそ私という事ですね?」
「それもおこがましいわ! ってかフィジカル担当ってさっきから言ってるじゃろ!」
「ウケる―」
賢者の笑い声が謁見の間にこだました。
後日。
「ん、そう言えば賢者はどこ行ったのじゃ?」
「何でも暑さを何とかする為に太陽倒してくるって出ていきました」
「あ奴は賢いのか馬鹿なのかどっちなんじゃ……」
王の悩みはまだ晴れそうにない。




