クエスト27【初級ダンジョン3】
ここは魔王の侵略に怯えるオイヘンブージ王国。
その王城にて、国王ブージ三世は頭を抱え苦悩していた。
「国王様、どうされましたか!」
そこに勇ましい足取りで、全身甲冑の騎士が姿を現す。
「おお、騎士団長か……結局例の初級ダンジョンの魔物を討伐に至らなかったようじゃな」
「はい、王国も支援はしたものの、若手の冒険者達にはやはり手に余る様子です」
「むぅ手詰まりじゃのう、やはり騎士団を派遣するべきじゃろうか」
「国王様、思うに我らにはやはり敵の情報が足りないように思えます。その所為で若手冒険者に最適な支援も行えず、このまま騎士団を派遣したとして良いかも考え物です」
「確かにのう、相手が集団に紛れ込むのが得意な魔物じゃと厄介じゃな」
「そこでここは原点に立ち返って、勇者の力を借りましょう!」
「なるほどのう、今こそどんな魔物でも一撃で倒せるスキルを持つ勇者が現れるんじゃな!」
「王様、スキルとはそんな都合の良いモノではありません。とりあえず今回有用そうなスキルを持つ勇者を何人か適当に見繕ってみました」
「そんな今夜の晩御飯の材料みたいに、まぁよい魔物が倒せれば文句はない、よし連れてまいれ」
「は、しばしお待ちを」
こうして王の前に、適当に何人かの若者達が連れて来られた。
「本当に適当に何人かおるのう」
「実は今回は情報収集という事でして、動物と話せるスキルに焦点を当てて集めてみました」
「なるほどのう、動物を使って情報を集めるわけか」
「という訳で、最初はこの人! 犬と話せるスキルの持ち主です」
「どうも犬と話せます」
「確かに犬を連れておるの」
「ではさっそく! その犬は何と言っていますか?」
「はい、じゃーお話してみますね。よーしよしよし、どうちたのかなー? おにいたんとお話ししようねー、どちたのー?」
「なかなか独特な会話術じゃな……」
「それで、その犬は何と言ってるのですか?」
「はい、私の事を大好きと言っております」
「もういい次じゃ」
「ではー、次は猫を抱えているそこの人」
「はーいうちのネコちゃんは物知りなんですよ、ほーらどうちたのー?」
「いや、ちょっと待ってこのパターンで続くつもりかの!?」
「ではそこの鳥を連れている方、その鳥はどのような事を話していますか?」
「はーいうちの子はですね、こう言ってます」「コンニチワ、コンニチワ!」
「いやそれ鳥の方が喋ってるから!」
「では、そちらの金魚鉢を抱えている人は、魚の言葉が分かるんですか?」
「はいはいはい、うちの子はですねぇ……愚かな人類が環境を破壊し続ける以上、いずれは天罰が下るぞと」
「ここはペット自慢会場じゃないぞ!」
王様が大声を上げる。
「ほらほら王様、大声を上げたせいで動物達が怖がっていますよ」
「いやいやこんな事で怖がっておったら、魔物との会話なんぞ出来んぞ!」
「そうですね、ではこの中に魔物と会話できる者はいませんか?」
その時、1人のガタイの良い人物が一歩前に出た。その人物は他の者とは違って動物を連れてはいなかった。
「俺なら、魔物とも会話出来るだろう」
「ほう、なかなかの自信じゃのう」
「確かに体中凄い傷がありますね、歴戦の戦士のようですね」
「俺は今まで多くの魔物と戦ってきた。その中で、奴らと死線を潜り抜けた先に、思いが伝わる瞬間があるんだ。決して言葉は伝わらないかもしれないが、拳で心は伝わるんだ」
「だとしたら情報収集には使えませんね」
「いやもう、そのまま魔物討伐してもろて!」
後日。
「王様! ペット交流会行ってきました!」
「ほう、いやそんな私用の報告いちいちせんでも」
「みんな色んなペットを飼って居て、癒されましたねー」
「しかしお主はペットを飼っておらんではないか? 騎士寮はペット禁止じゃろう」
「え、ペット飼ってますよ? ほらドラゴンを」
「交流会の人達びっくりしたじゃろうな」
王の悩みはまだ晴れそうにない。




