クエスト17【王都復興】
ここは魔王の侵略に怯えるオイヘンブージ王国。
その王城にて国王ブージ三世は頭を抱え苦悩していた。
「と、ここまでが今回の被害報告となります。ちゃんと聞いておりますでしょうか国王陛下」
「うむ、聞いておる大臣よ」
いつもの謁見の間に、身長の低いきっちりとした格好の眼鏡をかけた女性が立つ。
彼女は人間より身長の低い種族で、成人の胸くらいの身長しかない。
この女性こそがこの国の頭脳、大臣である。
「続いて復興費用につきまして、交通網の復旧は調査隊の報告待ちではありますが、市街に関しましては、こちらのも調査を待つ必要があるかと。そして当城の修繕費ですが」
そう言って彼女は、外壁は崩れ、尖塔は崩壊し、所々ボロボロの城を一瞥し。
「……立て直した方が手っ取り早いと具申致します」
「むぅ……何とかならんかのう大臣よ」
「少なくとも、今回の被害を考えますと基礎から徹底的に補強をする必要があるかと思います。そして諸々を計算いたしますと」
とここまで言って、大臣はきりっとした瞳で王に告げる。
「赤字です」
「やはり足りんか」
「我が王国の財政は非常に困難な状況と言わざるを得ません」
この度王都に襲来した、未曽有の嵐によって王国は深刻な損害を受けた。特に王城の受けた被害は大きく、よく言って半壊悪く言えば廃城状態であった。
「むぅ何とかならんか大臣よ」
「何とかしましょう」
「出来るの!?」
大臣は眼鏡をくいっと手で押し上げて。
「まぁそれが私の仕事ですから」
そう言って様々な資料を提示しながら。
「まず街道等の交通網に関しましては、使者からの通達がありジャーデン領及び近隣国から援助が受けられるとの事です」
「おお助かるのう」
「街の復興には貴族達が援助を申し出てくれました、この辺は交通網が復旧次第、他国から人手が来るそうですので彼らに任せましょう」
「まだ我が王国は見捨てられてないのじゃな」
「肝心の王城ですが……住民からたっての希望もあり、冒険者組合、商業組合、魔術師組合、そしてセーフ神教会からの寄付金で修繕費が賄えそうです」
「何と、ありがたい!」
街の皆が力を合わせて、象徴たるお城を立て直そうとする姿に、王も感動の涙を浮かべ。
「ただし、それには条件があります」
大臣の言葉に王の涙は引っ込んだ。
「な、なんじゃその条件とは?」
「商業組合としては、単純に元通りに戻すのではなく、もっと観光名所として利用できるよう華やかに立て直してと要望が出ております」
「むむう、古風な感じも好きじゃったんじゃが」
「さらに、冒険者組合からも以前の城はボロくて他所の国と比べてちょっと恥ずかしかった、立派なのにしてくれと」
「あーまー100年は経っとるからなー」
「この様に、象徴たる城が原因で我が王国の求心力が失われようとしています、それを打開するためにも大きく城のデザインを変更する必要があります」
「まぁ資金を出して貰っとる以上、その辺は言う通りにするしかあるまい」
「他にも市民の声から[以前は結構式に憧れのお城だったけど、ずいぶんと薄汚れて毎日見る度にため息が出る]とか[毎日怪しい連中が出入りするようになって、王様が何か良からぬことを企んでいるのではないか]とか[宝物庫まで盗みに入ったけど、宝が全然無くて泣けてきた]という意見が」
「何か泥棒入ってない? 誰だその不届き者」
「これを機に、リフォームによって信頼を取り戻す必要があるのです!」
「まぁ言いたい事は分かった、それで具体的にはどうするというんじゃ?」
「はい、魔術師組合が城の全体的な補強と、武装化計画についての意見書を出しております。その図案によると、魔術的に作り出した新素材によって全体的な構造の強化と、そして災害等から城を守る防御術式展開ギミックの搭載、そして飛翔する魔物を迎撃する魔術式武装火器の搭載、そして緊急時には変形機構」
「ちょっちょっとちょっと……いくら言う通りにするとはいえ限度があるぞ! その子供が考えた様な最強のお城計画書をよこすのじゃ!」
大臣の手から計画書をひったくるように奪う。
「うわしっかり製図してある、三面図まで……」
「その計画書に記された[絶対☆無敵 黒魔人城]の建造及び技術提供は魔術師組合が全面的にバックアップするとか」
「名前からして不安でしかない! 魔術機構の実験目的じゃろ絶対に!」
「……仕方ありません、私のポケットマネーからもいくつか」
「お主も向こう側かい!」
後日。
「陛下、魔術師組合から新しく改訂版[最強☆無敵 闇皇帝城]の計画書が」
「そんな名前の城建てた日には、魔王城からクレームが来るわ!」
王の悩みはまだ晴れそうにない。




