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クエスト13【嵐の襲来】


 ここは魔王の侵略に怯えるオイヘンブージ王国。

 その王城にて、国王ブージ三世は頭を抱え苦悩していた。


「国王様、大変です! 嵐です、嵐が王都を襲っています!」

「うむ、分かっておる」


 そう、王都に今未曽有の大嵐が到来していた。街は豪雨に飲まれ、王城も暴風に震えていた。


「一部の部屋で雨漏りがするとの報告が」

「この城も百年以上はたっとるからのう、街の方はどうじゃ?」

「現在騎士隊と兵士で見回っております、避難先には教会が手を挙げておりますので、一部住人を避難させていますが、原則外出禁止を呼び掛けております」

「教会の方がいっぱいになったら、城の広間も解放するよう伝えるのじゃ」

「わかりました! しかし急にこんな災害が来るとは!」

「もしかしたら、これも魔王の仕業かもしれんな……」

「何と、こんな災害も引き起こすとなると、いよいよ向こうの進行も本格化したという事でしょうか!?」

「今は皆でこの困難をとにかく乗り切るしかあるまい」

「そうです王様、こういう時こそ冒険者組合より、災害に強いスキルを持った勇者を紹介してもらいましょう!」

「そうじゃな、では連れてまいれ!」

「は、しばしお待ちを」


 こうして王の前に、1人の若者が連れて来られた。


「ではその脅威のスキルを王に語って聞かせよ! なんかこの台詞久しぶりですね!」

「そういえば、普通に勇者を呼び寄せるのもずいぶん久しいのう」


 どこか懐かしい雰囲気が、謁見の間に流れた。

 外は暴風で荒れまくってはいるが。


「お和みの所失礼します、国王様そして騎士様」


 不意に勇者が挙手して発言する。


「おっと、そうでした。してあなたのスキルは何でしょうか?」

「いえその前に、恐らく城の窓を板で打ち付けるなどして補強した方がよろしいかと」


 そう言うや否や、謁見の間の窓が暴風に耐え切れず砕け飛んだ。


「ああ、姫様に破られた窓がまた!?」


 慌てて騎士団長が、用意しておいた板を吹き飛んだ窓枠に充てて風を塞ぐ。


「もはや城の強度も限界じゃのう、我々で補強を行うのじゃ!」

「私も手伝いましょう」


 勇者の協力もあり、城の者総員で、窓や扉に板を打ち付けていった。


「何とかなったのう」

「災害の備えは普段していたつもりでしたが、少し想定が足りませんでしたね、それにしても窓の強度がもたないと良くわかりましたね、おかげで助かりました!」


 城の補強を手伝ってもらった勇者に、騎士団長は感謝を述べる。


「いえ、私の出身は南の島群でしてね、ちょくちょく大きな嵐が襲ってくるのです」

「なるほど、こういった嵐は慣れっこという訳ですか!」

「島では、こういう時の為に皆が入れる避難用の地下室が作られているんですよ」

「おお、では皆もこの城の地下室に避難させようかの」

「いえ、この城の地下は水捌けが悪いのでお勧めできません。医療品や食料などが保存してあるならば持ち出した方が良いでしょう」

「なるほどのう、よしすぐに手配するのじゃ!」

「了解しました」


 すぐに騎士団長は兵士に銘じて、行動に起こす。


「いやぁ何から何まで忠告助かったわい」

「いえいえ、これも私のスキルを披露する為です」

「何じゃ今までの行動がスキルと関係あるのかの?」

「正確には、私のスキルはこの状況でしか発動できず、しかも制御が出来ない物ですので、事前の準備を入念に行って貰ったのです」


 恐る恐る王は問いかける。


「して、お主のスキルとは?」

「はい、竜巻の中にサメを召喚するスキルです」

「絶対に使わんでくれ!」



 後日。


「国王様! かの者の召喚したサメの竜田揚げが、非常食として好評です!」

「……意外に役に立つなぁ」


 王の悩みはまだ晴れそうにない。


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