恋するグルメコート
「アルフさん、あなたたちの『飛竜の上での急接近』、実は遠隔投影鏡で全王都にライブ配信されていました。視聴率は驚異の60%。これはバズり(社会現象)の予兆ですよ」
元ADのアルフレッドが顔を真っ赤にして言う。
「な……っ!? 貴様、無断で撮ってやがったな! あれは……現場の安全確保のために抱き寄せただけで……!」
ミノンはと言うと、
「えっ!? あの恥ずかしいシーン、みんなに見られてたんですか……!?」
と焦っている。
そこへ左京が、
「ええ、特にアルフさんの『悪くねえなって、思ってるんだ』というセリフで、全王都の令嬢たちが絶叫しました。……そこで提案です。この流れを活かして、グルメコートの新メニュー『恋するペア・ラテ』のCMを撮りましょう」
と、提案という名の指令をだしてきた。
撮影現場は、黄昏時のグルメコート・テラス席。左京が用意したのは、二人が一つのカップからストローで飲む(!)という、ベタすぎる演出でした。
左京が、
「はい、カメラ(魔導具)回します。アルフさん、もっとこう……『守りたい、この笑顔』的な顔をして。はい、アクション(本番)!」
と声をかけると、アルフレッドは、ぎこちなく、あなたの肩に手を回しつつ、
「……おい。……これ、あっち(現代)で言う『あざとい演出』ってやつじゃないのか?」
とミノンに囁やきかける。ミノンは、心臓をバクバクさせながら、
「あ、アルフさん、顔が近いです……! 演技……ですよね?」
と、これまた小さな声でアルフレッドに語りかける。
アルフレッドは照れながら、カメラを意識するふりをして、耳元で小さく囁いた。
「……半分は、演技じゃねえよ。……あんたが隣にいると、現場の空気が締まるんだ。……いや、締まらねえのかもな」
そんな二人を眺めて、左京がニヤリとして、
「……はい、カット! 最高です! 今の『耳打ち』、超高解像度で押さえました。これでペア・ラテの予約は1年待ち確定ですね。コンバージョン(成約率)は完璧だ」
と悦に入った顔で独りごちた。
この放送後、王都では二人を応援する「推し活」が爆発。
街の噂はこうだった。
「公爵様があんなにデレるなんて……!」
「あの助手の子、最強のヒロインじゃない!?」
王子の反応は、
「……なぜだろう。私が照明をしている間に、二人の物語が完結しそうなんだが?」
と焦り気味だった。
左京が一人だけ計算高く、
「二人の好感度が上がれば上がるほど、グルメコートの客単価も上がります。まさにウィンウィンですね」
と、ニヤリとしていた。




